海外の文学

October 30, 2014

変身 フランツ・カフカ@怪物はザムザでなく、我々なのだという暗黒

家族の為に真面目に働いていたセールスマンが、ある朝起きたら巨大な毒虫になっていたという不条理な恐怖を描き、後の文学から、芸術全般、映画からテレビ番組に至るまで、巨大な影響を与えた作品です。

カフカと映画やテレビの関連というのは、あまり聞いたことないかもしれませんが、最近、某有名大学の学生にカフカと言ったら作品を読んだことがない以前に、名前すらしなかったので、あえてサルトルやらカミュに実存主義文学の先駆と賞賛されたなんて話は止しときます。
ただこの人の提示した不条理な恐怖は、後にTV番組としてはアメリカで「トワイライト・ゾーン」日本では「ウラトラQ」やら「世にも奇妙な物語」などとして、作家でもリチャード・マシスンやら筒井康隆などに霊感を与えています。
ま、ともかくスッゴイ作家であり、作品だということです。

さて、もし貴方が朝起きたら巨大な虫になっていたらどうでしょう。
職場には行けませんよね。
結果、仕事も出来ませんから、もう家族に経済的な貢献は出来ません。
虫になったら姿も不気味なんで、貴方自身の気持ちはそのままでも、周りの人間からは驚かれ疎まれます。
この小説のザムザさんも、家族から驚かれ、次第に疎まれるようになります。
でも変わっているのは姿だけで、心はそのまま、家族思いのお兄さんなんです。

もし姿と一緒に心まで毒虫に変身して、家族を襲い出したのなら、嫌われ攻撃されても仕方ないですが、気持ちは家族思いのままなのが悲劇でした。

この小説の恐ろしさは、一夜にしてこれと言った理由もなく、自分の姿が変わってしまうという不条理にあるとされているのですが、どうでしょう。
我々は経済的な利得で人を判断するな、と教えられます。
金持ちだから優遇するな。
貧乏人だから差別をするな。
でもこの小説では、経済的な貢献が出来なくなったということからザムザは貶められます。
また我々は姿形で人を差別するな、とも言われます。
美人(イケメン)に甘く、ブス(ブサメン)に冷たくしないように(笑
もしそれが甚だしければ貴方の人間性が疑われます。

かつてキング牧師はワシントン大行進での演説でこう言いました
I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by colow of their skin but by the content of their Character.
肌の色で人が判断されるのではなく、人柄で判断される世の中になるのが私の夢だと。
その通りですよね。
虫になったからと言って優しく責任感のあるお兄さんを邪険に扱うのは酷い話です。

でもそうするのが人間なんじゃないか、というのが、この小説での顛末です。
金で判断するな。美醜で人を判断するな、なんて言われるけど、結局それはみんな綺麗ごと。
大事にされたかったら金を持ってくるか、綺麗でいるかどっちかだ、なんてことが結論になっています。

そんな人間の暗黒面が赤裸々にさらされているから、この小説は怖いんですね。
怪物は虫となったザムザでなく、我々、普通の人間の内面ってわけです。

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August 24, 2012

わが悲しき娼婦たちの思い出 ガルシア=マルケス@magic realismはない

満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生日祝いにしようと考えた。
という一文から始まるこの小説は、なんと言っても著者がガルシア=マルケスだし、題名もなにやらポエティックだし、手が伸びたのですが、残念ながら文章には、マルケスならではの魔法のような幻想喚起力がありませんでした。

ストーリーも登場人物も極めて真面目な話で、この作品でマルケスが読者を連れ出す先は、南米版、ポジティブ・シンキングの世界。

本の冒頭にあるように、この作品は、川端康成の「眠れる美女」から着想を得たとされていますが、変態度は日本の鶴のような作家に遥かに劣り、まあ、川端より変態という作家はなかなかいないから、私は何をこの作品で何を期待していたのかと改めて自分に問い直すと、結局、文学史上最大最高の作家は、どういう具合にロリータ愛を描くのだろう、という好奇心だったのでしょうね。
でもそっち方面の描写はゼロ。
さらに豊潤を超えた過剰なほどの生命の乱舞の描写とか、夢幻への奔放なスペクタクルもない。

なら読まなければ良かったのか、というとそうでもなくて、装丁が綺麗な本だし(特にカバーを取った後の光沢ある表紙が良い)、なんと言ってもガルシア=マルケスだし、短いし、読後本棚に並べておけば見栄えが良いので、読みたいと思ったらどうぞ、という感じですね。

