科学

May 01, 2008

超ひも理論を疑う:2   ローレンス・M・クラウス

前回の記事で、この本を絶賛しましたが、多少割引きます。

前半は、何回読んでも分からなかった、難解な(←シャレてみた)超ひも理論もこの本との出会いで解決と思ったのですが、終盤に進むに連れ、真面目に一つ、一つ理解しようとするには、扱いきれないほど多数の仮説が、オモチャ箱をひっくり返したように提出されて、こんなの分かるかい!
と放り出したくなりました。
まぁそれは筆者自身が自覚しているようで、随分メンドウになったから、読者のみんなが混乱しても無理はない、発言から始まって最後の方は、主張のあまりの尊大さや、結果のなさに、あきれて首をふった、なんて書いてあります。
それでも可能性を信じたいのは、
物理学には、数学的な糸口が結局のところ現実となるという気高き伝統があるからだ」そうです。

神の理解へと繋がる万物理論に対し、人間の知性は、未だ道遠し、のようですが、参考になりそうな点だけ抜書きしますから、読んでください。

1)そもそもなぜ究極の物質は、素粒子からひもになったのか?
素粒子だと相互作用の行われるところが点になってしまい、数式上の発散(解答なし状態)である無限が多発してしまう。
それを「ひも」という状態に仮定すると、計算する場が、粒子という点から励起したひもという空間へ広がり、極微のスケールでの計算に整合性が出て、重力理論の取り込み過程において有限の結果が得られそうになったから。

2)ゲージ階層性問題
すでに強弱核力と、電磁力は統一された理論がある。
問題は重力の扱いで、それは他の3つの力にくらべ15桁も弱い。
なぜこれほどの差があるのか、そしてこんなに差があるから、自然界のすべての力を説明できる大統一理論が出来ないのだあ!


3)その解釈方として、多次元仮説を持てば、我々が経験出来る3つの空間次元が、より高次元の中間に浮かぶ3ブレーンという「面」であり、重力のみその3ブレーンの外で存在しうる唯一の力とする考えもある。

まぁ俺の理解力じゃこの辺が限界。
この本は読了として記事も今回限りです。

4)素粒子において力に関わるのがボソン(整数スピンを持つ)、物質に関わるのが、フェルミオン(半整数スピンを持つ)とボソンな。
これ素粒子物理の豆知識な。

ps
今後、究極の理論物理学の前提になる、ヤン=ミルズ理論ですが、ヤンとミルズの前に、日本人の内山龍雄は、同じ一般ゲージ理論を完成していたようです。
でも日本では理解されずに、発表が遅れて世界の通り名は、ヤン=ミルズになってしまった!
・・・日本人はホントウに優秀な民族だと思いますが、アピール力に欠けるのが無念です。

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April 26, 2008

超ひも理論を疑う:1   ローレンス・M・クラウス

相対性理論と量子力学の間に横たわる壁を乗り越え、自然界にある4つの基礎的な力(弱い核力、強い核力、電磁気力、重力)を、たった一つの理論で説明したい。
それが物理学の目指す究極の理論ですが、その最大の候補ともてはやされていたのが、いわゆる超弦理論(超ひも理論)です。

私は自然科学分野では圧倒的な数学オタなのですが、その数学が活躍する理論物理もまぁまぁ好きです。
いうまでもなく、ともに素人学問の域ですが、本はけっこうマニアックに読みます。

で、当然、超ひも理論の本も随分買ったのですが、(←読んだとは書いてない)屍累々・・・
このブログでもカントールの集合論と、リーマン予想は、カテゴリーを作っていますが、その他でも数学の本だと、1行1行数式フェチ的偏愛の情とともに読んでいけるのですが、物理はそれほどでもないので、投げるのね。

ことろがこの本はオモシロイ!  どんどん読めます。
よって以下、まとめをシリーズ化(といっても2.3回で終わるでしょうが)、します。

超ひも理論がまず科学者の心を打ったのは、人間が根源的に持っているとしか思えない異次元への憧れがあるのだ、なんていう文芸的な解釈から始まり、何より私の心を打つ名言から始まります、それは
自然科学における数学の途方もない有効性は、神秘と紙一重で、合理的に説明できない。それは不可解なほどの合理性である
詳細を説明する紙片をもちませんが、私は「神」は数学的概念の中に存在すると考えますので、この一言にまず感動します。

