ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて

February 17, 2006

ランダムウォーク&行動ファイナンスの理論のすべて:8

テクニカル分析の罠
過去の相場の動きをグラフ化し、その先行きを予測しようとするのがテクニカル分析と呼ばれるモノです。

テクニカル分析は以下の概念に基づいて成り立つとされてます。
1)ファンダメンタルズの変化も投資家のセンチメントの変化も需給の変化もすべて相場に織り込まれる。
よって値動きそのもがすべての情報を含んでいる。
2)価格変動には特定のパターンがあり、それは繰り返される。

以上、二つの考えはどうでしょうか?
1)については、おおむね妥当と考えられます。
2)については、相場がカオスであればフラクタル性を持つことになりやはり妥当である、思われます。
フラクタル性とはある現象を大きなスケールで眺めても、一部を取り出して小さなスケールで眺めても同じように見えることを言います。
カオス的性質をもつものはフラクタル性を持ちます。
確かに月単位の値動きと、分単位の値動きのチャートには同じようなパターンが見られ似ています。


~人の目から見るチャートパターンの罠~
テクニカル分析にはある程度の妥当性が見受けられるようですが、気をつけなければならない罠もあります。
人はランダムな動きにも、法則性を見出そうという傾向があるのです。
コンピューターで完全にランダムな動きをシュミレーションさるとせ、そこに人は法則性を見出します。
ランダムな動きは、人の目にあまりランダムに見えないのです。
それらしいパターンはランダムな動きからでも充分に生まれうる、ということに注意して下さい。
根底のアルゴリズムがランダムなら、見出したと思った法則性から収益を生む予測は出来ません。


~原因と結果のヒューリスティック~
知られたチャートパターンは統計的に検証するとそれほど的中率は高くありません。
それでも信じられるのは、原因と結果のヒューリスティック(早合点)の一種で、妥当性の誤認が起るからです。
トレンドが反転する時、トレンド継続派の投資家と反転派の投資家が入り交じり乱高下してもみ合いながら反転するのでヘッド&ショルダーやラウンド・ボトムなどのパターンが出安くなりますが、
それは「反転した時は、現れやすい」ということで
「現れたから反転する」に違いない、ということではない訳です。

「トレンドが反転する時は、チャート・ポイントが破られる」ものですが、
これは「チャート・ポイントが破られるとトレンドは反転する」ということを保証するものではないのです。
これをゴッチャにしてしまうのが、原因と結果のヒューリスティックです。


~テクニカル分析でのまとめ~
相場予測が相場の現状を正しく理解することから始まるとすれば、
その流れを理解するのにテクニカル分析ほど優れたツールはありません。

気をつけなければならないのは、「何か絶対に正しい分析の仕方がある」という考えに陥り、
過去のパターンは、必ずそのまま再現されると信じ込むことです。
テクニカル分析により導かれた結論は、神の声でも普遍の真理でもなく、あくまで分析者自身の声であることを認識した上でなら、過去のチャートを徹底的に分析することは非常に有益なものとなるでしょう。


次回はこの本のp147-「損切りができない~最も危険な罠」 です。

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February 04, 2006

ランダムウォーク&行動ファイナンスの理論のすべて:7

ファンダメンタル分析の罠の続き:この本のp125-からです
基本にのっとったファンダメンタル分析で分かるのは現状の追認でしかなく、将来を予測する投資行動とは齟齬が生じる危険があることが分かりました。
どうやらさらに一歩踏み込んだ将来予測法が必要なようです。

将来予測は事実分析から自然に導かれるものではなく、まったく性質の異なる作業となります。
同時に人間の能力は、事実分析を超えて将来を予測することには必ずしも適していない、ということを強く認識しておくべきです。

人の将来予測の一般的傾向として、現状追認的な保守性が顕著に見られます。
つまり将来予測といっても、将来の姿を現状と非常に近い形か、
過去から現在までのトレンドの延長線上でとらえがちなのです。
この性質を「予測の線形性」といいます。

