日本映画

September 10, 2011

ボーイズ・オン・ザ・ラン@トラビスがもし21世紀の日本にいたら

顔もサエナければ仕事もダメな男性が、初めて夢中になる恋をした・・・でも、という映画です。
WOWOWで放映されなければ、絶対に観ないだろうという映画でしたが、観終わった後、心に残る1本となりました。
私の大好きな「タクシードライバー」へのオマージュ映画だったのね。

原作の漫画は読んでないんですが、映画では途中、トラビスの写真が出てきました。
あのYou talking to me?のシーンのヤツです。
殴り込みに行く時、モヒカンになるのものオマージュってヤツですね。
若く、絶望していて、残されたものは暴力だけ、というのは、時代を通じて恵まれない(=ほとんどの)若者の心情です。
それで砂場で喧嘩するだけなのは、正々堂々の日本人ならではか(笑
これが本物のトラビスなら会社の部署の入り口にガソリン撒いて終了ですよね。
そうすると別の映画になってしまいますけど・・・

ダメ男の悲惨と再生への入り口を主演の峯田和伸さんが好演していました。
駅のホームでの見送りシーンは、オチが効いてて良かったですね。
痣だらけの顔のサムアップに、走りまくるラストは痛快です。
このシーンを、長々と引っ張らないのもセンスでした。


教訓:あまりに無体な女はスルーせよ
女性を好きになる。
結構なことだと思います。
その女性に告白する。
結構なことですよね。
断われてもなおアタック。
良いんじゃないでしょうか。
でも仏の顔も3度まで、にしておいた方がイイです。
ダメなモノはダメなんです。
理屈じゃないんです。
だから恋愛なんです。
男性だってそうでしょう。
恋愛も投機と同じ(←同じかなあ、笑)
押目買いは3回まで。
それでダメなら自分の理屈を言いたてるのでなく、投げる。諦める。
もっともここまで冷静に対処出来るのが、恋愛か、と問われれば疑問府ですけどね・・・ただ私はしかたなくそうしてきましたけど・・・そして自分を気にいってくれている女性の中からパートナーを選びましたけどね。

ダメなモノはダメなんだよ、という真実を教えてくれる意味でも、この映画は良作です。
人生に不可能はある。
でも起き上がった男なら、新たなる挑戦の日々は続くのさ、きっと。

ps
タクシードライバーで、ラスト、トラビスはベッツィを無視しますよね。
この映画でもご覧の通りです。
梶原一騎的な世界観ですけど、やっぱり男にとって一番大切なのは、女より自らの炸裂なんじゃないでしょうか?
なんとなくそんなことも考えましたよ。

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June 18, 2009

大魔神怒る      @大魔神は何故怖かったのか?

ホラー映画が一番好きなカテゴリーなんて書いてます。
グロ系のホラーは嫌いなんですが、ホラーは小説の方でも一番好き。
恐怖にある種の美が混在するようなものが最高ですね。
もっと怖い話はないものか、と日々思っているのですが、今まで一度も本気で怖いと思う映画はなかったのか、と思い返すとあった。
子供の頃、怪獣映画のノリで見に行った大魔神は怖かった。

なんであんなに怖かったんだろう、と昨日やっていたのを録画して見返したんですが、これは人の憤怒の表情だから怖いんですね。
怒りの感情が直接的に伝わってくる。
その思いが怖い。
同じ破壊行為でも怪獣だと別次元の話し、と距離が置ける。
でも人の顔をした魔神が憤然と怒りだし、城壁をぶち壊し、ズシンズシンと迫ってくると怖い。
青銅色に変色した顔面に充血した眼球がギロギロと動き、絶対に悪人は逃さない。
復讐物の復讐シーンだと、イイぞ、もっとやっちまえ、とサディスティックな気持ちになるんですが、大魔神が相手だと、悪人にも少し同情したくなるほどの怖さ。

この映画は時代劇としても、特撮物としても良く出来ていると思いました。
十字架とか割れる海とかちょっと聖書ネタも使われているようです。

ただもっと残虐で怖かったような記憶があったので、調べてみたらこれは二作目なんですね。
私に強烈な印象を焼き付けたのは1作目だったようです。
ちょっと1作目が観たいなあ・・・日本の怪獣映画は凄かったんだね。

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May 02, 2009

私をスキーに連れてって  @この映画は日本の見た夢だったのかな?