本書はマクスウェルの電磁方程式から電気と磁気の相対性を説明し、古典物理学の矛盾が解消される相対論の示すミンコフスキー空間では、「空間や時間は姿を消してただの影となる運命にあり、両者のある種の結合体だけが一個の実在でありつづける@ヘルマン・ミンコフスキー」
と結論づけます。
この本の序盤の最大のポイントは、相対論も量子論も理論が現実を予言し、それが観測や実験で明らかに証明された、ということです。

ショーペンハウエルと同じで、人を芸術や科学へ導くなにより強烈な動悸は、味気なく、退屈な日常生活からの逃避です。自分個人の生活から客観的認識と思索の世界へ逃避したいのです@アインシュタイン」

否定されたカルツァ・クラインの理論は、余剰次元を使うことにより、重力と電磁力の統一を試みた。(←この本の最初の読みどころ)
ここから数学的な必要性を満たす(矛盾なきように数式を展開出来る)要請から超ひも理論の11次元、26次元への展開が出てくる。

電場の量子エネルギーが離散的な値しか取れないのは、隠された変数の余剰次元の存在の為である。

ディラックの方程式が導いた、ふたつの独立した解の存在は、反粒子の存在を予言した。
その結果、粒子、反粒子の対消滅が明らかになり、空っぽの空間は空っぽでなく、むしろ沸騰して泡立つ液体のように、粒子-反粒子のペアが現れては消える空間であることがあきらかになった。

無限和の関数(ゼータ関数で散々やりましたね)から導かれる矛盾は「ユニタリ性:起こりうる可能性の総和は1」4次元でなく26次元世界では合理性が維持される。(←これも数学的概念からの必要性)

ヤン-ミルズ理論(非可換ゲージ理論)にはゲージ不変性という数学的性質がそなわり、電磁力と重力の対称性を別種の座標変換に結び付けられ、さらにグラショ、ワインバーグ、サラムによる量子崩壊の弱い核力をあらゆる面で正しく記述できる。

後半はこの数学的方便から組み上げられた超ひも理論への疑問が取り上げられると思います。
ようは超ひも理論は、量子力学を追求していく過程で、調べるば調べるほと新たなクォークが出現し収拾が付かなくなり、しまいには「そんなものだれが注文したんだ@ラビ:ノーベル賞学者」という事態になり、数学的方便により余剰次元への渇望が始まったようです。

また芸術、文学(クォークというのはジョイスの小説から取られたのね)、鬼才マチスンの傑作「消えた少女」などへの記述があり、科学偏向でなく人間そのものへの洞察が深く楽しめます。
超ひも理論への疑問が本格化する後半はまた次回。

ps
今、目の前のテレビで、エヴァンゲリヲン新劇DVDを見ているのですが、こういうのを見ながら、こういう本を読み、まとめ記事を書いているのは幸せですなあ。

最後まで読んでくれた人に、サービスカット、
Up268997
2ちゃんねる「新劇DVDフィルムカット公開」スレッドからの取り込み。
アップしてくれた人、thank you!

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February 15, 2006

物理学者、ウォール街を往く。 E・ダーマン

コロンビア大学で理論物理学の博士号を取り、ベル研究所からゴールドマン・サックス証券で計量戦略グループを率いた著者の自伝です。

コロンビア、ベル研、ゴールドマンと続くと、生まれながらに才能に恵まれ、巨額の報酬に華麗な転身をしたスーパー・エリートの一代記のようにみえますが、
書いてあるその内容は、いく先々で思うにまかせぬ勉強、仕事に情けない思いをしつつも、そんな現実と折り合い圧し合いしながら乗り越えようともがき、反面、憧れの対象にはいつも遠巻きに見とれる著者の姿です。

文章がとても自然で豊かです。
究極の還元主義者である素粒子物理学者を目指しながら、ウィリアム・ブレイクやホッパーの絵画、ナボコフやカーペンターズを愛し、夏には一人散歩をする終始内気で謙虚な人柄が伝わってきます。

