文学

September 17, 2014

夜明け前:第二部下巻 島崎藤村@たゆたうような大河は滝となって落ちた

島崎藤村、夜明け前、ついに全巻読了しました。
近代日本文学の巨峰を制して、少しだけイイ気分です。

今回の記事は内容に触れてます。
以下、目に入らないよう緩衝帯として青空文庫おススメ文章を書きましたから、知りたくない人はこれ以降、読まないように。

この小説が極めて優れた一冊であることは言う間でもないのですが、まずみなさまにおススメしたいのは、青空文庫のアプリをインストールしましょう、ということです。
世界中探しても、無料でこれほど優れたコンテンツを提供していくれるソフトは他にないでしょう。
青空文庫の素晴らしい処は、隙間時間に読めることで、それこそトレイから、電車の中まで。
ちょっとした待ち時間にページを開いて読み進められる。
世界の超一流の文学をです(文学というととっつき難いかもしれんが、無料だし)
これはスゴイことだと思うんだ。
だまされた思って是非一度。
慣れてない方は梶井基次郎あたりがおススメ!

さて前置きが長くなりましたが、この歴史を俯瞰する、たゆたう大河を思わせる長編文学は、第二部下巻になって思いも掛けぬ激流となります。
最初の驚きは娘の自害未遂ですね。
いやー、ただのマリッジブルーだと思っていたからあの顛末には驚きました。
この小説って基本、巨大な歴史のうねりの中に生きる人々を描くゆったり系であって、いわゆる修羅場系ではない、という認識だったからね。
意表を突かれました。
今、太宰治@斜陽を読んでいるんだけど、やっぱり女性は難しいですね。

そして本題。
半蔵の乱心です。
コッチも驚かされた。
ただ非難する声が聴こえる、ときた辺りから、あれ、っとは思いましたけどね。
影を見たりした処では、すでに整合性がなかったので、覚悟していましたが、楠木正成の戦法を取り出した時(読めば分かります)は、ここまで来たか、という暗澹たる気持ちですよね。
結局、この大河小説で訴えたいことってなんだったんでしょうか?
革命とは、常に善人ほど裏切られるモノである、なんて感想は凡庸を通り過ぎて滑稽ですね。

結局、父親と姉がモデルだったこともあり、その他諸々、随分と複雑な事情があったようで、書きたいという衝動が書かせた、ということなんでしょうね。我々が忘れてならないのは、明治の、日本近代文学の巨匠の、あの写真がもたらすイメージとの差異でしょう。
文学や芸術とは常に深遠と向き合うが故に、危険なモノだってことは忘れてはならない。
すぐに規制だなんだと騒ぎたがる識者って、結局、本なんて読んでないんだろうな。
島崎も川端も泉鏡花も谷崎も太宰もみんないわゆるオカシナ人、だよね。


ps
最後まで印象に残ったのは、木曽山中の自然描写の美しさですね。
さりげなく力みのなりタッチで描かれる抒情は、一流中の超一流だけがもつ本物の美しさがありました。
島崎藤村、恐るべし。
さらっと描くデッサンも絶品。

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April 19, 2014

ガルシア・マルケス死すともマジック・リアリズムは死せず@まどかマギカで花開く

偉大な小説家であったガルシア・マルケス氏が死去しました。
個人的に20世紀最高の小説は何か?と問われたら彼の「百年の孤独」は有力な候補です。
いわゆる文学!ですが、本物中の本物なので、臆せず読んでみましょう。
相当オモシロイよ。
今の若い人はこういうの読まないだろうと長女に言った処、おもむろにカバンをゴソゴソかき回したと思ったら、「百年の孤独」を出して来た時は、おお、我が娘にも文化は引き継がれた、感動しました。

ただ読むのなら「わが悲しき娼婦たちの思い出」だけはよした方がイイ。
晩年で筆力が落ちてすっかりmagicが抜けているんだよね。

南米の、およそ暴虐とも言える生命力に触発されたであろうmagic realismですが、彼の死以降、南米文学も精彩を欠いているように思います。
バルガス・リョサとか私はそれほど感心出来ないのだ。

