ノンフィクション

November 08, 2014

大嫌韓時代 桜井誠@過激本ではない、体系的に知識が整理された読みやすい1冊

フジテレビ抗議デモには第一回目のお散歩から参加していたのに、最近はちょっと活動低下中のネトウヨ運動。
実は今年も8月15日には靖国に行くから、反天連のカウンターもやってやろうと待っていたんですが、もうなかなか来なくてね。
待ちくたびれて途中で抜けてしまったという根性のなさを露呈しており恥ずかしい限りです

で、そもそも私がネトウヨというか、右翼的心情になったのは、韓国云々というはるか以前に、日教組の教師たちに反感を抱きだしたのが最初で、その心持ちがまったく理解不能だった。
何故に彼らは自分の国を貶め、弱体化されることに熱心なのか?
自分の国なんだから擁護し強くあるべしと願うのが当たり前なんじゃないの?
でもその当時はあんまりそんなことでも言えなかったよね。

それでも時は確かに流れ、日本は変わってこういう本がAmazonベストセラー1位になるのは隔世の感、新たですが、過激な世評で名を成した在特会会長の本でも読んでみれば内容は冷静な筆致でとても勉強になりました。

実は私、ネットでそのつど細かい情報を得るだけで、そもそもネトウヨ的な知識は乏しいのだ。
自分の国なんだから日本は守りたい!
だから徹底反日の韓国には反感を持つ!
でも野球で旗建てたとか、慰安婦像を後から後から造るとか、どうしても知識が断片的・・・
何故に断片的かと言えばなんのことはない、ホントの興味関心がないんだよね。

ホントに熱心なら、たとえば好きな美術史なら今はラファエロ前派の前、レアリズム絵画の中で起こった特殊な英国画家たちを調べたりしているんだけど、そうやって勉強しているはずだ。

どうしても私は目先の政治状況というと、まあ日本を強くしてくれれば細かいことはヨロシクみたいな感じで熱心になり切れない。
感性の問題だと思うのだけれど、そういう私のような人間には、この本の整理された内容は読み進めるごとに、ああそういう事だったのね、と腑に落ちる処、多大なモノがありました。

内容的に一番印象的だったのは竹島の日に乗り込んで式典を妨害する韓国の団体に抗議した在特会の方を島根県警が逮捕する、と言ってきた件で、ああ、やっぱり警察ってこうだよね、というね。
なんか納得感。
警察ってこれまたネットの情報なんでどこまで信用して良いのか分からないんだけど、パチンコ利権とかなり絡んでいて、かつ最近でも市民が振り込め詐欺の逮捕に協力すると言ってきたのを断った埼玉県警がニュースになったけど、しっかりとした犯罪対策というより、お役所仕事で楽なことのみやるというか、楽な方に流される、そんな風潮を感じているから、桜井会長の啖呵には喝采しました。

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December 30, 2013

謎の独立国家ソマリランド 高野秀行@笑える上に深い示唆にも富んでいる

この本の唯一の欠点は、「地上のラピュタ、ソマリランドに行こう」という著者の売り出し文句だったろう。

ラピュタはけっこうだが、ブラックホーク・ダウンやら最近では海賊による拉致監禁の身代金騒ぎやらで印象付けられているソマリアとは徹底的に合わない。
松坂牛と大トロのハンバーガーってあんまり食べたくないでしょう。
だから最初の原稿(この本の序盤部分)も、最高に面白かったのに売れなかったんじゃないかな。
しかし万事は塞翁が馬で、売れなかった結果、後続の取材が敢行され、この本は単なる究極の旅行記から、ワンランク、ステージを上げた一冊となった。
だから書店で見つくろった時は、その厚さに躊躇しないこと。
この長大な本に無駄な処はなく、多方面に考察される示唆は深く勉強にもなる。

あの人がまともに生きていかれるとは思えない(映画)ブラックホーク・ダウンのモガディシュの国に行った(最初に行ったのはそこじゃないけど、元同じ国、日本で言えば東京がモガディシュなら、ソマリランドは秋田辺りか)に行ったということだけでも、その意気や壮でしょう。
そんな処に行けるのか?
果たして行ってどうだったのかは読んでみてのお楽しみ。
著者に降りかかる多彩な災難に、ただ目を見張り、あきれ返っているウチに、最後は笑いだすことは請け合いだ。

そして単なる「もう大変なんですから」、というドタバタ道中記の壁を破っているのが、ソマリランドが平和を確立出来た理由への考察だ。
紛争地域なら国連という流れだろうが、この本を読んでいると、国連の論理というのが、いかに的外れなのか分かる気がする。
銃弾飛び交う究極の現実と、上から目線で押し付ける理想論なんて一致しっこないんだよな。
曰く、戦乱慣れしていたから平和になった。
民族の伝統を壊さなかったから和平がなった。
貧しいから平和になったなんて辺りの考察は、今後、参考にすること、大なのではあるまいか。