私事ですが、私は思い切り現実的な仕事をしている反動なのか、学究生活に仄かな憧憬を抱いているのですが、まぁコロンビア大での研究者の生活は大変ですね。
研究室での自殺や教官を撃ったという伝説、孤独と絶え間無い成果へのプレッシャー。

同級生はみな極めつきの神童ぞろいで競争は激しく、著者もまわりの天才達に圧倒されて自分の限界に気づくのですが、それでも1流の物理学者になりたいという夢を棄てきれず、論文の指導教官(これを見つけるのが死ぬほど大変そう)になってもらいたい憧れのファインバーグに、「挨拶と微笑み作戦」を試みたところ、そんな自分に耐え切れなくなって、教授と会いそうになると手近な階段に駆け上がり逃げ出すところなど、なんとも笑っていいのか悲惨に驚くべきなのか、まぁ世に甘い世界はありません。

まだ最初の70ページしか読んでいないのですが、当時の量子力学の成果が上げられる瞬間を身近に体験してその内情を淡々と語る処などは興味深いです。
でも「ブライアン・グリーン」という名前に瞬間反応した俺はやっぱりオタですね。


印象的な文章を例によって二つほど。(改編してます)
ニュートンの重力と運動の3法則、微分学は惑星の運動を、マックスェルの微分方程式は電磁気力を説明する。
これらの方程式は知力の勝利であり、冷静な思考と深い洞察が奇跡的に合流した世界から抽出されたものである。
ニュートンやマックスェルの成功は、純粋な思索と美しい数学が宇宙で最も難解な法則を発見する力を持っていることを証明した。
物理学には宗教的な力が存在する。
惑星の軌道や電子の運動が知られた原理に従って動くという、精神が宇宙の行為を予言できることを不思議に思わずにいることは難しい。
真の啓蒙なくして神に近づいたのは芸術だけである。
物理学者たちは、宇宙を想像と記号だけで理解しようと試みる背後にある神秘と力に虜になっていた。
彼らは金よりも知恵と魔法に関心を持っている分野を愛する者であった。

「新発見をするとは」
すべてのことは教わってしまえば単純に見える。
しかし五感で認識できる世界に存在するカオスの中を一人くぐり抜けて初めて、
わかってしまえばきわめて明確に見える秩序を構築したり認識することがいかに困難であるかがわかるのだ。

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December 27, 2005

量子力学:2

原子核は陽子と中性子で出来てます。
陽子は+荷電、中性子は0荷電。
電子は-荷電です。
電子が6個あれば陽子も6個あり原子は電気的なバランスを取ってます。

原子核にある陽子は+に荷電しているので、2個以上ではお互いに反発しあいくっつきません。
それを付けているのが陽子と中性子の間でやり取りされるπ中間子です。
これが核力で原子核を作り上げます。
これは湯川秀樹博士が1935年に発表し、1949年にノーベル賞をとりました。

宇宙の根源力は4つ。それは強い核力、弱い核力(β崩壊)、電磁気力、重力ですが、そのうちの一つ、「強い核力」は日本人が発見したのです。

核分裂:早く起ると原子爆弾とゆっくり起こせば原子力発電
ウラン235の核に中性子をぶつけると、中性子のエネルギーを吸収した核は振動して分裂し、分裂の際、中性子を放出、その中性子がまた他の核に衝突して分裂が連鎖反応を起こします。
長崎型原爆はプルトニウム。ウラン235は天然では238に対して0,72%しかありません。

核融合
水素の同位元素である重水素と三重水素が融合し普通の水素とヘリウムになります。
重水素は陽子が1個と中性子が1個。三重水素は陽子が1個と中性子が2個。
これが融合して陽子が2個で中性子が2個のヘリウムと陽子が1個だけの水素になる。

太陽は核融合で輝いてます。
太陽の中心部では、温度が1500万度、気圧は1000億気圧なので水素が重水素に変わり、
その重水素がヘリウム3になり最後にヘリウム3が2個集まってヘリウム4になり核融合が起ります。
毎秒6億トンの水素が反応し、ヘリウムが生産されてます。

