感動の映画

January 05, 2014

永遠の0@2時間泣きっぱ、そして靖国に繋がる日本人の負債感覚

冒頭、ゼロ戦が空母に特攻するシーンから始まるのですが、映画はここで勝負アリでした。
アメリカ海軍の空母と低空から突撃を敢行するゼロファイターを描いたVFXのレベルが高く、まったくほころびを感じさせないのがこの映画の出来を象徴していました。
原作良し、脚本良し、演出良しに出演者良しとすべてにわたって高水準で、私はほぼ2時間泣きっぱなし。
あの原作を見事にまとめあげた山崎貴監督は、特筆すべき力量で見事な業績をまた一つ積み上げました。

で、この映画の具体的な賞賛は、様々な場所でなされると思うので、今日はこの映画のモチーフにもなっていて、原作者の百田尚樹さんが進言した、とも伝えられる安倍晋三総理の靖国参拝について少し。

今回の参拝、マスコミの論調とは逆に国民の間では圧倒的に支持されているようです。
何故か?
それはこの映画でも大きなテーマになっていた「我々は彼らの犠牲の上に生かされている」という負債の感覚が、今の日本人にあるからでしょう。
戦争で犠牲になった悲劇の彼らに対し、平和と豊かさを享受している我々は、参拝くらいはして「借り」を返さなければならないという気持ちですね。
その誕生時から集団生活をしてきた人類は、借りたら返す、という強い衝動がその根本に宿っています。

いわゆる理屈が先立つインテリ層は、池田信夫などの言う正邪論を超えた、一つの政治的儀式として東京裁判を認めることが責務である、と主張しますが、なんの。
インテリ層にとっては非合理でも、圧倒的多数の一般人にとっては、戦争で若い命を散らされた彼らへの悲哀感甚だしく、せめてお参り位はしてあげたい。
そんな行為に普段から反日活動甚だしい朝日毎日新聞に、在京テレビ局などが賢しらに諌めるような言質を弄すれば、その反感、強まるだけの逆作用で、国民は「良くぞ行ったぞ、安倍晋三」という流れになっているんでしょう。

今のマスコミ関係者が絶対に分かってないし、分かろうとしない事の一つに、一般人のマスコミへの嫌悪感があります。
何故、普通の人がこれほどマスコミを嫌いだしたのかと言えば、それはマスコミが自分たちの属する集団(国)を危うくしていると感じているからです。
何があっても平和平和と綺麗ごとを唱えるが、何かがあった時の対案は出さない。
責任は取らないが綺麗ごとで金は稼ぐという構図が、すっかりバレてしまい、マスコミは裏切り者である、とい認識が定着してしまった。
自分たちの属する集団を危うくする者へ、激しい嫌悪の情を持つというのは、原始の時代から集団で殺し合いを続けていた人類(宗教を生み出す本能@N・ウェイド)が強く持っている感情です。

結局、靖国に行く政治家を糾弾すればするほど支持が高まるというこの構図は、人間に備わった大きな3つの本能が刺激されるからでしょう。
曰く、気の毒な人々への負債感。
縄張りが侵されている事への危機感。
綺麗事を言って仲間を裏切る人間への嫌悪感。

そしてこの流れはやがて大きな空気を造りだすのではないでしょうか?
マスコミの綺麗ごと発言は、国民の間で燃えだした炎を煽り立てている。
だからと言ってマスコミ人という建前教の信者たちが、冷静な大人の現実的な論調を取り戻すことは絶対にないんだけどね。

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March 04, 2012

ヒューゴの不思議な発明@必見の3D映像,スコセッシの差し出した未来へのバトン

3D映像が素晴らしい、という評判を聞いたので、妻と次女とで見てきました。
で、実際どうだったか、というと、

1)確かに素晴らしかった必見の3D映像
完璧と言うにはまだ手前に浮き出た人物像と背景の間が、不自然に空いている感じがありました。飛び出す絵本の書き割りみたいな感じですね。
浮きだした顔自体の丸み、立体感もあとわずか欲しい、ということもあった。
それでも蒸気は、そのままスクリーンの脇から実際に噴き出しているようにしか見えなかったし、画面から雪は降ってくるし、火花に触れたら火傷をしそうな感じがしたし、歯車は本当にそこに存在し、回っているように見えた。
とうとうここまで来たんだな、ということですね。
そしてこの「ここまで来たんだな」ということが、この映画をスコセッシに撮らせたモティーフだったと感じました。