描きだされるソマリ人の国民性も、また興味深い。
日本人とのなんという違いか、という事なのだが、それ全て風土の違いなんだろうか。
この辺り、人間という生き物の不可思議さと普遍性。
ああ、なるほど、かような環境では人はこうなるのか、と納得すると同時に、著者の交流術には驚かされるばかりであって、感心しているウチに調子に乗った著者は、あのモガディシュにも行ってしまう。
おいおい、平和という評判?のソマリランドならともかく、リアル北斗の拳、戦国モガディショなんかにリアルで行って、命は一つなんだぜ、と危ぶんでいると、そこに現れる真に驚くべき光景とは!
いやー、つくづくその場所って、行ってみないと分からないんだな、と。
先入観って大外れってあるのね、と。
どんな事でも最大の敵は、知りもしないで分かったような気になることですね。
という訳で、この著者の本は、他も読んでみようと思う位気に入ったのでした。

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December 05, 2013

熱烈中華食堂 日高屋 神田正@世間の上を見つめ続けた本当の知恵

小学校まで雪の中を歩くのに、長靴がなかったから下駄をはいていた。
日の丸弁当すら持てない日もあったので昼食は水だった、という村一番の貧乏人の子供として生まれ、小六からやっていたのはゴルフ場のキャディ。
中学を卒業すると同時に働き出すも30回の転職につぐ転職。
それが30を前にしてラーメン屋を始めて東証一部上場企業の創業者となった神田正さんの自伝です。
ちょっと考えられない人生ですよね。
今どきなら、天才的なプログラマーだったから創業出来た、とか有名大学に行ったけど、中退して創業した、なんて話だったらまだ分かりやすいんだけど、中卒で、ラーメン店で一部上場企業というストーリーには改めて驚かされる。

この本、上場企業創業者の半生ですから、波乱万丈なのは当然としても、読んでいて気持ちがイイのは、非常に真っ当な成功法が記されていること。
外食産業とは人である、ならばどうするか、とか、チェーン展開するのに、店舗の確保はどうするのか、とか、そもそも大きく受け入れられる事業計画はどうあるべきか、なんてことがとかみんな書いてある。
そしてそこに意外な解答、魔法のような答えがまったくないのが逆に凄い。
この世界には魔法はないのだけれど、突きつけられた現実にキチンと対応すれば成功の可能性はある?

神田さんが導きだして行く解答は、普段の心がけから事業における損切りの仕方まで、言われてみれば綺麗事、当たり前とも言える事なんだけど、実際、自分がその立場になったら出来ないよな。
これが出来る人ってのは本当の知恵のある人で、そうなるとつくづくと考えるのは、人の知恵ってどこに宿っているんだろうか?ということ。
人の知恵とは何処にありしや?
ま、その解答自身が、その人の知恵の水準なんだろうけどさ。

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November 08, 2013

今日から日雇い労働者になった 増田明利@現実感溢れる報告書

読み出して2秒で、あ、この著者の本、以前にも読んだ、と気が付きました。
この手の本、普段なら買わないのに、なんで買ってしまったのだろう、と考えるに、コンビニで売っていたからだよね。
前の本もこの本も、深夜に行ったコンビニで、他のモノと一緒に半ば勢いで購入にいたったのだった。
大型書店に置いてあったら、他のたくさんの本に埋没してしまって、まず買わなかっただろう。
Amazonでも普段私が買う本とはカテゴリーが違う。
それを考えるに、本ってそれが何処に置かれているか、というのが非常に重要な要素だよね。売れ行きだけならほとんどそれで決まっていますのかも。

さて、本の内容は、著者の増田さんが実際に様々な日払い仕事をしながらネットカフェやら簡易旅館を泊まり歩く実体験レポートとなっています。
実際に仕事の面接に行き、雇われたら働いて、そのお金で食事と宿を求める。
ある種、ハードボイルドな制約を自らに貸して行われた取材行ですが、さらには本の内容を多彩にという目的からか、職場も泊まり先も頻繁に替えられ、その様々な現場の実態やら暮らす人々の様子が描かれます。

なにしろ実際に本人がやっているんだから、臨場感は抜群で、さらに容赦のない筆致がその索漠たる実状を際立たせる。
その辺は流石の読み応えで、なんだか自分が行った気になれるんだから大したモノ。
ああ、各所内情はかくなるモノなのか、という腑に落ちる感じは濃厚ですね。

さて本書に対する批判として、著者が日払い仕事をする同僚をバカにして罵倒する、という指摘があるのですが、私には、「若いからって、こんな貧困の罠に掛かるな!」という増田さんの苛立ちである、と感じました。
増田さんも書いているんですが、自宅さえあれば、こんな仕事も悪くない、と思ってしまう処が罠だよね。
面接に行ってもお祈りされることはなく、ノルマもなく、責任もなく、煩わしい人間関係もないんだからさ。
勉強もしないで済むしね。
とりあえずコレでOK,と早とちりする若い人、いるんじゃないかな。
だからこそ、「この一見楽な罠に陥るな、お前たちはしっかりしろ」、という増田さん流の叱責だったのではないか、というのが個人的に思った処です。

