科学

November 25, 2012

小林・益川理論から量子力学を復習

量子力学は沢山のクォークが出てくるので、小林・益川理論にそって復習します。

物質を造るクォークは
第一世代のアップクォークとダウンクォーク
自然界のすべての物質はこれだけで出来ています。
陽子はuクォーク2つとdクォーク1つ
中性子はuクォーク1つとdクォーク2つ
この核子が原子核となります。


では何故、第二世代のクォークが必要だったか、というと量子加速器で衝突させた時、第一世代のクォークだけでは説明のつかない粒子が出てきたからです。
とても奇妙なのでストレンジと名付けられました。
対照となるのはチャームクォークです。

第三世代のクォークに行く前に力を伝えるゲージ粒子をまとめると
強い核力:グルーオン
弱い力:Wボソン、Zボソン
電磁力:光子
です。
重力はヒッグス粒子ですが、これはヒッグス場ということで、まだ理論的にも統一されていません。

弱い相互作用(弱い核力)
アップクォークをダウンクォークに変えます。
中性子のベーター崩壊ではダウンクォークがWボソンを媒介にしてアップクォークに変わります。
ただしアップクォークと対になるのは、ダウンクォークとストレンジクォークの混合したものでした。
このねじれ具合を「カビボ角」と呼び、これがあるせいでストレンジクォークが出てきたりアップクォークに変わったりします。

1964年に「中性K中間子@ダウンクォークとストレンジ反クォークが束縛した状態」の崩壊がCP対称性を破っているのが発見されます。
CP保存則は粒子と反粒子を入れ替えた(荷電反転)の世界では、空間反転(3軸すべての反転のこと。1軸反転の鏡像反転とは別個)するという素粒子対称性理論です。
当時、この対称性が破れる現象を説明する理論がなかったのですが、小林・益川理論は3世代のクォークを導入することで説明。その存在の予言をしました。
それはダウン、ストレンジ、ボトムクォーク(トップクォークとともに第三世代をなす)の間のねじれを3つの角度で現し、混合の仕方が複素数を含む6つのクォーク場の位相回転では吸収しきれない複素数位が残ることで証明します。いわゆる「複素数位相の自由度の発現」です。
この複素位相は2世代では残らないので、3世代目が必要でした。

当時は第二世代のチャームクォークすら見つかってなかったので、第三世代までの存在を予言したのは驚きでしたが、1995年にトップクォークまで見つかり、2001年にはB中間子(ダウンクォークとボトム反クォークの束縛状態)の崩壊実験で、CP対称性の破れの計算結果も完全に一致。
正しさが証明されました。

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July 11, 2012

重力とは何か 大栗博司@超1流の現役学者が書いた超1流の入門書

先日、世間はヒッグス粒子発見か?のニュースで湧きたちましたが、素人量子力学マニアの方々は、如何感じたことでしょうか?
「神の粒子」なんて二つ名があるせいか、随分持ちあげられてましたが、マスメディアの反応、トンチンカンな記事も多かったよね。
そもそもフェルミオンとボソンの違いが分かっているのかと、問いたい、と思った方、多かったと思います。
素人にとっての量子力学の難しさは、理論ではなく、基本的に覚えることが多いってことです。
ぱっぱと3行で説明せよ、ってのは無理。
本を読みこんで、基本的は構造を紙に書いて頭に入れる。
話はそれからだ、というのが量子力学。
背景となっている理論がとてつもなく難解なのは当然ですが、それと格闘するのは、専門の職業学者さんたちで、我々はその上澄みをすくうだけ。
それでもちょっとは勉強まがいのことがいるって話で、それならこの本は最もおススメな1冊です。

文章が特に読みだしの辺り、多少重い感じがあるのですが、読んでいると、ともかく分かりやすい。
何故、こんなに分かりやすく書けるのか、といえば、著者が現役で世界の最先端で活躍してるからです。
あらゆることが一次情報で、また聞きの勉強ではない。
この世界の、さらにまた世界でも最先端の研究に、実地に参加しているから、同じ内容について書いても説得力のある文章になる。
今までの量子力学本で、もやもやはっきりしなかったことが、非常に明快になります。
比喩の仕方も巧みで、それは著者のイマジネーションの豊かさを感じさせ、理論物理学者としての才能も暗示していますね。

ps
不確定性原理とハイゼルベルグの不確定性原理、ごちゃになってませんか?
さらに不確定性原理となるのは測定限界のせいではなく(それは分かっていた)、波は1周期計らないとダメって話だからなんだよ!
今まで知らないことも沢山勉強になりましたが、知っていると思ったことも理解が深まりました。