87年の映画なんですね。
当時の日本も沢山の問題を抱え、みんなそれぞれ大変な事、多々ありだったと思うのですが、今観ると夢のように楽し気な若者たちの生活が描かれています。
会社が終わったらタイヤを替えてスキー場に一直線。
仲間はロッジを借りてパーティをしていて、ゲレンデでは純な出会いがある。
相手の女の子もプリンスで部屋借りて、何気にシャンパンが置いてある。

派遣村とか、公務員最高とか、自殺者三万人とかという話は全くない(また電車止まってるよ)

私はこの出演者とほぼ同世代だったんですが、憧れを持って見ていました。
布施博にそっくりのノリの軽い友達がいて、女、食いまくりだったなあ、なんてことを思い出します。(そうでなくてもスキーやってる男はモテタよね)
当時私が何をしていたかというと、2ストのバイクで狂ったように飛ばしては部屋に篭って読書・・・驚くことにこの辺は変わってない(笑
いなくなったのは布施博的なキャラの人?
ヒロクン、自殺しちゃったけど、運命なんとなくその後の日本を象徴してますか?
布施博も訴えられたしね。

これから日本はバブルの坂を一気に登り詰めて転げ落ち、以来20年近い停滞の時期になるわけです・・・
この映画からは、熱狂前の、もう何でもありという浮かれた雰囲気が伝わってきます。

今や若者はスキーどころか(今やスキー場はオージーと中華の国の人のモノ?)クルマにも興味を無くし(雪山を飛ぶセリカと運転する原田貴和子がカッコイイ)、掲示板で男女は「残飯、中古」「萌えオタ、キモイ、年収低い」とか罵り合う・・・(←大分偏見入ってます?)


原田知世の笑顔はひたすらに可愛い(長女によると、これは萌え系でロリ系だね、だそうです)
無垢で純情そのもので、ほとんどこれは日本のヘップバーン。となるとこのお伽噺みたいな流れは日本版「ローマの休日」か。

この頃は綾波レイもいなかった・・・というか日本は二次元萌え、綾波レイを必要としていなかった。
目の前の相手に恋が出来たのかもしれない。
バイク屋さんも呉服屋さんも会社員(正社員当然、というかそれ以外いない?)もお医者さんもみんなピカピカでお気楽、極楽って感じ。
楽しい映画だけど、昨今の世情から比べると隔世の感いなめず、寂しさも感じます。
でもいい夢だから観てない人は観て見ましょう。

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January 10, 2009

【日本男児の!】転校生―さよならあなたー【乙女心!】

傑作として名高い「転校生」を大林監督自らがリメイクした作品です。
私は前作の「転校生」、世評ほど気に入っていたわけではないので、リメイクと言われても期待できずに微妙な感情で見始めましたが、大林監督、すっかり評価も確立した今、存分に腕を振るい、主演の蓮佛美紗子の抜擢も成功!
乙女心満載の映画に仕上がっていました。

時にトリッキーな映像を作り上げる監督ですが、今回は繊細な叙情的な美しさを追求した正統派路線です。
その映像につくリリカルな音楽も効果的です。
何より主演の蓮佛美紗子が絶品で、彼女が少女期独特の無垢な美しさを持ったまま、少年を演じるというシーンでは、両性具有的な魔術的魅力が発散されます。
傾斜したアングルから切り取られる冬枯れの景色や、旅芸人との別れのシーンなど夢のよう。

「お前のためなら死ねる、というのはお前のためなら生きられるってことだよね」
というセリフがありましたが、これは難病に悩み早世した正岡子規の
「悟りとは如何なる時でも平気で死ねることだと思っていたが、如何なるときでも平然と生きることであった」を思わせました。
けだし名セリフでしたね。
こういう一言が映画に深みを与えます。

ps
それにしても大林監督、お顔は髭だらけですが、内面は「乙女」だよね。
乙女心ってオタクと通じるとこありますか?

他国の映画、小説にはあまり感じないんですが、日本の男性って乙女係数高いでしょうか?
それは日本人が古来から連綿と持ち続ける「もののあわれ」に通じると美意識と思うのですが、如何?