エコノミストの将来予測は現状からの乖離が小さくなりがちであり、
現実はそうした予測よりはるかに大きくダイナミックに変化することがほとんどです。

ではどのようにこのエコノミストの罠から逃れるかというと、GDP統計など包括的であっても古い統計には囚われず、ブレが大きく解釈が難しくても受注動向やセンチメント調査などの先行指標の重視するのも一方です。

指標にわずかしか現れていない兆しから大胆な予測シナリオを描く力。
要するに投資は、限られたパーツからいかに早く新たなパラダイムをイメージできるか? が勝負となります。


コンセンサスの誤謬~マーケットコンセンサスの意味~
コンセンサスは事実性の強いモノほど容易に得られ、材料不足のものほど得ることが難しくなります。
事実分析に近いファンダメンタル分析は、このコンセンサスが得られやすいという傾向がります。
同時にコンセンサスに従う投資は精神的に楽であり、その誤謬に誘われやすくなります。

確かに時間的にみれば一つのコンセンサスは比較的長く維持され、すぐに反する動きが出てくるわけではありません。
コンセンサスが続いている限り、それに従う投資は、利益を積み上げられますし、反する行動をとれば大きな流れに逆らうことになるので、損失が膨らみます。
しかしコンセンサスに反する新しい動きが出てきた時は、相場が強く速く動く動きます。
いままでのコンセンサスに反する見解が支持を拡大していくときこそ、新しいトレンドが生まれ、今までのコンセンサスが強いほど反動は大きくなります。

こうしてコンセンサスに従った投資は、コツコツ積み上げた利益を一気に吹き飛ばしてしまう可能性があります。
強力なコンセンサスを無視し過ぎれば利益は得られず、かといって盲目的に従いすぎて、大きな変化を無視すれば積み上げた利益が吐き出される。
「コンセンサスの誤謬」は広く知られているにもかかわらず多くの投資家が陥る罠です。
投資においては頭で分かっていることと、実際にやることが違うのです。

またマーケットとは懐の深いものであり、自分は優れていると思うはあまりよい結果になりません。
「上には上がいる」という認識はとても大切なことも憶えておきましょう。

~通説のパラドックス~
多くの投資家は勉強熱心であるがゆえに一つの投資理論や必勝法を瞬くまに無効にします。
そういうマーケットで生き残るには、安易に必勝法を求めるのではなく、必ずしも明快な解答が導かれなくても、
その基本構造や原則を理解し臨機応変に対応していくしかありません。
考え抜くことを怠るな、ということですね。

次回はp132-テクニカル分析の罠について

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January 14, 2006

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて:6

マーケットにひそむ落とし穴
マーケットはその構造から多くの投資家を失敗に追いやる「罠」に満ちてます。
その罠は「常識」や「通説」に多く隠されているのでよけいに注意が必要です。

1)ファンダメンタルズ分析の罠
経済の基礎的条件をきちんと理解し、発表される経済指標や決算を分析して状況を理解し、それをもとに投資戦略を立てる。
極めて真っ当なやり方ですが、ここに罠があります。

a)ランダムでないトレンドの発生
カオス的な振る舞いと、持続的な動きを過小評価する人の心理を背景として自然に発生するトレンドがある一方、
何らかの原因によって発生し、理屈の上ではある程度予測が可能なトレンドが存在します。
これを「ランダムではないトレンド」と呼びます。
期待リターンを高めるのはこの「ランダムでないトレンド」だけです。

効率的市場仮説では、情報は瞬時に伝わってしまい、価格に折り込まれます。
これはトレンドを形成しません。

トレンドを形成するのは、「ゆっくりとしか伝わらない情報」です。
初めはごく少数の投資家にしか評価されない情報が順次ほかの投資家を納得させ、
その投資家が順次投資行動を起こすことによって、価格に持続的な圧力が加わるのです。
この持続的な圧力は、この情報を多数の投資家が共有するまで続きます。