それではあの極彩色の幻影を紡ぐ芸術は、今となってはどこで生きているのか?と言えばなんのことはない、魔法少女まどかマギカの中にしっかり生きています。
劇中の魔女の結界を描いてみせた劇団イヌカレーのあの映像。
アレこそ21世紀のmagic realismだよね。
そんな魔法少女まどかマギカの新作劇場版の公式ガイドブックが先日届いたのですが、無邪気な笑顔を見せるまどかのイラストは可愛らしく、「こんな風に一緒に話ができて、もう一度また優しくしてくれて、本当に嬉しい」というほむらのセリフは感動的。
マルケス死すともmagic realismは死せず。
地球の反対側で咲き誇っています。
というわけで、マルケスを読まない人はコッチをどうぞ。

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October 08, 2013

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹@オシャレンティーなのは一つのスタイルだし、コレはコレで良く出来ている

Amazonに上げられた笑える書評ですっかり村上春樹の黒歴史になってしまった本作品。
私も読み始めてはみたものの、あまりにツマラさに40pで挫折。
今回はダメだったな、と投げ出していたんですが、本棚の整理中になんだか気になりだして再読開始。
読み返せば40p位が胸突き八丁で、ここから一山超えればどんどんオモシロくなっていて、読了する頃には、悪くないじゃないか、と思い直しました。

確かに春樹村上の主人公はオシャレンティーが過ぎる処があるし、色々特に女性関係では都合の良すぎる展開があり過ぎるとこが気に食わんという心情、理解出来るんだけど、それはさいとうたかおのゴルゴ13はなんでいつも最後はOK、相手の裏をかいて勝ち続けられるのか、とか、映画の中でB・ウィリスはどんなに撃たれても致命傷にならないのは何故か、というのと同じで、そういう設定のフィクションなんだからしょうがないよ。
この作品が批判されたのは、そんな設定への不満を問答無用に納得させる力が少し足りなかったからだろう。
それがオシャレンティ―嫌いのアンチ村上春樹派の反乱を許してしまった(笑
出版界の帝王となっても、その座を守るのは大変なんだよね。

改めて読んでみれば、「色」に対し、「つくる」、という言葉が生む暗喩は何か、とか「駅」とは何の象徴なのか、なんていうのは、じっくりとした考察に値するし、シロに憑りついた「悪霊」の正体は何だったのか描写される箇所は短いけど充分ホラーでゾクッとくるので楽しめる。

それでも、「彼女の作品は・・・匿名の動物たちが人知れず、こっそりと音もなく踏みしめていく木の葉だ。」とか「(老人は)明快への道筋を既に死者に教えた死神のように(去った)」なんて比喩が嫌いな人は嫌いなんだろうな。

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May 27, 2012

増補フランス文学案内 渡辺一夫備忘録20世紀編@私が仏文を読む理由

20世紀文学は、以下の三期に分けられる
一期、大戦まで
マルセル・プルースト(1871-1922)富裕な家庭の生まれ。コルク張りの部屋に閉じこもり「失われた時を求めて」を書く
時間、記憶、意識の流れ「現実は記憶の中にのみ形づくられる@無意思的記憶」
アンチ・ロマン「反小説」の先駆的作家。「小説が小説について反省している」

ジイド「地の糧」「狭き門」
ロマン・ロラン「ジャン=クリストフ」
二期、第一次大戦と第二次大戦の間
1930-40年代不安の文学:ダダイズムとシュールレアリズム
ブルトン「シュルレアリズム宣言」
ギョーム・アポリネール「ミラボー橋@アルコール」
アルフレッド・ジャリ「ユビュ王」
レイモン・ラディゲ「肉体の悪魔」
ジャン・コクトー「オルフェ」「恐るべき子供たち」
モーリャック「愛の砂漠」

アンドレ・マルロー@行動主義「人間の条件」「彫刻の世界の空想の美術館」
サン・テグジェペリ「星の王子さま」「夜間飛行」
ルイ・アラゴン@ダダイズムから社会主義運動「永久運動」
ポール・エリュアール@シュルレアリスト→コミュニスト「苦しみの都」「詩と真実」
ポピュリズム(民衆主義)庶民の哀歓をヒューマニスティックに描く