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June 15, 2012

幸福な死 アルベール・カミュ@不完全な構成なれど「太陽はいっぱい」

カミュ自身がこの小説は不完全であり、出版はしないと決めた初期草稿作品です。
何が不完全なのか、というと、ストーリーの構成で、前半1/3位の処では、
「おいおいあの話はどうなったんだよ。
突然、まったく別の作品になっちゃんでんじゃないの」、と嫌になる。
この当時のカミュに、西尾維新の構成力があったらなあ、と。
時代を飛ばしてコーチしてもらうことをおススメしたくなる。

それでもなんとか読み進んだのは、例によって文章が素晴らしく詩的音韻とイメージの喚起力に満ちていたからです。

フランス人ってホントウに太陽と海の光が好きで、その描写は珠玉の如しであり、類稀なものですね。
サルトルもランボーも、モネもシスレーもピサロも、つまるところ太陽の光に魅せられた者どもであった、と。
結局、フランス人が愛するモノ、フランス人が天国と感じるモノって、ルネ・クレマンの描いた「太陽がいっぱい」なんだよな。
太陽の光と海の煌めきに満ちたリゾートの快楽とその奈落。
リゾート地は、「美と幸福が絶望の相を浮かべている」かもしれないし、「真っ赤に輝く、神々の微笑にみちみちて」いるのかもしれない。
見つかるモノは、「戦慄を一つの歓喜として捉える」ことかもしれないし、「孤独と幸福の無限の砂漠」なのかもしれない。
どちらにせよ、楽しめる。
読んでいて最高のトリップだったのは確かでした。

本人が出版させなかったように、確かに小説作品としては不出来な部分ありますが、天性の詩情は処女作故の繊細な輝きに満ち、オタクなら必読の作品だと感じましたね。

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October 18, 2011

カラマーゾフの兄弟5 ドストエフスキー/亀山郁夫@理解を助ける300pの解説

全五巻にわたるカラマーゾフの兄弟、ついに読了です。
長かったですが、非常に充実した読書時間でした。
この巻での小説はエピローグのみ掲載で、60pだけです。
後の300pはドストエフスキーの生涯として100p、年譜に、解題「父」を「殺した」のはだれか、という亀山さんの解説が掲載されています。
たっぷりとページが割かれているので、解説も丁寧で分かりやすかったですね。

この小説はご存じのように、古典小説の最高峰というには、けっこう未完成な印象が残ります。
一番?と思うのは、キャラクターの書き分けにバランスが欠けていること。
これだけしか出ない子供を、何故これほど丁寧に描写するのか、なんてことですね。
それからエピローグも唐突な印象で、これをもって文学史上の最高峰とまで言われると、荒になるような完成度です。
でも書かれなかった第二の小説があったとすれば、すべて納得なんですね。
その書かれなかった第二のカラマーゾフの兄弟を、亀山さんが非常に巧みに推理してくれている。
・・・惜しかったよねえ・・・ドストエフスキー自身が言うように、この第二の小説が書かれていれば、そうとう凄い作品になったのではないか?
こっちの方がオモシロそうだものね。
そういうことを読めるだけでも、この最終巻は価値があります。

それから神話的な象徴層と物語層の間に自伝層がある、というのも、やっぱりと思う指摘です。
名前からフェードルが一致していて、病気が同じですものね。
偶然とは思えない。
年譜やら生涯の話を読んでいるとまったく瓜二つ。
この小説は、ドストエフスキーが自分の人生を全部叩きこもうとした小説だったんですね。
良く分かりました。

ミステリーとして読めば話は完全に不条理モノの範疇で、何故かセバスチャン・ジャプリゾの「シンデレラの罠」とか思いだしましたよ。
何でだろうと思ったんですが、初読の時期が一緒だったという記憶があるんで、そのせいでしょうか。
他に共通点、ないよねえ・・・

亀山訳は、簡単に訳され過ぎているという批判も一部ありますが、こうして読みとおしてみると、ドストエフスキーの小説は難解な単語に唸りながら読むより、勢いで読む作家だったのではないか、とも感じましたね。
俺が苦しんで読んだ本を簡単に読み終えるなんて許し難い、という気持ちもよく分かり(実は私にもそういう感情がありました)、また平易にすることで、深い場所に眠るエッセンスが消えるという危惧もありましたが、今はまず亀山訳でおススメと思いますがどうでしょうか。