では「ゆっくりとしか伝わらない情報」とは何でしょう?
それは「コンセンサスを覆す情報で、かつまだわずかにしか兆しが見られないもの」です。

人間には保守性という心理的傾向があり、
新しい観測には十分な証拠がなければなかなか受け入れられません。
材料が不足していて、多数の投資家には結論のだせない新しい観測は、
多くの投資家を納得させられず、結果その情報による投資行動は徐々にしかおこりません。

もちろん、材料不測の新観測がすべてトレンドを生む訳ではなく、
時間とともに多数の支持を集められるもののみがトレンドを生み出すのです。
また仮に、多数の支持を集めたにもかかわらずその観測が実現しなかれば、その分揺り戻しが起こりますが、いったん大きく動いてしまった相場が完全に元に戻るには大変な時間がかかることもあります。

b)現実の経済指標と相場の関係
経済指標の雇用統計(Non-Farm Payroll)は、調査範囲が広く速報性が高い為、重要視されます。
これを株価と比較すると、まるで経済指標を先回りするように動いているように見えます。

マーケットの予測能力は非常に高いものがありますが、いつも正しい方向に出るとは限りません。
株価は経済指標が出る前に動き出し、その先行的な動きが経済指標で追認されれば、その時点ですぐ次の動きを予想して織り込みにいく傾向があります。
ですから経済指標を見て、投資行動を起こすのでは遅すぎることになります。

そして波のようにうねる変動にいったん乗り遅れると、相場の波にリズムが合わなくなり、
投資行動が常に裏目に出てしまうことにもなりかねません。

また株価が経済指標とミスマッチする時は、市場に過度の楽観や悲観がある時で、
その“行き過ぎ“状態がマーケットの予測能力を失わせます。

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January 05, 2006

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて:5

自己関与の幻想:イリュージョン・オブ・コントロール
何らかの意思決定に関して、「自分が関与することによってよりよい結果が導かれる」という幻想を抱くことです。
たとえばくじは自分で引かないと気が済まない、あるいは「ゲンをかつぐ」なんてのがそうです。

「自分のわかるものにしか投資をしない」というバフェットの方法は、一般投資家が中途半端に模倣すると有利な投資機会を逃がし、また新たな分野への研究を逃すことにもなりかねません。

金融市場には、株式、商品、海外、為替、債券の互いに関連した主要5分野があり、
これこそがまさに「グローバル・マーケット」であるわけで、自分の得意なマーケットより深く理解するのは当然としてもさまざまな分野を研究分析し総合的に理解することが大切です。
これを市場のM理論と呼んでますが、Mは物理学のメンブレム理論からの援用です。

勝った気になってしまうメカニズム
投資家の心理傾向は投資判断を歪めるだけでなく投資結果についての評価も歪めてしまいます。

「自己責任バイアス」:儲かった投資については良く覚えていても、損をした投資の記憶は曖昧になることです。
「自己高揚バイアス」:投資で成功すると、それがたまたまであっても人間は自分の能力と努力によって実現したと思う傾向にあることです。
「自己防衛バイアス」:失敗については、そこに自分の大きなミスがあっても、「たまたま運が悪かっただけだ」とか「著名な投資家も負けたらしい」という偶然のせいにしたり慰めをもとめたりしがちです。
またきちんと損益明細を実額で明示しないと、自分の能力判断が曖昧になります。

不確実性に支配されるマーケットにおていは、負けること自体は悪いことではなく、
むしろ負けた投資を冷静に振り返ることで貴重な経験を得ることも多いのです。
問題は、敗因分析を怠りながら、負け続けることです。

プロスペクト理論のフレーミング効果は、基準点(リファレンスポイント)の状態が鍵となる。
プラス方向の評価をする時、人はリスク回避型になり確実性を好み、
マイナス方向の評価をする時、人はリスク追求型になります。

もう一つの重要な示唆では
「人は小さな確率を過大に評価し、中程度から高い確率を過小評価する傾向がある」という概念です。
これをウェート関数(低い確率事象では、実際の確率を心で感じる確率が上回り、中程度以上では心で感じる確率が低くなる)と呼び、宝くじや社債プレミアムが説明されます。