三期、大戦後から現在まで
1939年9月ポーランド侵攻
1940年5月マジノ線突破、第三共和国方回、全土の2/3を占領される。
1944年夏、米英軍とド・ゴール将軍により解放まで続く
インドシナ独立戦争、アルジェリア独立戦争
サルトルと実存主義の文学
実存主義:生きる態度「実存は本質に先行する」
人間が存在するというこのが、人間の本質(人間性)より先にある。よって自由はその本質を確立させるためにある、ということ。らしい・・・
「嘔吐」「聖シュネ」「水いらず」
フランス左翼陣営の組織し直し

ボーヴォワール「第二の性」
カミュ「異邦人」「シーシュポスの神話」「ペスト」「転落」
「うそのつけない人物」を普通の人として描いた。

ジャン・ジュネ@美醜の混淆する異様は迫力「花のノートル・ダム」「泥棒日記」
死を内在する生が日常性の中で見失われては発見される永遠の循環を描いた。

マルグリット・デリュラス「愛人」
戦時中、パリで最も栄えたのは演劇
サミュエル・ベケット「ゴドーを待ちながら」絶望的状況の提示
イヨネスコ「授業」死の恐怖がグロテスクに示される。
「反演劇」:一貫した筋立てがなく、人物に性格なく、セリフの論理性は無視され、しつこい反復がある。

批評文学:アリストテレスまで遡れる文学批評は文学である
ロラン・バルト:エッフェル塔
ソシュール@スイスの言語学者、言語論
レヴィ=ストロース:文化人類学者、人間の行為を構造として把握する
「悲しき熱帯」「野生の思考」「親族の基本構造」
ミシェル・フーコー
「古典主義時代の狂気の歴史」「性の歴史」「知への意思」
ジャック・ラカン:精神病理学者「エクリ」
ジル・ドゥールーズ「アンチ=オイディプス」
ガタリ「千のプラトー」
デリダ「エクリチュールと差異」

これでお終い。
ま、私が仏文を読むのは文章がカッコイイから、なんですけどね。

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May 23, 2012

増補フランス文学案内 渡辺一夫備忘録3:19世紀後半

ロマン主義:誰はばかることなく感情をうたい、自我を解放し、歴史を見つめ直した。近代精神の目覚め

写実主義:近代精神の確立。自然科学の発展。産業革命、1848年二月革命が独裁の帝国政府を生む。
「カルメン」、「ラ・ボエーム」の原作。日本の浮世絵から不均衡性に宿る美

1857年、フローベル「ボヴァリー夫人@ド・ラマール事件」
ロマン主義におぼれて、自分は実際と違う人間と思いこみ破滅する。「ありもしない自分を自分だと思いこんでしまうボヴァリズム」
「感情教育」「サランボー」「聖アントワーヌの誘惑」


ボードレール「悪の華」「パリの憂愁」
ユゴー「きみは芸術の天に一つの不吉な光を贈った。新しい戦慄を創造した」
象徴派の技法「一つの影像がもう一つの影像を読者の心に呼び起こす、流動的で暗喩的な描写法が生じた」
これがヴェルレーヌ、ランボー、マラルメを生んでいく。
混血の無知で官能的な女、ジャンヌ・デュヴァルと関係。

ベルトラン「夜のガスパール」散文詩の淵源

高踏派:ロマン主義はあまりに自己の心情をさらけ出し過ぎる。
ゴーチェ芸術のための芸術。主観的な感情や社会的事件に動かされずに、事物の客観的な美を追求する。

ゾラ(1840-1902)自然主義文学
「居酒屋」「ナナ」
モーパッサン(1850-93)サイコホラーの淵源作家
「脂肪の塊」神経症で10年間の創作、43歳で死亡

ユインスマンス:地味な小役人
ドーデ:「風車小屋便り」

ヴィリエ・ド・リラダン名門に生まれながら困窮
「残酷物語」
「未来のイヴ」理想の女性は人造女性

ヴェルレーヌ(1844-96)「秋の日の、ヴィオロンの」
無頼の生活、普仏戦争、パリ・コミューンの反乱1871年、ランボーとの出会い。
「ちまたに雨の降るごとく、わが心に涙ふる@言葉なき恋歌」
高踏派に反対し、色彩をしりぞけ陰影を追及。象徴派は音楽からその富を奪い返す。「詩学」奇数脚の詩を説く。

