アウト・オブ・ノイズ@坂本龍一/OUT OB NOISE:現代音楽の充実した果実
人の声や北極圏の氷の音などのノイズ・サンプリングミュージックの要素を含め、トーン・クラスターやミニマル・ミュージックの手法が駆使されたいわゆる現代ミュージックのCDですが、完成度は高く、鳴り響く音楽は美しく、聴いていて安らぎます。
また環境音楽として邪魔にならず、PC作業中などに聴くのは悪くないです。
アニソンだと一緒に歌ってしまいますからね。
現代音楽はモダンアートと同じく、定式からの解放を求めて疾走しましたが、行き着いたのは自由な沃野でなく広大な空虚なのでは、と疑っている方にはもおススメできます。
グールド→漱石、草枕からモチィーフを取られた1曲目は、反復されるメロディも美しく聴き処です。グールド、草枕って私も大好きで、このブログでも記事にしていますが、好みは不思議。
坂本龍一は、発言に癖があって人間的にはどうにも好感は持ち難いのですが、好きな芸術対象は一致すると・・・
4曲目のin the redも素敵です。
廃屋に佇み、なお希望を捨てない静かな決意が、高度な音楽的主張の中で影のように揺らめきながら、いつしかはっきりと屹立して見えます。
8曲目から10曲目は北極圏3部作。
グリーンランドの犬の鳴き声が単調なリズムに乗って延々とコラージュされるかと思えば、小さな氷の砕ける音や、氷河の洞窟の下を流れるせせらぎの響きがサンプリングされた音楽が続きます。
自然の音が意味を消失し、形而上的な容貌が表出する時、我々は純白の瞑想に溶けていくようです。
全体にとても清潔感のある「祈り」をイメージさせる1品です。
日常の雑務に疲れている時なんて、良いんじゃないかな。



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