次回は第4章マーケットにひそむ落とし穴
マーケットの「大部分が予測不可能なランダムな動きによって構成され、しかし一部には人間心理的傾向から生み出される特有のパターンを持つ」という構造から生まれ、多くの投資家を知らず知らずのうちに失敗に追いやる「マーケットの罠」について

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December 18, 2005

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて:4

プロスペクト理論:中心概念はカーネマン教授(ノーベル賞受賞)の損失回避理論です
効率的市場仮説の前提である「人間は経済合理的に行動する」という意味は、
「金銭的な期待を最大化するように行動する」ということです。

ところがこの説では宝くじが売れることすら説明できません。
宝くじの配当(期待リターン)は50%程度で、宝くじを買うことは「貨幣限界効用一定:1円は常に1円の効用(期待)を持つ」の仮定が現実的ではないということです。

さらにこのプロスペクト理論は
「人間は同額の利益から得る満足よりも損失から受ける苦痛のほうが大きい」という原則を発見しました。
人は損失を回避することを優先する「損失回避理論」です。

この理論によれば、人間の心理には損失と利益に関して非対称で合理的でない心理曲線が存在するとされてます。
損益0の処から投資がプラス(利益)に向かう時、人の満足度は比例して大きくはならずに低減します。
これはいったん利益が発生すると人は小心になってすぐに利益を確定しようとする傾向につながります。

逆に損失が発生すると、損失の増大に比例して大きくならず低減するので、巨額の損失には慣れてしまいがちで、さらに損失が大きくなればもはや追加的な苦痛を感じず自暴自棄になってしまう(効用曲線の平坦化)ことも考えられます。
この効用曲線の平坦化は利益でも起こるので、巨額の儲けを出した投資家がむしろ淡々としていることも説明できます。
同じ平坦化ならこっちがイイですね。

このことから人は投機行動をする時、利益が出ればすぐに利食いをして、勝ちは小額になりがちで、
損失が出れば塩漬けにして大負けする傾向をもつということになります。

上げ下げを1/2の確率で賭ける投機において、
儲けは少なく、損失が大きくなりがちならトータルで勝てるはずありません。


リスク・プレミアム
デフォルトの可能性のある会社の社債は、クレジット・スプレッドを理論値より大幅に高くしないと売れません。
この非合理な投資姿勢が生じるのは「フレーミング効果」という心理指標を使うと説明できます。
フレーミング効果とは、実質的な効果が同じでも、それをどういう枠組みで捉えるかによって判断が異なってくることをいいます。
社債投資の場合、投資家は「デフォルトしなければxx%の利回りを得られる」という心理的枠組みで捉えられる為、いつしかすでに織り込んだはずのデフォルトという事態が異常に大きな苦痛として感じられ、リスクを織り込んだ投資にも消極的になりがちになることです。

結局、人は心理的傾向において、
投機の損は拡大しがちであり、儲けは少なくなりがちであり、チャンスを逃し勝ちということなので、
投機で儲けるには、人間心理の壁を乗り越えて初めて出来る、ということを憶えておきましょう。

次回はp100~から「自己関与の幻想:イリュージョン・オブ・コントロール」です。

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December 15, 2005

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて:3

3章:行動ファイナンスが示唆するマーケットの非効率の存在
効率性仮説は、すべての人間が合理的な行動をとらなくとも、全体の平均が効率的ならば成り立ちます。
理論が崩れる為には、人の投資行動が平均しても合理的にならない「強すぎる偏り」がある時のみです。

トレンドの過小評価~カオス的側面~ギャンブラーの誤謬
コインを投げた時、裏が出続けると、(トリックなしの独立試行で確率は完全に50%)
人間は無意識のうちに次は「表がでる」と思いがちになります。
これを「ギャンブラーの誤謬」といい、カオス理論と絡み、相場にトレンドが発生する原因の一つになります。