ランボー:ヴォワイヤン(見える人)幻視者:色と香り、視覚と音、物質と象徴の錯乱と混淆「飾り絵イリュミナシオン」
「地獄の季節」

マラルメ(1842-98)骰子一擲
「肉体は悲し、ああ、我はすべての書を読みぬ@海の微風」
半獣神の午後@1865年
1880年からパリ、ローマ街にある自宅で「マラルメの火曜」

ロートレアモン「マルドロールの歌」1870年モンマルトルの下宿で27歳で死亡。1912年にアポリネールが発見するまで忘れられていた。

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May 11, 2012

増補フランス文学案内 渡辺一夫、鈴木力衛@備忘録part2

18世紀(擬古典主義、啓蒙主義)
古典主義は理性を尊重し、規制を守った。ルイ十四世の治世が終わった時、経済は疲弊していた。
批判の精神が信仰から、社会批評、文明批評になり啓蒙主義につながる。
啓蒙主義から大革命へ、ロマン主義が芽生える。

モンテスキュー「ペルシャ人の手紙」「法の精神」:法を神からでなく人間から引き出した。
ヴォルテール:小説家、劇作家、哲学者、歴史家、18世紀はヴォルテールの世紀。ルソーと違い、文明を信じた方。

ジャン=ジャック・ルソー@左翼思想の源流家
「孤独な散歩者の夢想」「エミール」「人間不平等起源論」私有財産が諸悪の根源、文明が悪い、自然人の再生を訴えた。

「マノン・レスコー」:情念の為に、名誉も富も家柄も捨て、身の破滅も顧みない。道徳や宗教より情念が優越する。
「セビリアの理髪師」「フィガロの結婚」@無能な貴族批判、後のフランス革命の予測
ラクロ「危険な関係」
「ポールとヴィルジニー」@個人的に懐かしい。この時代のなのか。
サド侯爵1740-1814投獄と精神病院の生涯「ジュスティーヌ」「ジュリエット」20世紀にアポリネールにより再発見。

フランス大革命1789年7月14日@王権が倒れ、ブルジョワジーの時代へ

19世紀(ロマン主義、写実主義、自然主義、象徴主義)
ナポレオン帝政と崩壊、帝政、王政、共和制、帝政、共和制と変転するフランス社会。
前期ロマン派:シャトーブリアン「アドルフ」心理小説
ロマン主義1830年―1930年「芸術における自由、自我の解放が目的」
ヴィクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」19世紀最大の詩人。
ナポレオン帝政と戦う共和主義者、普仏戦争に負け1870年に帝政崩壊するや、パリに凱旋。
ネルヴァル、「夜のガスパール」@ベルトラン
ジョルジュ・サンド
デュマ父「三銃士」「モンテクリスト伯」筋立てが巧みだった。
デュマ息子「椿姫」

ロマン主義から写実主義:バルザック「人間喜劇」神曲に対抗した。
書きまくった作家。生き生きとした作中人物
スタンダール「赤と黒」「パルムの僧院」イタリアを愛した外交官
エゴチスト享楽や感動をみずから分析することによって、倍加増大させる分析精神。
「強烈な感動をとことん追求することこそ、人生の目的である」@ブリラャール

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May 10, 2012

増補フランス文学案内 渡辺一夫、鈴木力衛@楽しく読めた仏文学史

何故か気が付くと読んでいることの多い仏文学。
場当たり的に読むのも悪くないですが、歴史を概観してみるもの一興かなあ、と読了です。
この本は著者が東大仏文教授で、岩波書店の発刊で、とお堅い感じを受けますが、素人向けに噛み砕いて書いてあり読んでいて楽しかったです。