亀山先生には、次に白痴か悪霊を、よろしくお願いしたいと思っています。

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October 10, 2011

カラマーゾフの兄弟4 ドストエフスキー/亀山郁夫@ニュートン的、ユークリッド的世界観の極限の小説

700Pあった4巻目読了です。
長いよね。
救いはオモシロイことです。
ドストエフスキー、恐れるに足りず。
楽しくサクサク読めるんで、みなさんも読んでみてください。

この小説は、私の大嫌いなサヨクの人たちが崇め奉る露文なんで、なんとか難癖をつけてやろうと思って読みだした部分もあるんですが、評判にたがわず確かにオモシロイ。

古典小説の最高峰とされていますが、認めても良いでしょう。
でもドスさんは、川端や三島、カミュのように、読んでいるだけでうっとりするような美文の作家ではありません。
どんな作家か、というと、ひたすら人間とは何者か?
神の存在、不在を通して人は如何に生きるべきか?真理とは何か?
なんてことを徹底して考え抜いた作家ですね。
ロシアという獰猛な自然の大地を舞台に、極端な性癖を持つ人間を登場させ、ドスさんは読者に多くの疑問を提出します。
読んでいると、非常に真面目な方だったんだろうな、と思いますね。
真面目過ぎる位、真面目で、粘着的なほどに考え抜く人だった。

ただ今の時代から振り返るに、ニュートン力学的な決定論に基づいた価値観ですよね。
登場人物が語るように、ユークリッド的な世界観が確固なモノとして根本にある。
最近の作家は、量子力学的ですものね。
ユークリッドの平面上の幾何学だけでなく、第5公準のない曲面上の幾何学も持ってくる。
そうでなければ、ユークリッド幾何学に、虚数を取り入れ、複素数平面上に構造を広げてくる。
作家は小説を、幾何の問題でなく、代数方程式の問題として提出してくる。
そんな感じがしますよね。
でもそこまで考えさせるのは、この小説が、ニュートン的、ユークリッド的な世界観をとことん突き詰めているからなんでしょう。
結局、芸術ですら、その時代時代に明らかになった科学の影響からは抜けきれないなんだな、とも感じました。


はあー、残りあと1巻。
300pちょっとなんで一気に行きたいと思っています。
しばらく小説はイイやと思いつつ、読み終えたらまた何か読みだすんだろうな。

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September 25, 2011

カラマーゾフの兄弟3 ドストエフスキー/亀山郁夫@おまえ、ペンキ屋だな(爆笑

3巻目です。
この巻は、2巻目ほど深い論議は読めませんが、出てくるキャラクターが立っていて、面白く読ませます。
笑ったのはエントリーにも書いた某人物の「おまえ、ペンキ屋だな」というセリフ。
詳しくは読んで戴くとして、この部分、某高級ホテルのトイレの中で読んでいて吹き出しました。
突然の笑い声に、周囲の人は怪しんだと思うのですが、絶妙のタイミングなんだもんな。
この前後に、「運命は、ばけものですからね」なんていうスゴイセリフも出てくるんで、まさかあの悲惨な混乱状態をこんなセリフで落とすとは思わなったです。

さて、話はいよいよ裁判になります。
殺人事件の犯人は誰か?
普通に考えればミーチャ以外ありえないのですが、そこは稀代の傑作小説なんですから、展開を期待しましょう。
まあ、ここからは半分ミステリー小説のノリで読みます。

ps
巻末の亀山さんの読書ガイドが非常にオモシロイです。
まず、日本の左翼が絶賛する露文の大大将、ドストエフスキー様はネトウヨだったのあだあ、ということにビックリ!
まあ日本の左翼は単に日本嫌いだから良いのか。

ポーランドとロシアの歴史的経緯も興味深いですね。
それからカラマーゾフという名前が「黒く塗る人」という単語の合成語になっている、というのも興奮の事実だった。
すぐにストーンズの曲を思いついたんだけど・・・関連はどうなんだろう?

後はロシアの宗教史ですね。
ロシアはギリシャと同じで正教会ですよね。
祖先崇拝と自然信仰、農耕儀礼から、ウラジミール一世が十世紀後半に持ち込んで、異教と融合、二重信仰と知りました。
一つ利口になれました。

相当にオモシロイ小説です。
精密なダイヤグラムに基づいて書かれているので、文学を読むぞ~という気負いがなくても読めますから、気軽に手に取ってみましょう。
ドストエフスキーはスティーブン・キングと同じ位、小説が巧いよ。

