ドキュメンタリー映画

January 25, 2007

9.11への道

アメリカでテレビ放映されクリントン政権の無責任ぶりが話題になった5時間のドキュメンタリー・ドラマです。

テレビ・ドラマは映画に劣るという先入観がありましたが、これは別格とも云える出来でした。
911独立調査委員会の報告書をベースに、おそらくは膨大な予算を使い、映画では上映しきれない長尺をまとめあげた腕力は相当なものです。

見る側としては、実際に起きた事件であり、2機目の衝突はライブで見ていたので、あの衝撃の生々しさが蘇り怖いです。
この辺は実録の強みですが、それが生かせる説得力を持っています。

ドラマは時間軸をジャンプさせながら、93年2月のWTC駐車場爆破事件から始まります。
その時からWTCを倒壊させる、というのは悲願だったわけです。
それから、なんで、こうして、こうなったか、という延々8年半の経緯が迫力をもって描かれていて、まさに現代史の1ページのドラマは成功していると思いました。

アフガニスタンやパキスタンでの映像は、無数ともいえるエキストラを動かし、砂塵と廃墟の中にコーランが流れるさまは本物と見まがうばかり。
モチロン途中途中には、テレビで見慣れたニュース映像がはさまり現実感は嫌でもアップ。
顔を知っているオルブライトやマスード、オマルなんて、改めて見ると違うのだけれど、
途中のブッシュ大統領なんかが本物の映像なので、とてもリアルに感じました。

「おまえを背の高い人に会わせる」なんてセリフはゾックとしますよ。


実感したこと
1)どんな組織も実力は現場力に出る。
名もない空港保安委員や税関職員が大きな活躍をしています。
いくら上が優秀でも結局、現場がダメならダメなんでしょうね。
これは企業でいうと、ソニーがダメでトヨタが良いのに繋がりますかね。

2)クリントン政権の無能ぶりが目立ちますが、結局、事なかれ主義の敗北なんだろうな。
でも現実に自分が、その立場にたったら保身を考えてリスクはとり難いよね。

それから後からの理屈はいくらでも付く、というのも実感します。
投機で言えば、チャートを見て、
「ほら、この高値で買い持ちを閉じて、新規で売り、それはこの安値で買い戻し」、
なんていくらでも言えるのだけれど、その場に自分が立つと難しいモノ。

だからこういう組織で仕事をされるなら、リスクを取りやすい環境にしておかないとダメでしょうね。
その点、日本はどうなんでしょうか?
ダメなんでしょうね(笑

3)髭を生やし、ターバンを巻き、自動小銃片手に歩きまわるムジャヒディーンの連中は、どことなく生き生きしていました。
暴力は許されるものではないし、悲劇だけれど、男ってやっぱり、朝から晩まで書類仕事をするよりも、戦いに燃える生き物なのだと思うよ。


機会があったら見といて良い1本です。
5時間だけど、前後編に別れているから分けて観てください。

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November 08, 2006

イラクーヤシの影で

この映画を見て一番簡単な反応は、「アメリカは悪い」だ。
寝静まった町にドカドカ爆弾を落とし花火みたいにするのは、アメリカの困った伝統芸。

次に簡単なのは「フセインも悪かった」だ。
独裁体制下でクルドの虐殺とシーア派の弾圧。

次に思うことは、戦争では神様に頼らないこと。
アッラーは偉大だからアメリカに勝てる、とは思わないほうが良かった。
神風が吹くから最後は勝てる、と思って負けた国の国民としてアドバイスしたかったね。

でも次に思うことはでも日本人としてアメリカは嫌いだ、とは言えないことだ。
戦後日本人の努力と才能に、一番経済的な評価をしてくれたのはアメリカ人だ。

そして今、小学生が「日本へ核」「日本を空爆」「日本を踏み殺せ」という絵を描いている隣国があって、虐殺記念館の国がある国にはしっかり核があるんだから、米軍様がいなかったら、とても怖くていられませんよ。

こうして複雑な思いがないまぜになる映画です。

救いは「神の教え」が生きてることで、それはインタビューに出てくる古靴屋のオジサンに現れている。
オジサンは困っている人には優しく、
「神様のお陰でこうして修理屋をやっていける。
見下す人もいるが私は仕事に誇りを持っている。
尊敬に値する仕事だよ。お客さんと上手くいっている限り、私はこの仕事に満足だ」
と笑顔で語る。
黙々と働き、礼金は神に感謝をする。