以下仏文史の備忘録
中世期(11世紀から15世紀)
シャルルマーニュ大帝没後、中部欧州が三つに分裂した時期。
聖人伝、武勲詩、宮廷騎士道文学、風刺尺実文学、教訓文学、南仏文学(ラテン語の情熱的、快楽追及的な主題)の六つがある。
騎士道文学は意中の女性の為、騎士があらゆる試練に耐える話。後に女性の代わりに聖杯が登場。神秘的、宗教的にもなる。
中世後期、百年戦争になると封建制の崩壊、王権と市民階級の勃興が起こり近代化、ジャンヌ・ダルク登場で、攻め込んできた英国撃退。
詩人のフランソワ・ヴィヨン登場。
「結婚15の楽しみ」夫を手なずける女性の狡知と偽善が主題の小説

16世紀(ルネッサンス)キリスト教の自己修正能力欠如が顕著に
フランソワ・ラブレー「ガルガンチュワ」フランス語の散文に色彩と音響を活力を与えた。
フランスはアンボワーズ陰謀事件、ヴァシー虐殺事件など宗教戦争の内乱状態。
聖バルテミーの大虐殺とナントの勅令、旧教徒が新教徒を皆殺しにしようとした事件を経て、信仰の自由を認めるナントの勅令
モンテーニュの「エセー」高慢と不寛容を憎んだ、狂信を嫌うモラリストの文学。仏文の主流となる。
バロック登場

17世紀(古典主義)フランス国家統一。絶対王朝
ブルボン王朝初代アンリ四世、次がルイ十三世
デカルト「方法序説」カソリック教義への合理性を与えるようでいて、批判精神からその根拠を危うくしたが、同時代人は気づかなかった。

パスカル「パンセ」神とともにある人間は偉大である
ランブイエ侯爵夫人@サロン「青い部屋」
先進国イタリアに比べ粗雑で乱暴だったフランスに、マナーをもたらす。

三一の法則@時間、場所、劇行為の法則
ラシーヌ@フランス古典劇の成立。ギリシャ・ローマ悲劇の移植

ルイ十四世、古典主義文学最盛期
モリエール@演劇でいちばん大切な要素は、観客に喜ばれることで、規則通りに作っても芝居が受けなかったり、規則に外れたものが当たりを取ったら規則そのものが悪いのだ。

ラ・フォンテーヌ寓意詩
ラ・ロシェフコー「箴言」
ラ・ファイエット夫人「クレーヴの奥方」
以下の時代はまた機会があれば投稿

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July 26, 2010

考える人№33 特集村上春樹ロングインタビュー@多彩な周辺情報は必読

雑誌はすっかりお見限りですが、村上春樹のロングインタビューが読めるなら、と購入しました。
結果は、ロングという言葉に偽りなしの3日間に渡るもので、聞き手の松家さんとの息もあい、お値段分の価値はあり、になっています。

まずは村上春樹の自作についての内部情報ですが、一番印象的だった言葉は
「すごく美しい優れた描写だけど、物語的にはあまり意味はない。だけどそういう部分がしっかり重しになっている。」
という言葉ですね。
フィッツジェラルドもそうだ、と書いているのですが、腑に落ちる。
まったくこの一文で、「グレート・ギャツビー」と村上作品を読んだ思い出が走馬灯の如く蘇る。

さらに春樹村上の言葉を聞く楽しみは、多彩な周辺情報を提供してくれることですが、三島、川端作品への言葉は感慨深い。
そして安岡章太郎の文章を「強さからの自由さ」がおもしろい、と書く。
「何かを固定しようとする一貫したものではなくて、逃げ回る文体で、そこにやわらかなものがある」
とする。
凄い言葉だと思うのです。
先ほど、春樹村上は腑に落ちる言葉を書く、と書きましたが、安岡章太郎の文章、こんなに見事に言い当てた一文は読んだ憶えなし。
おかげで読みたくなってしまいました。

サリンジャーの最大の問題はストラクチャーを作れなかったことだ、とか、19世紀と20世紀の小説家像の違いとか、じっくり考えてみたくなる言葉、盛り沢山です。
ヘミングゥエイとチャンドラーの自我の託し方の違いなども、とても鮮やかな分析だと感じました。
でも本当でしょうか・・・? 次はこの辺を意識して読みたいと思います。