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September 04, 2011

宇宙は何でできているのか 村山斎@内容の素晴らしさを伝えない題名

この本の唯一の欠点は題名です。
「素粒子物理学で解く宇宙の謎」(こっちも工夫がないですが)という副題を採用すべきでした。
なんで題名にこだわるか、というと、こういう分野を読む層は、オタクが多いからです。
この手の本は、出ると注目している。
それでもう何冊も読んでいて、自分は結構詳しいと思っているので、あまりにシンプルな題名だと食いつかないのですね。
ま、自分を標準に語ってますけど。
内容が素晴らしいだけに残念なんです。

読めば、素粒子物理学の基礎が非常に分かりやすいたとえで丁寧に解説され、巧みに最新の宇宙論に結びつけられている一冊となっています。
「素粒子物理学で解明された新たなる謎」について知りたいなら、既刊本の中では恐らく最新であり、得られる情報はとてつもなく大きいですから、この分野がお好きな方は必読です。

2003年に、我々は何も知らないことを知った、なんて件はスリル満点でしょ。
粒子加速器が電子顕微鏡とか、スペクトルの黒線で物質を見分けるとかですね。
原子一個を野球場にたとえた時の核の大きさとか、理解が今一歩だった処がはっきりする。
電荷が逆なのに電子が原子核に落下しない理由とか、パウリの排他律ですね。
速効で答えられないなら、絶対に読むべき1冊です。

質量欠損の箇所と、
有名なプランク定数h<Δeエネルギー曖昧さ×Δt時間の曖昧さ
ここから見つけやすい素粒子の性格を語る箇所は絶品だった。

著者は研究者としても1流ですが、素人向けの語りもかなり巧いですね。
複雑な因果は非常に整理されて書かれ、疲れたころあいには、クスッと笑えるエピソードを混ぜる。
相当の手練ですよ、この著者は。
今後も新たな知見が得られたなら続刊、続々刊と希望したいです。

ps
この本を読んで、素人に素粒子物理学が難しい原因がはっきりしました。
コペンハーゲン解釈などに代表される、日常とはまったく違う論理構造は、何度も何度も読まされているうちに理解が及ぶんだよ。
難しいのは、何より覚えることが多いことなんだ。
クォークを世代別に整理出来たと思ったら、バリオンとメソンまで出てくるんだもんな。
素粒子物理学、素人は暗記物と心得よ、が今回の結論です。

さあ!
この本も何度も読んで暗記しよう!

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June 06, 2011

ホーキング、宇宙と人間を語る@理論物理学マニアも読んでみよう

昨今のアマチュア向けの理論物理学本、非常に充実していて、そういう本をマニアックに読みなれてくると、今さらホーキングでもないよなあ、と。
一般の認知度が高いだけに、つい卒業したよ、と言いたくなると思います。

私はそう思っていたので、あまり期待しないというか読み始めの頃は、もうこの程度の事、みんな知っているよ、と少しガッカリしながら読み進めたのですが、やはりこの人は凄いです。
他の本と一番違う処は、知識として知っていることを理解させる哲学が深い事。理論物理学が宇宙に挑む過程での、歴史的な、思想史的な視点がこの著者の値打ちです。

では、以下は何回読んでも覚えられない量子電気力学と量子色力学の備忘録
1)電磁場の量子論が量子電気力学略してQED(←証明終了の事ではない)
リチャード・ファインマンが、ファインマンダイヤグラムとして定式化。
力の場がボソン。物質粒子がフェルミオン。電子やクォークはフェルミオンです。でも光子はボソン。
荷電粒子間のあらゆる相互作用は光子、ボソンのやり取りです。
この力を媒介する粒子が交換されるすべての方法を分かりやすく説明するのが、ファインマンダイヤグラム。

でも無限個の異なる寄与を足し上げてしまうと、電子の質量や電化が無限大になる。
これに対処するのが、「繰り込み」理論で、現れる無限大の負に無限大の和を相殺させる。
観測と非常に一致するが、数学的には怪しい作業で、これを救ったのがワインバーグ・サラムの電磁気力と「弱い力@弱い核力」の統一理論
W+、W-,Z0と呼ばれる三つの粒子を予言し実証される。