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September 17, 2011

カラマーゾフの兄弟2ドストエフスキー/亀山郁夫@奇跡はビジネスになる、を予言した大審問官

カラマーゾフの兄弟、2巻目です。
読むと1巻はこの長大な小説の導入部だったのだなあ、と感じます。
2巻目は、リズムが出てきてストーリーが走り出し、内容が深まってずっとオモシロイですよ。
特に「大審問官」は凄いですね。
イワンの語る、物語詩、という設定ですが、非常にスリリングな部分の抜き書きで、なんとなく聖書の「黙示録」的な立ち位置を感じました。

この章節については書きだすと切りがないんで、一番印象に残った部分だけ書きますと、
「おまえは知らなかった。人間が奇跡をしりぞけるや、ただちに神をもしりぞけてしまうことを。なぜなら人間は神よりもむしろ奇跡を求めているからだ。そもそも人間は奇跡なしに生きることはできないから」
これですね。
そう、人は奇跡なしには生きられない。
だからこそ今は奇跡がビジネスになっている。
巨大化したスポーツ・ビジネスとか映画や音楽などのエンターテイメントビジネス、みんな奇跡の商業化だもんね。

後は1巻目の神学論争に結論が見えてきていて、それは
「神がいないなら、神を考え出さなければならない」
ということです。
でもせっかく造り上げた神も、
「俗世の学問がおおきな勢力となり、過去一世紀は聖書の尊い約束を、何もかも秤にかけてしまった」
となった結果、すべての価値観が功利主義の罠に落ちる。
全部が損得で片付くなら魂は何処に存在するのか?
魂がないなら、我々は肉で出来た、ただの算術計算機ではないのか?
という深刻な疑問。

結局、この小説が現代の日本で未だ新鮮に読まれるのは、神なき時代に置いて、我々はそれを超克できるのか?
という疑問へ必死の解答を差し出そうとあがく処ですよね。


ps
亀山さんが、この小説の構成は、古典派時代の交響曲の楽曲構成を意識しているのではないか、という指摘があります。
18世紀後半から19世紀前半の交響曲の第二楽章は「緩除楽章」と呼ばれ、基本的にゆったりとしたテンポの楽想が与えられる、とされています。
このご指摘、4部構成の共通という点では非常に腑に落ちるのですが、この巻が緩除である、とは思えなかったな。
でも私はシンフォニーでには何故か第二楽章、好きなんです。
甘い感じの旋律が多いですよね。
今後、読み進めないと結論は出ませんが、2楽章贔屓という点では、不思議な一致となるかもしれません。

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September 02, 2011

カラマーゾフの兄弟1 ドストエフスキー/亀山郁夫訳@気軽に挑戦出来る訳

世界文学史上№1候補の小説、カラマーゾフの兄弟。
読んでみようか、と思っても、高すぎる前評判に手が縮みますか?
そういう読者も多いのなら、亀山訳は、悪くないんじゃないか、と感じました。

以前読んだ時は岩波訳で、随分と晦渋だった思い出がありましたが、この小説、読み直して改めて思うけど、1巻では酒飲みの暴れん坊が、息子たち相手に神学論争する話しですよね。
元々そんな教養階級の話ではない。
だからと言って簡訳して良いモノではないと思うのですが、欧州からは文明の整わぬ田舎扱いされる分、スラブの広大な大地を思わせる生命力とカオスに満ちたキャラクターが織りなすストーリーは、少し走り気味でも良いのでは、と感じてます。
2巻以降、まだ読んでないので結論は持ち越しますが、ともかく読みやすく楽しい1冊です。

以下、ちょっとこの小説の熱烈ファンには不愉快な事書きますが、ネトウヨの個人的感想なんで、コイツはバカなんだと思ってスルーしてください。

そもそも私はロシア芸術ってそれほど好きじゃないんです。
極めて優れたモノがあるのは認めてますよ。
画家もマレービッチなんて5本の指には入らないけど、10本の指にも入らないかな・・・いかん、褒めてないじゃん。
でもシャガールなら20 本は無理でも30本の指には入る。
褒めてないな・・・
音楽は凄いよね。
チャイコフスキーに、ムソルグスキーにラフマニノフ・・・でも今やそれほど聞かないか・・・・
ピアニストは凄い!
リヒテルとか好きです・・・でもアルゲリッチとかグールドの方がターンテーブルに乗る機会多いですね・・・うーーーん
バレエなんて凄いよね。
でもオモシロイと思えないんだよ・・・スミマセンね。
やっぱりあんまり好きじゃないんだ。

で、なんでロシア物がそれほど好きでないかというと、
1)元々好みが南欧好き
2)どうも無骨で洗練に欠けるうらみを感じる
何より
3)個人的に嫌いな左翼好きの方々が露文を絶賛、同時に日本人と日本の作品は徹底してバカにして、不愉快な思いが強く印象づけられた、ってこともありますね(笑
ま、私の左翼嫌いは昨日今日のことじゃないんで、どうもスミマセン。