チャンドラーの新訳は楽しみですが、ブローディガンとヴォネガットの翻訳も希望します。
これだけ魅力を語ったんだから責任持って訳してください(笑
安岡章太郎は買ってしまいました。
「静かなドン@ショーロホフ」はまずは図書館でイイかなあ(笑

カート・ヴォネガットとブローディガンは、何冊があったと思うので、探してみましょう。
あんまりオモシロかった記憶はないんだけどさ・・・

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November 01, 2009

調書@ル・クレジオ:狂気の幻視者が語る物語、伝説の作家のデビュー作

昨年、ノーベル文学賞を受賞した時は、まだ獲っなかったのか、逆に驚いたのがル・クレジオです。

かつてはそれ位、圧倒的な名声を誇った作家でしたが、難解なのが仇になったのか、いつしか忘れられた存在になっていました。
それがノーベル賞受賞をきっかけに本が再販されています。

この小説もちょっと複雑怪奇な構成になっていて、最初は真夏の海岸を舞台にした奇妙の男、まったく生産的な事をしない夢想者の物語かと思っていると、いつしか止め処なく描き出されるメタフィジカルなイメージの連鎖が溢れ出し、はっきりしたストーリーは消え去ります。

そうして詩集のような味わいになったか、と思うとさらに変転、
「蟻どもにおける、ある破局の調書」
と題されるように、狂気の幻視者が書き綴ったノートのようになり、最後は男が第三者的に描かれる小説に戻る、という造りになっています。

文章は難解を極めますが、多くの象徴的なイメージは芳醇で、あくまでも深い輝きを持ち、イメージの広がりは無限の天空から極微の原子にまで走り、視点が縦横に飛翔すると、静かに横たわっていたはずの深い秘密が突然に暴かれ、後には畏れと美が溶け合ったような奇妙な叫びが残されます。

ただ読み難いことに掛けてはあらゆる作家の中でも最高位と思われるので、「読み出す時」は選びましょう。
私は勉強会の帰りに読もうと思って持っていったんですが、疲れていて読めませんでした。
後日、体調を整えて再チャレンジ。
小説の中に入っていくことが出来ました。
基本は傑作なので、一旦入ってしまえばコッチの物です。

ps
それにしてもフランス人ってホントウに南の海の光が好きですよね。
この本しかり、異邦人しかり、悲しみよしかり、ゴーギャンしかり。

石垣島のクラブメットでフランス人の夫妻と食事を同席したことがあります。
我々は5日で帰ったんですが、アジアの南の島をアチコチ巡って2ヶ月休むって言っていたかな・・・
それでも飽きた様子もなく、毎日ビーチに出て来ていました。
快楽に貪欲だってことなんでしょうかね。

俺なら飽きるけどね、それだけいたら・・・この情熱は分からない。

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October 17, 2009

篠田一士に「伝奇集@ボルヘス」を読んでもらう@二十世紀の十大小説

ボルヘスの伝奇集は、読後に一度記事にしていますが、今回、篠田一士さんの評論を読んだので感じたことを追記します。

この伝奇集は今様に読むと、何とはなしの違和感を持ちつつもファンタジックな小説と読み勝ちですが、そこで注意点です。

裏づけとなる「カルタフィルウスの結語」の言う処では、
「終焉が近づくとき、もはや追憶のイマージュはのこらない。のこるものは言葉だけである・・・まもなく私は一つの世界になるだろう」、ということです。

簡単に書くとファンタジー小説とボルヘスの言語宇宙構築の違いは、
ファンタジー小説
日常の言語で夢の世界を描く

ボルヘス(マラルメ)流の作品は
言語自体で一つの宇宙を構成する。曰く、書物とは、文章の自己完結的な膨張である。
サンボリズム直伝の言語宇宙の構造を持つことですね・・・
・・・だと思います。

またボルヘス作品は、
「ブエノスアイレスの詩人が、神をも畏れず、縦横無尽に幻想の翼をはばたかせ、1篇の短編小説の中に宇宙を抱合させ」つつ、
「多義的な意味合いが読み取れ、読者に自由な読み方を許しはするが、作品そのもの相貌はいささかもゆるがない」
ものです。

その他、ボルヘスの生きる南米の風土、政治事情も関係するのですが、あまりに量が多いので今日はこれだけ。

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