A社株が取引されている時、ある投資家が買いを入れ上がると、
なんとか買いたいと思っていた別の投資家の焦りを生みさらに高い値段での買いが入ったとします。
ここに、ほんのわずかな提示価格やタイミングの差で取引を逃した投資家の焦りが、「価格変動を増幅させるカオス的性格」が表れます。
ここで「ギャンブラーの誤謬」が登場します。
この動きを見ていた別の投資家が新たな情報もないのに上がった価格を見て、次は下がる確率が高いと判断して売ります。
しかし価格を上げる連鎖反応が続いている時、上がる価格に売った投資家は恐怖を覚え、損切りの買い注文を出し、それがまた価格に影響し別の連鎖反応を生むことになります。

「ギャンブラーの誤謬は、トレンドを過小評価します」
トレンドはすぐに反転するだろうと思わせるのです。
そうなることもありますが、カオス的な価格変動増幅が強く発生している時、ギャンブラーの誤謬は裏目に出て損切りを迫られそれがさらに大きな価格変動を引き起こし、こうしたことが繰り返され長いトレンドが生まれます。

ところが常にトレンドを過小評価する「ギャンブラーの誤謬」は、
続いていくと正反対のモノに変化するという不思議な性質を持っています。
人間は最初、トレンドが続く確率を過小評価しますが、
長く続くと、逆にそのトレンドがずっと続くのではないか、と感じ始めるようになるのです。

過小評価から過大評価へと一気に移行してしまうのです。
これは人間の心理的傾向として「保守性」があるからです。
人間心理の保守性:
人間は、新しい事態に直面した時、従来の認識を柔軟に変えることができない

過小評価していたトレンドがなお続いても、当初は頑なに過小評価を続け、
いずれかの時点で遅まきながら認識を修正する必要に迫られた場合、
それまでの過小評価の蓄積を取り戻そうとして「大幅な認識修正」が行なわれます。
振り子が逆に振れるような、今度は過信の状態が生まれやすくなるのです。
するとその心理的変化が新たな投資行動(損切り&新規買い)を生みトレンドをさらに継続させるように働きます。

それによりトレンドが続いていくと再びどこかで無意識のうちの「もうそろそろトレンドは反転するだろう」と感じる「ギャンブラーの誤謬状態」に戻り、それでもトレンドの継続が止まらないと、ふたたびトレンドへの過信状態に入ります。
このようなトレンドの過小評価→過大評価を循環的にくりかえすことを、
「代表的ヒューリステック」
と呼びます。
わずかな事例から確率を無意識に修正する「思い込みor早合点」のことです。

次回は3章続きp69~からの「プロスペクト理論」をまとめます。

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December 05, 2005

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて:2 田淵直也

第2章:ランダムウォークの示唆する虚無的世界
1827年イギリスの植物学者ロバート・ブラウンが水中の花粉の動きから発見した、
ウィーナープロセスに沿った運動がブラウン運動です。

マーケットがブラウン運動と同じ動きをして、その変動が正規分布に従うには
「効率的市場仮説」が前提です。効率的市場仮説とは、
1)相場を変動させる情報は瞬時に広がる。
2)すべての投資家は利益最大化の為、合理的投資行動をする。
ただ「効率的市場仮説」には、反論と、そのまた反論と、そのまたまた反論があります。
反論:
1)すべての投資家に情報が瞬時に伝わることはない
2)すべての投資家が合理的とは限らない
そのまた反論:
1)正しく情報を得る投資家が主導権を握れば問題ない
2)合理的投資家が主導権を握れば問題ない
そのまたまた反論:
1)パニックなどで自動的なロスカットなどが発生増大すれば・・
2)非合理的投資家が増えランダムウォークを崩すほどの強い偏りが発生すれば・・

マーケットはブラウン運動ではなくカオス?
カオスとは、ある一定の法則に従っているにもかかわらず、
わずかな動きが増幅され、予測不可能な不規則な動きをする。
相転移などに見られる臨界現象(増幅された予測不可能な振る舞い)にカオスは典型的に現れる。