2)量子色力学QCD:強い力@核力はそれ自身で繰り込み可能の理論
クォークに3つの色、レッド、グリーン、ブルーを仮想する。
それぞれに反粒子のパートナーが存在し、それはアンチレッド、アンチグリーン、アンチブルーとなる。
組み合わせると色が消えるものだけが自由粒子として存在出来る。
カラーとアンチカラーは打ち消しあうので、クォークとアンチクォークは無色のペアを構成し、メソンという不安定粒子となる。
3つのカラーがすべて混ざっても色は消えて1つずつの色を持つ3つのクォークはバリオンという安定粒子を構成し、陽子、中性子となり原子核を構成します。
強い力@核力は、クォーク間の距離が近いと小さく、離れていくと強くなる漸近自由性という性質を持ちります。
ゴムバンドで結びついているイメージですね。

原子核はフェルミオンであるバリオンで構成されると・・・言う事でイイの?

量子力学のクォークの呼び名は、沢山あり過ぎて何度覚えてもすぐに忘れてしまう。
「そんなもの誰が注文したんだい@ラービ」
プロですら、こうだもんね。

M理論の数学とか、理論物理学の先端は、ちょっと人類の頭脳を超えてきつつある感じもします。
でも、乗り越えていくんだ、と信じてますけどね。

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July 06, 2010

宇宙から恐怖がやってくる! フィリップ・ブレイド@必読!科学の語る本格派恐怖譚

ベタな題名が付いてますが、著者は現役の天文学者で、語られる内容はしっかりとした科学に裏打ちされ、展開される過剰なほどのイメージも納得ずくで楽しく読ませます。

宇宙物理学が如何にイマジネーティブなものか、ちょっと抜書き
恒星の行末:
太陽は四個の水素原子を三個のヘリウムに核融合させ、膨大なエネルギーを放出しています。
するとコアではヘリウムの原子核が溜まりますが、ヘリウムは陽子が二個ある為(水素1個に比べ)、核融合させようとすると、遥かに強く反発します。

しかしコアがだんだん大きくなると、それ自体の重力でつぶれヘリウムの核融合が起こる。
ヘリウムの原子核が衝突すると炭素と酸素の原子核が出来、水素の時よりさらに多くのエネルギーが放出され、コアから放出したエネルギーは、まだ回りに残っている水素に与えられ、重力の圧力を圧倒し恒星は膨張します。
表面積が増大するので、単位面積辺りのエネルギーは低下し、表面温度は下がり「赤色巨星」が誕生します。(太陽はこうなります)

太陽の二倍以上の質量を持つ星はさらに炭素の核融合を行いネオンを造り、ネオンを核融合させるとマグネシウムと酸素が出来、酸素を核融合させるとケイ素が出来ます。

ケイ素が核融合を起すと鉄が出来ますが、ここまでやれるのは太陽の二十倍以上の質量を持つ恒星だけです。
ただ鉄は核融合を起さないので、恒星のコアの中心には鉄が溜まりつづけ、やがて直径数千キロメートルの鉄の球が出来るのですが、核融合による熱の産出が止まると、熱の放出で周囲からの膨大な重力に対向していたのが出来なくなる。
それに対向するのは、コアの中に大量にある電子で、この電子は普通の電子のように核と結びついていない。
電子が原子核と結びつこうとする度に、強い熱と圧力で剥がされてしまうのです。
このコアの中の大量の電子が、重力により非常に強く押しつぶされると、奇妙な量子力学的現象が起こります。
それが電磁的な反発に似た「縮退」です。(電荷同種同士の反発力)
この縮退圧が、コアを潰そうとする重力に対抗するのですが、コアが太陽の質量の1.4倍になると、重力に敗れ、星自体が崩壊します。

崩壊により、直径数千キロのコアは1000分の1秒の間に、数キロまで縮む。
崩壊スピードは秒速7万キロメートル以上!で、中心部へと落下。
結果、コアは10億度に達し、ガンマ線が生じ、その凶暴な光子は、原子核を破壊「光解離」というプロセスによりコアの鉄の原子核は一気に破壊されヘリウムの原子核と中性子が出来る。
さらにコアが秒速7万キロで縮んだため、その上に乗っていた外層(取り残された水素、ヘリウム、炭素、ネオン、酸素、ケイ素)は、突然支えを失った上に、コアの途方もない重力に引かれ、光速の数分の1の速度で圧縮されたコアに激突する。
その崩壊による凄まじい熱と圧力が、まだコアに残った大量の電子に作用すると多くの中性子とニュートリノが発生。
ニュートリノは、10秒間に10^58個(59桁の数字です)発生し、普段ならなんでも透過するニュートリノも、その数の膨大さとてつもなく密度の高いガス故、衝突し、星を破壊します。