そう、日本の男は世界にもまれな「乙女」だったんだよ。
それはある種マスコミが喧伝する日本男性惰弱論とか、逞しさに欠けるなんてことではない!
証拠なら今の日本の偉大なる文化と産業を見れば明らかですね。
日本男性は、繊細な美を解すると同時に知性と想像力の両方を兼ね備えた、世界でも稀有な存在なんですね。

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August 31, 2008

舞妓Haaaan!!!  120分高いテンションが持続する痛快コメディ

日曜ですが、鎮痛剤飲んで湿布貼っていても、昨日追突された首が重いし、月末恒例の書類仕事はあるしでなんとも憂鬱な日を、笑わせてくれて少しだけ気分を変えてくれた快作コメディです。

なんと言っても特筆すべきは主演の阿部サダヲさんでしょう。
人を食った名前ですが、四つんばいになって這っていくシーンを見ただけでも、この人、運動能力高いなと思ったんですが、どうも俊足好打の野球少年だったようです。
俳優ってこういう何気ない動きにも出自が出るから怖い仕事ですよね。

内容は、ひたすら「お茶屋遊び」に憧れつつ出来ない哀しみをサイトまで立ち上げて癒していた一介のサラリーマンが、ひょんなことから京都に転勤!
それから始まる年棒8億の野球選手との壮絶な争い!です。

あり得ない展開続々なんですが、そんな道理を引っ込め、無理を通し続ける阿部サダヲの力演は見応え充分です。
社長役の伊藤四郎は当然ハマリなんですが、部長役を演じる生瀬勝久さんもサラリーマンNEOのイメージが良い方向に出ていて楽しかったです。
また植木等さんの遺作にもなっています。
マニアなら必見でしょう。

私はお茶屋遊びはモチロン、クラブとかキャバクラとかともかく女性のはべる場所には一切興味がない、というかそういう場所に連れて行かれると、対応してくれる女性に気を使ってしまい、まったく楽しめないどころか疲れるタイプなので、ほとんど期待しないというか、この映画は、俺の興味の範疇外だなあ、と思いつつ録画しておいたのですが、良かったです。

今の時代、私のような「オタク」も多いと思いますが、そういう方にもオススメできます。
キッチリ笑えますよ。

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June 19, 2008

Dear Friends-ディアフレンズ-

若い人向けのお涙頂戴、安易な難病友情モノ。
私の嫌いなカテゴリーの映画だったし、底の知れた作品だろうと思いこんでいたので無視していました。

それでも取り合えず録画はしたのでPC作業しながら見始めたのですが、まずは画面に登場する生意気な主人公を演じる北川景子が抜群の魅力です。
強烈な魅惑を発散していてまさにスター!クラブで踊るところなど、
ホントウに綺麗な若い女は、世界を握っている」、という感じを良くだしています。

それにしてもご機嫌取りの母親がウザイ。
これだから娘がグレルんだよ、しっかりせんかい、と思いながら見ていると、
夜の病室に登場する子役の佐々木麻緒ちゃんが巧いのなんの。
もう可愛いです。
ともかく健気なんだ。
一生懸命お話してたりすると、オジサンは絶対の味方だ! なんて思わせます。

深夜の廊下で、憎憎しい北川景子すら善人に見せてしまう語りのシーンは、ありがちと切り捨てるのは簡単でも、実際にはなかなか出来るレベルじゃない!
描いたことになっている絵も可愛い。
世の中色々不幸はあるものですが、難病の子供ほど気の毒な存在はありません。
この時点で彼女に免じて見てやるかと、見続けていると、北川の病気が本格的になってきます。

そして本仮屋ユイカが登場です。
非常に清潔な印象の美少女で、高感度なんですが、いきなり最初から、友達、友達と連呼してくる。
なんで?
と思ったら、子供の頃のエピソードでホロリとさせられ、再登場時した時の姿には驚かされます!
これだけの演出をされるとオジサンでも気持ちは大きく動かされますね。

いや、泣いた泣いた。
PC作業放り出して、文句なく泣きました。

最後まで定番の話なんですが、主演の3人、まだ若く恐れを知らない時期にしか持てない強い視線をした北川景子と、透明感のある清潔感な印象の本仮屋ユイカ、佐々木麻緒ちゃんの笑顔は見る価値ありで、しっかりとした演出と脚本もあり、これは見といて良い映画です。

ps
俺はどうも「可哀想な女の子」ってキャラに弱いんだな。
最近やっと自分の傾向が分かったよ。

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April 13, 2008

資金源強奪@深作欣二

タランティーノやジョン・ウーに崇拝されてる深作監督。
確かに「仁義なき戦い」は凄いと思ったけどさ、後はそれほど印象的な作品もなかったんで、この映画にも期待はしていませんでした。

