調書@ル・クレジオ:狂気の幻視者が語る物語、伝説の作家のデビュー作
昨年、ノーベル文学賞を受賞した時は、まだ獲っなかったのか、逆に驚いたのがル・クレジオです。
かつてはそれ位、圧倒的な名声を誇った作家でしたが、難解なのが仇になったのか、いつしか忘れられた存在になっていました。
それがノーベル賞受賞をきっかけに本が再販されています。
この小説もちょっと複雑怪奇な構成になっていて、最初は真夏の海岸を舞台にした奇妙の男、まったく生産的な事をしない夢想者の物語かと思っていると、いつしか止め処なく描き出されるメタフィジカルなイメージの連鎖が溢れ出し、はっきりしたストーリーは消え去ります。
そうして詩集のような味わいになったか、と思うとさらに変転、
「蟻どもにおける、ある破局の調書」
と題されるように、狂気の幻視者が書き綴ったノートのようになり、最後は男が第三者的に描かれる小説に戻る、という造りになっています。
文章は難解を極めますが、多くの象徴的なイメージは芳醇で、あくまでも深い輝きを持ち、イメージの広がりは無限の天空から極微の原子にまで走り、視点が縦横に飛翔すると、静かに横たわっていたはずの深い秘密が突然に暴かれ、後には畏れと美が溶け合ったような奇妙な叫びが残されます。
ただ読み難いことに掛けてはあらゆる作家の中でも最高位と思われるので、「読み出す時」は選びましょう。
私は勉強会の帰りに読もうと思って持っていったんですが、疲れていて読めませんでした。
後日、体調を整えて再チャレンジ。
小説の中に入っていくことが出来ました。
基本は傑作なので、一旦入ってしまえばコッチの物です。
ps
それにしてもフランス人ってホントウに南の海の光が好きですよね。
この本しかり、異邦人しかり、悲しみよしかり、ゴーギャンしかり。
石垣島のクラブメットでフランス人の夫妻と食事を同席したことがあります。
我々は5日で帰ったんですが、アジアの南の島をアチコチ巡って2ヶ月休むって言っていたかな・・・
それでも飽きた様子もなく、毎日ビーチに出て来ていました。
快楽に貪欲だってことなんでしょうかね。
俺なら飽きるけどね、それだけいたら・・・この情熱は分からない。


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