太陽の1億倍の1兆倍のエネルギーが、落下してくる星の外層を襲い、向きを反転させて、外に吹き飛ばす。
1兆トンの数千兆倍の質量が、秒速何千キロの速度で飛散し、爆発の衝撃波が星の外層を突き破ると、圧力と温度が猛烈に高くなり、核融合が起き、鉄より思い元素はこうしてやっと出来る。
この衝撃波の中はコアよりされに過激な条件となり、コバルト、アルミ、チタンなどが出来るのでした。

長くなりましたが、秒速7万キロで量子崩壊する直径数千キロの鉄球のイメージ。
鮮烈ですね。

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June 20, 2010

【号泣!】 はやぶさを歌う初音ミク 【聴き逃すな!】 

60億キロ!の旅を終え帰還と同時に燃え尽きたはやぶさ。
最後に撮られた写真は感動的でした。

日本人は機械、ロボットに生き物に対するような共感、親和性を持つ民族ですが、これは日本人の他人を思いやる気持ちが強いことの証左なのです。

他者への強い想像力に立脚した優しい、穏やかな気質と、優れた科学力の両方を兼ね備える稀有な国民性をもつ民族ですから、こういう優れた音楽も出来る。
歌詞が感動的です。
涙なしでは聴けません。

はやぶさ@初音ミク←ここから聴いてください

はやぶさは、観測史上最大の太陽フレアも浴びていたんですね。
太陽フレアは宇宙空間では非常に恐ろしいものなんです。
まさに嵐が身を薙いでいたんですね。
合掌!

ps
ちなみに次期はやぶさに民主党のつけた予算は3千万円。

議場で寝ている参議院議員一人に掛かる国税負担金は、議員への給料、歳費に、秘書給料の肩代わりに、各種膨大な手当て、退職後の年金、さらに視察、外遊などの経費を含めると年平均1億円弱と聞きました。
ホントウだったら絶望的な予算配分ですね。

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May 21, 2010

宇宙を支配する6つの数M・リース著@ご存知でした? 地球を宇宙の中心に据えて大きさが発表されていること

「宇宙を支配する6つの数」、3つ目のエントリーです。

プトレマイオスがまとめ上げ、カソリック教会の教義となっていた時代、人々はこの地球こそが宇宙の中心であり、回っているのは天空だと思っていました。

今やそんなことを思っている人はいませんね。
地球は平凡な恒星の周りを回る1惑星ですが、その地球が属する恒星系ですら、銀河系全体からみれば随分、ローカルな端の方にある、1000億から2000億個ある恒星系の一つです。(まあ輝き渡る、一見華やかな銀河中心部だと、強烈な放射線が溢れ、星同士、銀河同志は近接し、安定した環境は得難いと思うので、これで良しなんでしょうが)

そして我々の属する銀河系も特に珍しい存在ではない。
お隣のアンドロメダ銀河は、恒星数1兆で、こちらより大分大きいようです。

そしてそんな銀河自体がどれほどあるか分からない・・・

もう我々は自分の星が(生命がいる、存在出来る環境がある、という点を除けば)まったく平凡そのものの存在だ、ということを知っている。

そして宇宙の大きさは、と問われると、137億光年と反射的に答える(新聞にたまに載りますでしょ、こういう話題)

でも不思議だったんですよ。
だってクエーサーとか原始銀河とか、極端なのはみんな120億光年先、とか異常なほどの遠方にある。
というか遠方にしかない?
なんでもっと近くにクエーサーとか派手な異常天体がないのか?
あれば天体観測のスターになれるのに!(正体が超巨大ブラックホールらしく、吸い込まれる危険大の上、あらゆる電磁波をとてつもない勢いで出しているんで、本当は近いとヤバイんですけど)

それでも宇宙は、直径137億光年で終わりなんでしょう。
空間は重力によって折り曲げられ、その外側という概念はない。
膨張を続ける宇宙に中心がないのは、知っていました。
我々は二次元上なら、膨らむ風船の上にいるような存在だから。
それが3次元の空間で起こっている。
・・・でもなんでクエーザーとかは超遠方にしかないの?
それで地球は銀河の上ならこの辺、というように宇宙全体なら、この辺、という位置はないの?と思ったら、宇宙の大きさ137億光年は地球を中心!にして測った大きさだったのでした。