2)メリエスへのオマージュ、スコセッシの差し出したバトン
映画は、映画勃興期の監督、ジョルジュ・メリエスへの濃厚なオマージュがテーマとなっています。
古き良き映画への郷愁と愛が語られる、断じて子供向けの作品ではない。
むしろすべての映画オタクに向けて、暗黒と絶望と暴力の作家として世に出たマーティン・スコセッシが、68歳の齢を迎えて、次世代に送るバトンですね。
メリエスから私は受け継ぎ、幾多の作品を撮った。
今、ここに、敬愛するメリエス作品を紹介しよう。
だからこれを観た貴方がたよ、未来に向けて、新たな夢の工場を造って欲しい、
ということでしょう。
子供たちに訴えることがあるとすれば、「過去に学び、未来を築きなさい」ということで、それは親切なら本屋さんの老人として表現されていたと思います。

ps
女の子が出てくるんだけど、その表情が、映画によって世に知らしめられたフランス女の表情そのもの。
男性をからかい、謎を掛け、優しいかと思えば冷淡で、追いかければ逃げ水の如く。
若き日のスコセッシは、映画の中で、こんなフラン人女性に恋をしたんじゃないかな、とも思いましたね。

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June 19, 2011

しあわせの隠れ場所@アメリカ人がヒッチハイクするのが分かる良作映画

もし貴方がアメリカ人で、アメリカに住んでいたら、ヒッチハイクをしようと思いますか?
あるいは広大な大陸を走る相棒として、ヒッチハイカーを拾おうと思いますかね?
銃が野放しで、サイコ殺人者なんてイッパイいそうで、強盗とか日本とは比べ物にならない位イッパイあっても、他人のクルマに同乗する、あるいはさせると思う?
私は両方ともしたいとは思わない。

この映画は共和党支持者の白人でアメリカライフル協会会員の裕福な夫婦が、身よりのない黒人の大男の少年を家族に迎えて生活するうちに、その少年はNFLのスター選手になりました、というbased on true story.

ホンマカイナ、とツッコミたい人もいるでしょう。
私もそうでした。
だいたいアメフトに興味ないし、この手の映画自体が守備範囲じゃなかったので、資料整理しながら少し観て、後は録画しておこうという心積もりでした。
ことろが観始めたら感動のまま一気、になってしまいました。

まず原題のブラインド・サイドという言葉の意味を、アメフトというスポーツの側から説明すると、ぐるっと回ってこの映画の感動の根元に突きあたるという脚本が素晴らしい。
各エピソードの完成度を高く、テンポ良く保つ演出も良く出来ている。
アカデミー賞、ゴールデングローブ賞をダブル受賞したサンドラ・ブロックを始め、出演者全員の演技も魅力的でした。

素直に感動、でしたが、アメリカ人と日本人のリスクに対する感覚の違いも印象づけられましたね。
この映画の演出の妙の最初のシーンは、雨に濡れそぼる大男の黒人少年を拾って家に帰りつくと、家のソファから振り返るのは、顔にパックを乗っけている美少女の女子高生。
観客に、うわっと思わせるカットだと思います。
暴れだしたら家族全員で掛っても抑えきれないような巨漢の黒人少年を、娘のいる家で引き取るのな、とその感覚に驚きます。
アメリカだってこんなことめったにないんでしょうけど、やっぱりリスクに対する感覚が違うよね。
これがあのお国柄でもヒッチハイクが滅びない理由であり、我々アメリカ人は、必要とあらば幾らでもリスクテイクする、という精神が一瞬で分かるカットだったと思います。