政治的にはなんの力もない自分は、せめてこういうオジサンでありたいです。

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ビラボン・オデッセイ

泳げないのでサーフィンなんてまったく興味がなかった。
だから世界の先端が、こんなことになっているとは・・・!
人類の快楽への欲求が尽きることはないのだ。

この映画は究極のサーフィンを求め続ける人間達のドキュメンタリー。
ボードに乗って手で漕いでいては到達できない大波に挑む、トゥイン呼ばれるサーフィンの話しだ。

巨大波にはジェット・スキーで引っ張ってもらってテイクオフする。
本来人力だけで行っていたサーフィンに、1000ccを超える排気量と高性能140馬力のマシンを参加させればどうなるか?
夢を現実化できる!
あるいは悪夢が現実になる。

ともかく乗っている波がCGとしか思えないデカサである。
ワイプアウトすると、とんでもないことになる!
んじゃないかな?
飛沫の中にはマイナスイオンも一杯ありそうだけど、それだけではまかなえないほど身体に悪そうだな、
と想像できるのだがその通りである。
膨大な波のエネルギーに巻き込まれリーフにこすり付けられミンチになる恐怖と表裏一体である。
まさに命懸けなのだが、乗っている彼らは実に楽しそうである。

さらに極限の波を探すのに、世界中の海洋ブイからのデーターを収集。専用に開発したソフトで巨大波の行方を予想する。
予想が出ると、それに合わせてハワイからスペインへ道具と一緒に空を飛ぶ。
やっとついた処で、波が偏西風でスペインからフランスへとずれたのが分かると今度は陸路、移動する。
あくまで追っかけるのだ。
暇だ。
というか金掛かるよね。
このエネルギー(コスト)はすべて波に乗るという、一瞬の快楽へと消費されるのだ。

不合理で金にもならず、危険も一杯。
でもそれに挑んでいる彼らは実にみちたりた顔をしている。
ともかく連中はナニカを見ている。

そのナニカはおそらく人間が見ることの出来るであろう、極限のものだ。
俺も見てみたいと思ったので
妻と娘に「よし、俺はサーファーを目指す」、と言ってみたら、
はいはいワロスワロス、とも言ってもらえませんでした。

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July 29, 2006

皇帝ペンギン

どこか他の惑星のような空に幻想で見るような月が浮かんでいる。
巨大な氷原に陽炎のような人影が揺れるかと思うと、それはペンギンたちである。
この映画は極寒美の極地をバックに、愛らしい皇帝ペンギンの生態を追ったドキュメンタリーです。

吹きすさぶブリザードに耐え、何日もひたすら歩く姿は人の生の困難さの暗喩になる。
夕陽に照らされる叙情的な氷原に孤独な肩が写ると、取り残された個体だったりする。
油断はならない。

頭を寄せ合った両親が作るハート形のフォルムに見とれていると、後のシーンでは新たな命が加わり「物語り」の完結と継続の両面を暗示させる。
子供ペンギンはアニメのピングーみたいでフサフサの毛並みでホントウに可愛い。
この子供を見るだけでも価値アリです。

蒼い光に満ちた海を飛翔するような狩りは、宇宙を飛び回る見知らぬ生き物のようだが、
タマちゃんは怖いぞ!
こういう人だったんだ、と認識を新た。
ほとんどギーガーのエイリアン状態。
でもペンギンがあんなに太っていられるのも沢山魚を食べるからだ。

甘く優しく囁くような音楽も効果的。

生は過酷であるが故に厳粛で気高く、愛は美しい。
そんな本質を素晴らしく詩的に撮った映画でした。

「冬の最初の涙。海の思いでのような甘い涙」
挿入されるナレーションもあざといほどに巧い。

ここで思うのは、
「二つの美学が存在する。鏡の受動的な美学とプリズムの能動的な美学。前者に導かれて芸術は、環境もしくは個人の精神史の客観的な模写となる@ボルヘス」
クストーを始め「白い恋人たち」などフランス人はこういうドキュメンタリーを撮らせると抜群にセンスがイイ。
フランス人はおそらく「鏡の受動的な美意識」がとても高い。

PS
幾多の困難にもめげない皇帝ペンギン達は、さすがにポジティブ(肯定)です。

PS
ペンギンの丸っこい体型は、体温の保温が重要な極寒の地で、体積当たりの表面積が最少になる球の性質を思いだしました。

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