相対性理論から、この宇宙には、光速を超えるモノは存在しない。
よって我々は観測技術を幾ら進歩させても、「宇宙の地平」が生じざる得ないのです!
なんと、今発表されている宇宙の大きさは地球を中心にしたものだったのだあ!
コペルニクスは大転換を行ったけど、アインシュタインの発見した理論は、またパライダムを転換させていた。というか転換させざる得なくなっていたのだ。

そしてその向こう側についてはまったく分からない、とこの著者は書く。
空間が複雑に折り曲げられ、次元が違っているかもしれないし、137億光年なんてほんの一部である可能性もある、なんてことも書く。

みなさん、こんなこと知ってました?
俺は全然知らなかったよ。

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May 14, 2010

宇宙を支配する6つの数 マーティン・リース@宇宙に構造をもたらす数、N

以前紹介した本ですが、あまりにオモシロイので再読しております。
今日は、重力と原子間の電気力の比率、Nについて、少しまとめて記事にしたいと思います。

我々を地上に留め、大気を留め、惑星を軌道に、銀河系全体をも支配する重力。
それは質量間の距離の二乗に比例して弱まる「逆二乗法則」を持ち、距離が二倍になると引き合う力は1/4になります。

恒星では星をまとめておこうとする重力と、高温の内部から発生する爆発力が吊りあって形をなしているのですね。
そんな重力ですが、原子間に作用する電気力(電荷)の10の36乗分の1です。
10の下に0が36桁続くのですから、原子間レベルで考える時は、測定不能なほどです。
しかし質量が10の3乗(千倍)に増えるたびに、10の2乗づつ追いついていき54番目(54=36☓3/2)に追いつきます。
これはほぼ木星の大きさなのですが、そこで原子間の電気力と重力は拮抗するのです。
木星より大きな質量の天体になると、自らの重力で高密度に圧縮され潰れます。それに対向するには、中心核を非常な高温に保ち重力に負けないだけの圧力が出せる場合だけで、恒星がそれです。
小さな質量では、重力の力で、中心核を高温に圧縮し輝かせることは出来ません。

この恒星を造れる数字が、重力と原子間電気力の比率、10^-36です。

ではもしこの数字が10の30乗分の1だったらどうでしょう(重力が10の6乗分強いということ)
重力が原子間電気力と拮抗するのに天体は小さくとすみ、恒星(重力による核融合炉)を造るのに必要な原子の数は10億分の1ですみます。
ただこの世界では重力が強すぎる為、進化の可能性はなくなります。
小さな虫でさえ体を支える為に太い脚を必要とし、より大きな動物(その虫の二倍の大きさの動物の体重は、2の3乗で8倍になるから)、はたちまち重力に潰されます。

この宇宙では銀河ははるかに急速に形成され、大きさもはるかに小さく、星は広く散らばるのではなく、狭い範囲に詰め込まれ、際どい接近が頻繁に起こり安定した惑星系は望めません。
強い重力下で誕生する小さな恒星は、少ない燃料を強い重力にせかされるように急速に燃焼させ、1万年ほどで燃え尽きます。
与えられる時間は短く、より高度な進化は当然起こりにくくなるでしょう。

ではもっと重力が弱い宇宙があったらどうか?
今度はすべての条件が逆になるのですから、もっと精巧な、もっと長命な構造が生まれる、ということになります。

重力は万物のデザイナーだったのです。

以上です。
記事にする際、勝手に書き換えている場所があるので、間違っている部分あるかもしれません。

ps
宇宙に存在する4つの根源力、強弱の核力と、電磁気力に比べ、あまりにも差がありすぎて大統一理論の作成からすら外されている重力。
でもその重力が充分に弱かったおかげで今の我々がいられる訳ですね。

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December 01, 2009

宇宙を支配する6つの数  マーティン・リース@必読!エキサイティングな「数の物語!」

この宇宙の大銀河団から量子の世界に至るまで、際どく成立させているのは6つの数の奇跡的なバランスのお陰だったという、とてつもないことを教えてくれる1冊です。
著者のマーティン・リースは著名な宇宙物理学者なので、規範となる理論への理解が深く、よって語り口は縦横無尽。
何より自分が愛してやまない学問への驚嘆が伝わってくる為、読んでいると非常に想像力を刺激されます!