そしてその精神が奇跡的な未来を生んだ、と言う事です。
まさに友愛。
ただし場合によっては命掛けの、です。
実際、少年の知り合いのギャング団が、隙をみて話しを聞き出そうとする。
どっかの馬鹿が全ての負担を国民に押し付ける夢物語じゃないんだよ。
そこが凄いね。

こういう映画は守備範囲じゃない、アメフトなんて興味ない、という方でも楽しめるので、是非ご覧ください。

ps
養子については以前、石垣島のクラブ・メットで、黒人とフィリピン人の養子を連れてきたご夫婦と、夕食をご一緒したことがあります。
ハイシーズンのクラブ・メットだったから、子供二人分でもかなりの値段になると思うんだけど、まったく平気。
甘やかしているわけではなく、食事の仕方とか勉強とか、ともかく厳しい。
お金もあるんだろうけど、気持ちも広いよね。

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March 06, 2010

【ありがちネタでも】 ヘブンズ・ドア 【洒落た1品】

不治の病におかされた男女が海を見に行く逃亡劇・・・
そもそもリメイク作品なんですが、ありがちネタでもありがち過ぎる、という設定ですが、映画は冒頭から長瀬君が好演して惹き込まれます。

長身の体躯を気だるげに動かして働いているとすぐにリストラされ、健康診断を受けに行くと余命1週間と告げられる。
この辺でこの映画は、ありがち設定だとバカに出来ないと感じさせられます。

テンポが速くても無理がなく、余命1週間という思い切った短さも、緊張感を生んでます。
実際、後のストーリーを進行させる大きな動機にもなっています。

即入院ですぐに出会うのがパートナーになる福田麻由子ちゃん。
福田さんは巧いよね。
絶対にエラーしない堅実な内野手って感じ。
この人の処へなら100万回ボールが飛んでも安心して観ていられる。

二人が仲良くなり病院を抜け出すまでのセリフも良く練れていて、脚本の大森美香さん、見事なお仕事です。
カメラも良くて、夜の病院の玄関には、ある偶然からマセラティ・スパイダーが停まっているんですが、それがまた綺麗に撮れている。
このモデルのマセラティ・スパイダーは優雅で美しいんです。
フェラーリやランボルギーニみたいな狂騒性はなくても、静かなしっとりとした佇まいは抜群で、夜のライトに、昼のハイウェイのひたすら映えます。

でもそんなマセラティは怖い人がオーナーで、車内にはオッカナイブツが二つほど置いてあり、二人は警察とオッカナイ組織の両方から追われつつ、海を目指すという話になります。

その話が二転三転四転五転。
最初は二人を乗せたマセラティがひたすらカッコイイんで、このまま行くのかな、と思えばこそ。
あれあり、これありそれありどれあり・・・まあよくこれだけのエピソードを積み重ねてまとめ上げたな、と感心させられます。
監督誰だろう、と思ったらマイケル・アリアスさんでした。
どうりでハリウッド流の鮮やかな手際だと思ったよ。

テクニカルな構成の妙を堪能出切るのですが、エピソードの中身も味わい深いです。ホテルのスィートルームのシーンとかね。

オッカナイ組織の人は、怖さを見せるだけで中々出てこないので、別線の進行になるのかな、と思ったら、キーポイントで登場。
そしてあの顛末・・・工夫だと思いました。

長瀬君と福田さんの役割がじょじょに変わっていったりするのも無理がなく感動的。
最後の方の福田さんのセリフはお見事です。

主演の二人はモチロン、脇の三浦友和さんも味を出していました。
役者良し、脚本良し、カメラ良し、監督良し。
暇な一日のお供に、充分オススメ出切る作品です。

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January 28, 2010

【最後に残った確信は】 チェンジリング 【希望】

失踪五ヶ月、やっと帰ってきたと思った我が子は、別人だった。

すっかりスーパーナチュラル物だと思い込んでいました。
とりあえず現役最強監督、C・イーストウッドさんの作品ですから、じっくり観させてもらおうと思ったら、based on true storyとある。
?、と思ったら、社会派ミステリー、というか社会派ホラー映画の展開です。