さらに主演は北大路欣也。
私、この人も眼がギョロギョロしていて、ピンとこないんですよ。
よって観る時の扱いは最下層。
食事しながらのぶつ切りの、ながら見となりましたが、イヤー面白かったです。

話は北大路欣也が川谷拓三、室田日出男を連れ立って、大手組織暴力団の花会を襲撃!
山と積まれた大金を強奪しようという強引な展開。
のっけからマスクを被った3人がモーターボートに乗って川を疾走!
たった3人で、複数の組織暴力団相手に何ができるのか?現実感ないなぁ、とシラケ気味だったんですが、襲撃シーンから深作流の激流に呑まれたようなカメラーワークと、人が入り乱れる迫真の演出は絶好調!

そして北大路欣也も川谷拓三も良いんだ。
北大路はどこまでもタフでクールで冷酷非情で執念深くて、なんだか大藪春彦の描く主人公みたいだった。
川谷拓三がまた少し頭が足りなくて、度胸があるんだかないんだか、でもキレスジなのは確かなチンピラそのもので、もう説得力というかリアリティ満点!
二人とも、すごくイキイキしているんですよ。

そして最近は、アンナのパパ、という印象しかない梅宮辰夫の悪徳刑事が、生臭くて油ぎっていて、悪い奴だけど、生命力抜群という存在感で、確かに大した役者さんだったんですね。

ストーリーは、一旦奪った大金も二転三転、転がって、その度に人死にが出て、そんな他人の命になんか斟酌しない連中が喚き立てながら疾走し騙し合い、殺し合いして、ラストは・・・です。

ウィキで調べたら隠れた傑作との評価もあるようですが、私も賛成!
確かにタランティーノやジョン・ウーが撮ってもオカシクない映画です。
というか、両巨匠にもこれだけの低予算で、このレベルのエネルギーが撮れるかどうか疑問だ。
これらなら崇拝されているのもうなずける。

それにしてもこの時代の深作の描いた熱い獣性を持った男たちって、今やすっかり絶滅しちゃったよね。

日本の為には、絶滅危惧された時点で保護しとくべきだったんじゃないでしょうか、なんてことも考えますよ。

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April 05, 2008

羅生門@黒澤明、芥川龍之介原作

日本映画が世界を驚かせた端緒となった作品です。
実際、今見ても非常に見事な作品だと思います。
物語は神話的であり、それ故、普遍性に満ち、黒澤作品の中でもこれから評価が高まるでしょう。
変な喩えですが、もし黒澤作品が1品づつ値段のつくアートならコレは買いですね。
普遍性をテーマにして、成功した作品は古びません。
むしろその過ぎ去った年月を糧として価値を増していきます。

映画は、冒頭の篠付くような豪雨に、半壊した大門、羅生門の描写から、異様な予感をはらみます。
これだけで断然たる出来です。

そして最初のセリフが「わからない。さっぱりわからない」と来る。
いきなり映画のテーマ、結論を言ってしまっているんですが、その後の映像が見事なので、まったく退屈しない。
スポーツならやることを試合開始と同時に全部あからさまにしながら、プレーの見事さで見せてしまうようなレベルです。

呆然と空を見上げるシーンから登場する三船は、唐突に狂騒的な笑いを発し、森を駆ける様は野生そのものです。
その三船が女の手を引き、森を疾走するだけでスリルが高まります。
京マチ子の体現した、女の性の際どさと、刃の鋭さ、その毒性の濃厚さ。
そう言えば近年、このレベルの高度なエロティシズムは見かけませんね。

この3人の異なる言い分、記憶については、最近読んだ港千尋さんの評論から、
「記憶とはHDDに蓄積されるデーターのように、不変なものではない。人の記憶とは、現在の前後関係や情動により、現在に適合されるように築かれる過去なのである。@予兆としての写真」
その時の感情と共に、幾たびも幾たびも姿を変えては再生される「客観的と主張される記憶」
この人として内包する根源的な矛盾を突き、
「羅生門の鬼ですら、人の恐ろしさに逃げ出した」という深遠を問うことに成功したから、この映画は永遠の命を得たのだ、と思うのです。