何故宇宙はこれほど広い必要があったのか?(この広さに無駄はなかったのだ)
誕生から今、何故、この時間であるのか?
原子と人と地球の大きさの比率に、奇妙な整合性が生じるのは何故か?

宇宙の膨張速度とか、原子核の核力なんて、我々の生活の成り立ちに何の関係があんねんって感じでしょ。
それがあるんだ!
これが僅かにずれたらとんでもないことになっていたんだ。
それから宇宙に構造をもたらした原初の揺らぎ定数。
もしこのさざなみが10万分の1を超えていたら?あるいはずっと小さかったら?
驚くべき空虚かカオスの叫喚になっていたのだ。

そしてなんと次元の話。
二次だ三次だと普段、深く考えることなくネタにしてますが、なんとこの世は三次元でないと成立しないのです。
プラトン立体とかファラデーの力線から三次元の優位さが説明出来ないなら、当たり前だと言わないように。

四次元生物、というか四次元の宇宙が存在しない、より正確に言えば存在したとしても、それが如何に不安定な物になるか、なんてことを簡単な数学で説明される過程は面白いのなんの!興奮の極み。

さわりだけでも書きますと、それはファラデーの力線で説明されるのですが、電子から惑星まで、中心にある物の回りを回るものは、電子なら電荷、惑星なら重力と遠心力のバランスで回るでしょ。
それが三次元だと力は距離rの逆二乗則に従う訳ですが、四次元になると逆三乗則になる。
三乗則だと僅かなズレで大きく違ってくる為、安定はなくなる訳です!
となるともし四次元宇宙というのが成立した世界があったとしても、そもそもそこに原子は望めないのでした。

さらに不思議なのが、宇宙の膨張スピードと重力のバランス。
100億年以上たっても未だ崩れない。
何故に?????誰かが支えているのか(笑
そんな訳ないんだけど、そんな訳あるような気もしてくるスリル。

金が貴重である理由から、時折発表される宇宙の広さが「最果てはどうしてどちらをむいても地球から135億光年先なのか」なんてことまで、この本には、薄っすらと感じていた、多くの疑問への解答が載っています。
何回も読み直したくなる、知的興奮に満ちた本でした。

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February 27, 2009

ねこ耳少女の量子論 萌える最新物理学  竹内薫、松野時緒/この内容で500円なら安い

ねこ耳少女と出会った少年が、量子論を勉強していくマンガの本です。

素人学問として量子力学をかじろうと思う時、やっかいな所は、
①普段我々が生活しているニュートン空間とはまったく別個の論理体系(存在の確率性、観測値への収束)を受け入れなければならないこと。
②基礎知識として憶えなければならないことが、フェルミオンとしてレプトンが電子、ミュー粒子、タウ粒子、さらに3種のニュートリノと6つあり、クォークがアップ、ダウン、チャーム、ストレンジ、トップ、ボトムと6種類あり、それぞれ電荷とスピンの角運動量、世代が決まっていて、さらにボソン、ゲージ粒子(力を伝える粒子)として、光子、重粒子、グルーオン、ウィークボソンにまだ未発見のヒッグス粒子が・・・と多い!
原子や分子みたいになんとなく身近な名前からとられた物ならともかく、抽象的な名前をこんなに沢山、「誰が注文したんじゃ」ボケということになることです。

結局、よっぽど気合入れないと分らないけど、一銭にもならない勉強分野なので気まぐれに手に取った本も投げ出してしまうんですね。

それがこの本ではほとんどがマンガ。
1エピソードの後に最小限の解説という具合に読む場所が少ない分逆に頭に入りました。

コペンハーゲン学派(波束の収束)とアインシュタインの喧嘩の話とか、シュレーディンガーの猫の解釈とか薄覚えの分野もはっきりした。
バカなんで一遍にあんまり沢山の情報量、与えられすぎてもダメなんです。

絵の方はかろうじて及第点かな・・・ストーリーのオチも良かったと思います。
欲を言えば「PEACH-PIT」の方々当たりに担当して頂ければ世界に売れるかも・・・
まあこれは贅沢過ぎますね。

ps
シュレーディンガー方程式
この波動方程式がなんであんなにありがたられるのか、ってのも、量子状態ではすべての物質は波なのだ、ってことなのね。

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