相変わらず映像の美しさは比類がなく、イーストウッド・タッチとしか言いようにない深い輝きに満ちています。
抑揚迫らざる語り口は、威厳すらあって、男が何かを語るなら、こんな風に語りたい、って思わせてくれます。
小説にたとえると彼の創る映画は純文学ですね。
文章(映像)の1行(1カット)、1行(1カット)が深い場所にある、真実を照らし出す。

だから繰り出される恐怖が半端じゃない。
安手のホラー映画みたいに、怖さを遊びに出来ない。
理不尽な人間への怒りが本当に込み上げてくる。
恐怖が真に迫り、重く圧し掛かってきます。
ヘビーウエイトのボクサーが繰り出すパンチみたいです。

しかしこの当時のロサンゼルス警察の腐敗は半端じゃないな。
ジェイムズ・エルロイの小説は、モダン・ノアールを表現する上でのフィクションと思っていたけど、違うんだ。
アメリカの暗黒史なんですね。

一通り話しは終わった、という処からの展開もお見事。
ラスト・シーン、青磁色に染められた十字路の美しさには感動せずにはいられません。この人の撮る映像はどこか宗教的な尊厳すらたたえてますね。

ビリオンダラー・ベイビーなどと同じく、決して観やすい映画ではありませんが、イーストウッドと同時代を生きる幸運を噛み締める意味でも必見の映画でしょう。

ps
でもこのロス市警にダーティハリーはいたの? と思ったらあっちはサンフランシスコ市警でした。そう言えば坂道を電車が走っていたものね。
ロス市警はコロンボですね(笑

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November 05, 2009

イントゥ・ザ・ワイルド@胸締め付けられる放浪への憧れ、刹那への生

朝から晩まで働いて、休日もあまりない。
学生時代が終わったらすぐに就職。働き出した。
それ以来、営々と働いて生きている。
そんな人生を望んだ訳ではないが、結果的にそうなっているのは、実はそんな生き方が楽だからだ。
そうすれば経済的に安定し、社会的に信用され、日常生活に不自由が起こり難い・・・なんのことはない、自由を対価に差し出して、安定を手に入れているのだ。
この映画は、そんな生活をしている私のような者にはとても眩しく、もどかしい思いを起させる。

ショーン・ペンは天才だ。
全編に渡るカット・バックの構成は揺ぎ無く安定しながら、優れた詩人の感性がないと撮れないようなアラスカの山々や穀倉地帯の夕日などを軽々と差し出してくる。
叙情と霊感に満ちた大自然の風景は忘れ難く、すべてのエピソードは美しい。

「海の唯一の贈り物は過酷さだ。
自分を強いと感じること。
人生に必要な物は、実際に強いことというよりも「自分を強いと感じる心」だ。
1度は自分を試すこと。
自分の頭脳と手しかない。過酷な状況に立ち向かうことだ」
人は弱いから社会という互いに支えあう協力のシステムを作った。
だからそのシステムには不可避的に甘えが忍び込む。
私などその甘えに最も依存している部類であるが、依存しないでは生きられない。

「荒野で何をするんだ?
ただ生きるんだ。
特別な場所でその瞬間を」
ただ生きる!
とっくに忘れた言葉を囁かれた気分だ。なんと力強い決意かと思う。
本当に純粋な生というのは過酷なものなのだろうと思う。
あまりに眩くて直視し難いものなのかもしれない。
色々な煩悩や娯楽は、眩い生の光を弱めるサングラスだ、きっと。


「もし生き方が理性で支配されるなら、人生の可能性は打ち砕かれる
自由とその素朴な美しさは無視をするには素晴らしすぎる」
そして彼はアラスカ滞在100日目には衰弱し、24歳で死んでいった。
彼の見た青空の美しさは、我々には絶対に見えない美しさだったと思う。