教訓:危地では相手のペース、ウマイ話に乗るな。
殺すか逃げるか、決断は明確にして、行動に遅滞なきよう。

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November 08, 2007

椿山課長の七日間

浅田次郎原作で、主演はまさにperfectな美貌とスタイルの伊藤美咲(でも演技が不安)。
裏主演が西田敏行。
ストーリーは急死した西田課長が、美女の姿になり変わって3間の約束で現世に戻り・・・という見る前から最後の展開まで予想できるようなありがちな設定。

伊藤美咲さんは、スタイル、美貌ともelegantで1流の美女というに相応しいと打と思いますが、どうも演技が硬くてね。
人柄も良さそうなんですが、女優としてはそれほど魅力を感じない人なのです。
でもこの映画では精一杯、好演していたと思います。
なんだか伊藤さんは出た当時の妻夫木聡さんを思い出させるんですよ。
共に容貌は文句なしのスター! でも演技が・・・
だけど妻夫木クンはドンドン上手くなった。
差がついたなぁ、と思っていたのですが、伊藤さんも上手くなっていました。

ありがちだろうという予想で見始めた話の展開にも1工夫、2工夫があり、ラストの合成画像はちょっと笑いました。
演出もテンポが良く、脚本もセリフも無駄がない。
脇の演技陣も手堅くて完成度が高く、2時間、ゆっくり安心して楽しめる1本でした。

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September 01, 2007

Wの悲劇@映画

思えば1984年の作品なんですね。
この映画は千葉に勤めていた時、一人で見て、感動し高ぶる気持ちを持てあますように、夜の街を歩き回った憶えのある作品です。

数十年ぶりの再見ですが、まずは出演者のファッションのダサさに驚きます。
当時、大人気だった薬師丸ひろ子さんも・・・演技もただ大袈裟で浮いて見える。

「時の試練」に耐えられない映画だったのかなぁ・・・昔はあんなに感動したのになぁ・・・と同じ角川映画でもやはり先日観た「野獣死すべし」との違いに愕然。

そんな停滞ムードを途中から膂力にまかせて強引に引っ張り上げるのが三田佳子さんです。
大女優という役柄ですが、まさにしかり。
洗濯物を抱え舞台で声を出す薬師丸さんへ、声を掛けてくるシーンから、リアリティ、存在感共に圧倒的で、その迫力と発散するオーラはまぶしいほど。
息子さんスキャンダルから活躍の場が減少してしまったことは、今にして思うとちょっと残念でした。

そしてこの素晴らしい脚本の原作は夏樹静子さん。
この方も大ベストセラー作家として名を馳せ活躍しましたが、後に難病で苦労をしました。

そう、人生はままならない・・・
立場を確立した、と思われた大女優でも大作家でも明日が知れないのが人です。
この映画の登場人物の運命の変転を見ていると、そんな感慨もわき上がります。

そんな三田佳子の迫力に乗せられるように劇中劇の形を取るこの映画は、輾転反側、繰り返すうちに薬師丸ひろ子の演技も迫真度を増し、ただただ懸命に生きる人の悲しみと、懸命さが真に迫り引き込まれます。
レポーターからのインタビューでの話し方など、序盤とは別人のような説得力でした。

音楽では、サティのジムノぺティと久石譲さんの旋律は、存分に涙線を刺激してくれます。

泣き笑いの表情でスカートを広げてみせるラストシーンでの感動は昔のままでした。
良かった。

ps
結局、私は戦う人って好きなんですよね。
常に困難はある。
手を変え品を替えやってくる。
でも挑み続ける。
それが生きるってことだよね。

ps
「女優、女優、女優、あんた女優でしょう。勝つか負けるかよ@三田佳子」
私がボンヤリと観ている映画の女優さんも1流の方は、こんな気持ちでやっていたんですね。
参考になりました。


ps
「ああ時の川を渡る船にオールはない
流されてく
横たわった髪に船に 降り積もるわ星のかけら」
ラストの澄んだ歌が良いんですよね。

ps
「Wの悲劇」という題名ですが、これはwomanのWなのはご存じの通りなんですが、
さらに劇中劇をとるという形のW,
そして偉大な先達であるクィーンの「X、Y、Zの悲劇」への挑戦状だと思うのです。
そしてそれは成功してますね。

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