経済物理学(カオス理論を取り込んだ)によれば市場価格は需給の均衡で決まりながら、その二つの狭間にあってあたかも臨界現象のようなカオス的な動きをもたらすと考えます。
よって市場価格は新たな情報なしでも変動し、時にブラウン運動で想定されるよりも大きな変動をしめします。
この考えは現実のマーケットをより上手く説明しますが、予測不可能性は覆せません。

過去20年間の日経平均の価格変動分布は、対数正規分布に沿いながら、中央値、上昇日が多く、極端な変動日があり得る、という結果が出てます。
これは株価が一般にはゆっくりと上昇し、急に下落する傾向を持つということを裏付けます。
また対数正規分布ではほとんど起らない大幅な価格変動(ファットテール構造)が記録されるのは、暴落時のパニックが価格変動を増幅するという要因があります。

人は、マーケットのランダムな動きにも何らかのパターンや法則性を見出そうとする心理的傾向を持ち、常にランダム性を過小評価することにつながります。(チャート分析での注意点)
「マーケットは多くの人が考えるよりはるかにランダム性があり、はるかに予想が難しい」

すべての投資理論は強力なランダムウォーク運動を乗り越えねばならず、それができて初めて非効率な部分を収益化できる投資理論として意味をもつ。
マーケットにわずかに残る「ランダムでない部分」に焦点を当てない限り、期待リターンを高めることはできない。
それには「不確実性」に対する深い洞察力を持ち、確固たる信念と忍耐力がいります。


次回は3章:行動ファイナンスが示唆する非効率の存在

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November 25, 2005

ランダムウォーク&行動ファイナンス理論のすべて   田淵直也

良い本なので覚え書きを書きます。

はじめに
投資にたいする二つの代表的なアプローチは、
1)経験論的なモノ:環境の変化についていけない。
例:土地神話で失敗した人たちなど。
2)アカデミックな投資理論:実践には役に立たない

結論:
マーケットの本質は不確実性にあり、「こうすれば必ず儲かる」という方程式は存在しない。
確かなモノなど何もないという前提のなか、その不確実性にどう対処するか?
何か絶対的な理論があってそれを現実にあてはめていくのでなく、現実のマーケットの構造を理解(解明する)し、それに対処していくことこそが真の投資理論である。

さらにそれは「自分自身で考え納得したやり方でないと、いざという時に応用がきかない」

第1章:マーケットとは何か? 投資とは何か?
正解がない世界は、それゆえに知的探求の対象として魅力的であり、生まれ続ける新たな変化を探すことは、知的探求心を満足させえる。

マーケット構造を解明するアプローチは主に2つある
1)数学的(スタティック)アプローチ:経済指標などのデーターを与えると、
方程式の解のように正しい予測が導かれる。
複雑系やカオス理論などを使う「経済物理学」などの新流派があります。
2)相場は心理学という考えから「行動ファイナンス理論」がもう1派。
ただ問題は理論が大切ということではなく、あくまで現実をよりよく理解するツールと心得ること。

実践パフォーマンスの意味と問題点
コンピュターシュミレーションでも高い勝率が与えられた投資家が必ず勝てるという結果はない。
仮に買いのみ行なう投資家は、相場の上昇局面では高い収益を上げやすいが、リターンリバーサルにより、相場が下げ曲面になると収益性が悪くなる。
よって短期の実績で投資方法を評価しないこと。
相場の中期的なサイクルは3-5年で変わるのでそれ以上の期間でパフォーマンスを計ること。

期待リターン
正確に期待リターンを割り出すことは出来ないが、その見当をつける事は出来る。これが投資センス。
「投資とは、期待リターンの見当をつけ、それを理論的に推定していく作業のこと」
それを信念、投資哲学として高められるかどうかが成果を左右する。

次回はランダムウォーク理論が示唆する虚無的世界。

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