「ボクの一生は幸せだった。みんなに神のご加護を」
こんな言葉を残して死んでいけるなら、悔いはなかったと信じたい。
彼にとって長い見通しの立つ生は苦しみだけだったのかもしれない。
その瞬間を全力で生ききる。
究極の潔さだ。苛烈な生の燃焼は、そこにしかなかったんだろう。


ps
蝿が集りヘラジカが腐るのは、人に害意を持つ「蝿の王」へのメタファーだと思う。
原作通りの事実だったとしても、神話的な意味で一致したんだと思う。

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September 24, 2009

バベル @意図せざる悲劇、不可避なる運命、バベルの塔は立ち続ける

もし私がモロッコの砂漠地帯で土煉瓦の家に住み、山羊を飼い、ジャッカルに悩まされていたなら、自分の仕事中、もう大きくなった子供にライフルを与えて見張りをさせるだろうと、思う。

もし私が13.4歳で父親からライフルを与えられたら、誰もいない砂漠地帯だもの、ちょっと撃ってみたくなるとも思う。
そして兄弟で競争になれば遠くに走ってきたバスを狙う位はするかもしれない。
子供なんだから。
当たるとは、ましてや中の人に当たるとは、それが一家の崩壊になるとは考えないかもしれない。

もし旅先のモロッコの砂漠地帯で妻が打たれたら必死になって助けるとも思う。
長年不法移民としてベビーシッターをしていたとしても、息子の結婚式だもの、無理しても出たくなるだろう。
もし説明のつき難い子供を連れて国境を越える時、警備隊に止められた、長年怪しまれ続けたメキシコ人の男としては強引に突破してしまうかもしれない。

聾として育ち、母親の自殺を目にし、疎外感に悩んでいたら、好みのタイプの誰かとともかくセックスしたくなるのかもしれない。

バベル、旧約聖書、創世記第11章に出てくる塔は神の怒りに触れ、この世は言語の不一致と混乱がもたらされとなっています。
塔は人類の不完全さの暗喩でしょう。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の演出は美しく、出演する俳優はみなリアリティに溢れ不可避的な混乱に逃げ惑い為すすべを知らない人々の姿を映し出しています。
モロッコの砂漠の街のシーンなど、ドキュメンタリーにすら見まがえます。
幾多の章を受賞した映画ですが納得の出来です。

ps
ブラッド・ピットはただのイケメン俳優とおもわれがちですが、名優だと思うよ。
災難に会うアメリカ人夫婦としてケイト・ブランシェット(こちらは名女優として評価すみ)と共演しているが見事な演技です。

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August 20, 2009

シティ・オブ・メン @道を渡る時は左右を見て、安全を確認して

スタイリッシュな映美でリオのギャング団の抗争を描いた「シティ・オブ・ゴット」の関連作です。
前作で銃を持って殺人を犯す子供だった少年が主演していて、成長した姿が見られます(前作と設定は違いますが)

リオの丘に這い蹲るように立ち並ぶ貧民街での生活が主に描かれる映画です。

メキシコにもこういう場所、あったんですよね。
遺跡に行く途中のバスから遠くに見ただけでしたが。
規模は小さかったけどギリシャにもあった。

ああいう丘でも電気なら上の方まで行くそうです。
電気は電線1本で行きますからね。
でも水はダメだそうで、丘の下に貯水槽があり、そこに給水車来る。
上の方に住んでいる人がそこから水を汲みに来る。
背負って上がるんでしょうか?
ウォシュレットがないとダメだ、なんて言っている俺がもしそんな処に放り込まれたらどうなるんだろう?
自動小銃まで持っているギャング団に殺されないとしても、水は飲めず、食べ物も受け付けないだろうな。
思えば自分はなんとヤワな存在なのか? そいうことを自覚します。
でも今更鍛えようもない。
庭のつくばいの水飲んでみたって仕方が無い。

もうヤワになってしまったんだから、ヤワな環境を維持出来るように、自分のやるべき仕事をするしかない。
それが生きていく道です。
だって考えるに、リオの貧民窟の少年たちにだって家はあるんです。
それで夜露や雨風は凌げている。
蛭やムカデや毒虫や蛇のいるアマゾンのジャングルじゃ、あの少年たちだって生きられないはず。
人間は文明と共に自然から遊離して行っているんですよ。
みんながその場その場で最善を尽くすしかない。