とりあえず2巻以降も読み進めます。
バカな事書きましたが、極め付きに優れた小説であることは確かです。
読もうかどうかと迷ったのなら、必ず手に取って後悔なし。
最終巻までにエルロイなんて吹っ飛ばすような感動を期待しております。
エルロイ、新作出ましたもんね。
コッチも楽しみ。
新旧ドストエフスキー対決の勝者はドッチダ!って書いたら相当怒られるんだかろうか?
いや、ジェームズ・エルロイも凄いじゃないですか。
なんか読んでると思いだすんだよね。

ps
リヒテルって書いたら聴きたくなった。
なんかCD何か買おうかな?
おススメあります?

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May 19, 2011

ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語 ゾラン・ジフコヴィッチ@intelligenceはあるけどmagicが足りない

著者、ゾラン・ジフコヴィッチは、ブルース・スターリングによればスリップストリーム文学の新旗手であり、New York Timesに言わせると「新世代ボルヘス」へのトップ候補だそうです。

3つの作品が収められた短編集ですが、いずれも幻想味豊かな物語で、知的に洗練され、構成も完璧。
文章も読みやすく、この本に限れば薄くて字も大きいので、すぐに読了できます。
でも中身も薄味と感じました。

読者を引き込み、虜にしてしまうようなmagicが足りない。
頭脳は非常に明晰な作家なんだろうなあ、という気はするんですが、狂気というか毒までが薄味なのが残念でした。
東欧文学の流れと、それを生みだす底流に少しふれられた気になったのは収穫かな。

現代文学はとりあえず抑えておきたいという方なら、読んでみると良いでしょう。
決してツマラナイ作品集ではない。
事実、燃え上がる神殿や、悲劇的な能力を持った一人の患者の死は、極めて印象的で、後後まで残るイメージに満ちています。
でも過剰な期待には添えかねるという出来ですね。
個人的にはそう感じました。

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May 04, 2011

緑の家 バルガス=リョサ@あまりおススメできないノーベル賞作家作品

19世紀小説の墓掘り人であるプルーストとジョイスによって、小説という石切り場は最後に残された岩層まで掘りつくされ1930年代以降の小説はもはや小説でない@モラヴィア

この小説の下巻にある訳者解説の冒頭の文章ですが、それでも南米文学は別であると。
何故なら40年代にはボルヘスが「伝奇集」を出しており、ガルシア=マルケスに至っては、60年代以降に「百年の孤独」「族長の秋」が出ているではないか、ということです。

非常に同感で、むしろ南米では何故小説が終わらなかったのか、ということを研究課題にしたら1冊読みたいなあ、と思うほどです。

素人考えで思うには、アマゾンとか密林に宿る膨大な生命のエネルギーとかアンデス山脈の過酷な自然とか、文明化の遅れによる厳しい生活状況とか独裁的な政治情勢だったことかが原因なんでしょうかね?
荒っぽい場所だから文学が生まれる、と。
周囲の環境が優しくなると、フィクションは力を失うってことなのか?
よって
「小説を書くということは、現実に対する、神に対する反逆行為に他ならない。それは現実を修正、変更、廃棄することであり、代えて作家が創造した虚構の現実をそこに置こうとする試みだ。小説家とは異議申し立て者であり、架空の生と言葉による世界創造者である。バルガス=リョサ@ガルシア=マルケスある神殺しの歴史」
ということなのか?
船戸与一だって南米シリーズが一番フィクションとしての生命力に満ちていたよね(関係ないか)

で、ノーベル賞を取ったこともあり、また一人、お気に入りの南米作家が出来るかな、と思って読みだしたのですが、この小説はツマラナカッタです。

文章自体は読みやすく、ちょっと変わった構成も基本となる話自体がそれほど込み入ったモノではないので、気にならない。
ただ魅力が感じられない。
読んでいてもあまり豊かなイメージも浮かばなければ、キャラクターにスゴイのがいるわけでもなくストーリもそれほどとは思えなかったな・・・
きっと私に読めるだけの感性がないのでしょうが、この人がノーベル賞なら村上さんにあげてもイイよね、と思いました。

上下巻で800p、正直、旅行に連れ出さなかったら読了は無理だったでしょう。
読み終えて今は一安心という処です。

コッチをおススメと調べた後に、百年の孤独の新刊がないのにビックリ

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