核力
陽子が多くなるほど、陽子同士の反発力が強まり接着剤の役割をする中性子が多くないと原子核が存在できません。
自然界ではウランより重い原子は存在しませんが、ウランでは陽子92個に対して中性子が146個あります。

原子核と電子の距離
広場の中心に直径1ミリのピンを置いたとき、そこから50m離れたところを電子が飛び回っています。
1ミリの中心物に半径は50メートル!
後は空いてます。
その間の膨大な空間には何があるのかわかっていません。
日常空間では空気がある、となるのでしょうが、その空気を作っている酸素を作っている原子の中にあるのですからまさに解明されざる究極の空間というわけです。

陽子に光速と同じ位に加速した電子を打ち込むと粒子が散乱します。
その粒子がクォークです。
陽子はアップクォーク(u)2個とダウンクォーク(d)1個で構成されてます。
中性子はアップクォーク(u)1個とダウンクォーク(d)2個です。
陽子と中性子が衝突して陽子(中性子)が中性子(陽子)に変わるのは、クォークのやりとりで起ります。

次回は量子飛躍

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December 25, 2005

量子力学:1

分子、原子、電子、中性子くらいまでなら分かっても、そのまた奥の素粒子の世界になると複雑で分かり難いので、まずは「図解雑学量子力学」という本から勉強してしまいましょう。

量子力学は身近なところでは電子レンジに応用されてます。
あれはマグネトロンという真空管がマイクロウェーブ(波長の短い電波)を出して水の分子を振動、摩擦熱で食べ物を暖めるのですね。

物質とドンドン小さく分けていくと、最後はアトム(今は原子の意味)という究極の物質になると言ったのは、
デモクリトス(bc460-bc370@古代ギリシャ)です。

水の分子はH2Oです。
これは水素原子Hと酸素原子Oに分けられます。
分子には水のように数種類の原子からなる化合物。
酸素、O2のように1種類で出来ているモノ。
アルゴンArのように原子=分子であるモノ。
アミノ酸のように、水素、窒素、炭素、酸素が側鎖で結ばれ大きく複雑な高分子化合物のモノ。
があります。

分子を計る単位はオングストロームといい、1億分の1cmメートルです。
感覚的に表わすと、1cmを地球の大きさとすると、1オングストロームは手のひらになります。
重さは水素原子が1,67×10^-27キログラムです。
これはただの1,67グラムとどのくらい違うかというと、カセットテープ1個と月の重さくらい違います。

水の変わりに酸素と水素を吸っても喉の渇きはおさまりません。
つまり水という性格を持った最小単位が分子で、それは全然違った性格をもった原子で出来ている訳です。
ウランには原子量が238、235(広島型原爆で使われた)、234のモノがあり質量が違います。
同じウランから出来ていても違う物質で、これらを同位元素(同位体:アイソトープ)といいます。

水1立方cmには原子が1千兆の1億倍含まれます。
1千兆×1億です。1の後に0が23個続きます。

α粒子を放射するラザフォードの実験から確認された原子の構造は、
原子核が陽子と中性子からなり、その周囲を電子が飛び回っています。
このモデルは長岡半太郎が考えました。

元素周期表
原子番号=陽子の数及び電子の数
原子量=原子の重さ
原子番号=陽子の数順に付けられてます。
価電子=一番外側の電子の数で、周期表の縦列です。最外郭軌道の電子の数が同じだとなんとんく性質が似た原子があつまります。(周期表の横列は電子の軌道の数)

電子軌道:電子には回る軌道があり、その軌道に入る電子の数は決まってます。
最初の軌道n=1(K殻)には電子2個まで、2番目の軌道n=2(L殻)には電子8個まで、
n=3には電子18個までn=4には32個までです。

この軌道に全部電子が埋まっていると原子は安定し、電子の数が原子の性格を決定します。
例:水素原子は電子1個、ヘリウムは電子2個で最初のN=1軌道が埋まっているヘリウムの方が安定してます。
一番原子核に近い電子の軌道が埋まっていると、その原子に電子をぶつけても電子の入るところがないからです。これを安定した構造の原子といいます。

本日はここまで。
次回は中間子を媒介する原子核の構造からです。

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