ラスト、成長した二人の少年が小さな子供を連れて丘を出ます。
二人にとっては未知の世界へと旅立つのです。
そして道路を渡るシーンで
「道を渡る時は注意するんだ。左右を良く見て安全を確認して・・・大丈夫、行こう」と言います。
・・・暗喩に満ちた感動的な言葉だと思いました。

ヤワになった私も渡らなければならない道はあるでしょう。
その時はやはり左右を良く観て安全を確認して渡ろう。
そんなことも思いましたね。
どんな場所でも生きる、という意味を問いかけられる良い映画でした。

ps
白熱するリオの日差しと紺碧の海。
躍動するためにあるような肉体を持った少年たち(あの身体を見るとサッカーでブラジルに勝てる日は何時だろうと思う)
彼らは二次元にはハマラナイだろうなあ・・・
肉体の持つエネルギーが大きすぎて二次元には収まらないでしょうね。
ま、それは人類の文化の多様性があるのは良いことだってことですが。

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March 03, 2009

エリザベス・ゴールデン・エイジ    恐怖に立ち向かう時、人は輝く

ヴァージン・クィーンとして権勢を奮い、英国を世界最大の強国へと導いたエリザベス1世の物語。映画「エリザベス」の続編で、イングランドはいよいよスペインの無敵艦隊との決戦を向えます。
女王役を演じたケイト・ブランシェットの演技は鬼気迫るもので、女王としての重圧に苦しみもだえ不安と恐怖に慄きながらも前進を止めない姿は感動的です。

嵐の断崖にすっくと立ち、燃え盛る無敵艦隊を見守るエリザベス。
人はみな等しく弱い。
だからこそ運命や困難と敢然と闘う姿は美しい。
そんな普遍的な思いを再認識させてくれる素晴らしい映画です。


この映画、エリザベス朝=シェイクスピアの繋がりを思わせるほど、名セリフ多々です
1)夜、恐怖の影に怯えぬ力を与えてください。
そして真の危機が迫った時に負けぬ勇気を@幾多の悩みの前でエリザベス1世

2)船で大洋を越える時、何週間も目に入るのはまっすぐに何もない水平線だけ
恐怖との戦いです。
嵐が来ないか
病に倒れないか
果てしないものへの恐れ
いろいろな恐れを押し殺し
海図を読み、羅針盤を見守り
順風が吹くことを祈り
希望にすがる
無垢で、むき出しの、か細い、希望に@航海を語るキャプテン・ドレイク

3)王に伝えよ。私は彼も司教も軍隊も恐れぬと
我々に拳を振り上げたら、その手首を噛み千切ってやる@強国スペインに啖呵を切って

4)素晴らしい、秘められた強さ。
未来を乗り切る力になるだろう。
だがご自身を疑っている
不安の色がある。
嵐に襲われた時、人が取る行動はそれぞれ異なります。
ある者は恐怖に凍りつき、ある者は逃げ、ある者は隠れ、ある者は鷲のように翼を広げ、風に乗って舞い上がります。@不安に怯えるエリザベスにジョン・ディー博士


5)愛する私の民よ、敵艦の幌が目に見え、敵砲の音が海を渡ってくる。
じきに敵と相まいえる時がくる。私は戦いの最中に身を置き、あなた方と生死を共にする!
我々が立ちはだかる限り、侵入者を通すことはない。たとえ地獄の軍隊を連れてこようとも!戦いの日が終わったら、天国で再会を、あるいは勝利の野で再会を祝おう@決戦を前にしてのエリザベス(このシーン、泣けた)


ps
劇中に出てくる白髭の博士はジョン・ディーと言って錬金術師にして占星術師にして数学者にしてエリザベスへの助言者でした。オカルトマニアの間では有名な方です。

ps
カソリックvsプロテスタントという構図があり、この戦いに勝った英国がアメリカ大陸進出でも主導権を握り、WASPの元になったんでしょう。
そして敗れたスペインは南米に活路を見出し、インカ帝国の悲劇があった。

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