またそんな言葉が出て来た背景には、p117「ボランティア様々だ」で書いてあるように、貧困生活レポーターだからこそリアルに感じられた実状。
以下略含みの引用ですが
ドヤ街でボランティア団体が食料の配給をやっていた。長蛇の列が出来ていた・・・この人たちのなかでどれだけの人が社会復帰の意思を持っているのだろうか。一部には勤労意欲の全くない人もいる。何かを辛抱しなければならないのにお金が入ったら賭け事や酒に散財してしまう人も存在する。
本当に気の毒だよなあと同情する人がいる反面、「ボランティアの人がいろいろ面倒見てくれるから働かなくたって生きていける。天国だ。ボランティア様様だ」なんて嘯いていた。なんて人も多いのだ。という記述から、それはそれで一面の真理なのでは、と思う処があった次第でした。

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September 22, 2012

銃・病原菌・鉄(下)ジャレト・ダイヤモンド@個別分析で裏付けられる大局観

人類史の壮大な謎へ展開された推理に対し、下巻では個別の事象に関して、より詳細な分析が展開されます。
それは時に微に入り、細にうがち過ぎていて、一般読者の関心を超えてしまう処もあるのですが、何故、このような論理が展開されたのか、という疑問への裏付けにはなっています。
個人的には12章で展開された言語史学は非常に興味深く、なるほど、という卓見も多く、楽しく読了できました。

以下、この本からの個人的な備忘録@参考にしないでね、てへぺろ
1.技術は自己触媒化(一つの達成が次の進歩を生む)し、正のフィードバックを起こす
2.技術は必要に応じて発明されるのでなく、発明された後、用途が見出されることが多い
3.余剰食糧の過多が、複雑な社会を生み、文字の必要性が生じ、技術を発展させ、周辺を征服する国家となる。
同時に人口の稠密な大規模集団は、複雑な社会性を持たざる得ない。
4.初期セム語アルファベットがアラビア文字につながり、ペルシア帝国で正式なアラム語に繋がり、ヘブライ、インド、東南アジア語へ繋がる。
紀元前8世紀にフェニキア人を介してギリシャ語、エトルリア、ローマとなり、英語は欧州西北沿岸で生まれ、5-6世紀に英国を侵略したアングロサクソンによりもたらされた。
5. 環境は変化するものであり、輝かしい過去は輝かしい未来を約束するものではない
6.紀元前1000年に書かれた記録においてすでに中国民族は中国人以外を野蛮人とみなし、自分たちより文化的に劣っている、と思っているのがわかる。
7.ローマ時代、腺ペストは東方からやって来たと書かれている。天然痘もインフルエンザも豚を非常に早い時期から家畜化した中国発祥の可能性が高い。
8.食糧の生産要因(野生している栽培可能穀物と家畜化可能の動物の有無、家畜からくる免疫性の有無)こそ、社会の人口の規模と複雑さの決定要因であり、征服活動の結末の究極要因である。
9.中国が古くから統一されたのは、その地形に分断要素が少なかったから。
欧州が一度も巨大国家としてまとまったことがなかったのは、峻嶮な山脈があったから。
10.中国が欧州になれなかったのは、巨大国家の意思決定に柔軟性がなかったから。
鄭和の大航海は禁止され、コロンブスの航海は、アチコチの国を4度に渡り歩いた末に実現した。
巨大国家による集権は効率性の反面、間違いの修正が出来なくなる危険がある。
11.生物的、歴史的なシステムは複雑すぎて、決定論的な因果関係を予測性に直結して考えることは現実的ではない。
量子力学をもとに、歴史の予測をすることは不可能である。

文字が知識をもたらし、知識が力をもたらす。

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September 19, 2012

婚活したらすごかった 石神賢介@これからの男性はsex skillも必須だってさ

冒頭からSM趣味のある客室乗務員とホテルに行く話で始まるこの本は、いつかは出るだろうと思ったトンデモ婚活本の類だと思います。

で、その中の一節にちょっと引っかかるエピソードがあったので個人的に考える処を書いてみます。
それは3章男たちはあまりに消極的だった結婚相談所編、に出てくるクールビューティな33歳、フリーの通訳という女性の話で、結婚を申し込んできた男性が手も握ってこなかった云々という件。

著者も女性も、これほど魅力的な女性になんで日本の男は消極的なのか、という疑義が呈せられるのですが、実は婚活経験者の私にも同じような体験あります。
私のお相手も美しく、スタイル抜群で学歴職業文句なし、という方だったのですが、私は一切手を出さなかった。
プロポーズらしきことをつぶやいた後もそうだった。
なんでそんなことになったかというと、客観的には良い相手、と思っても、なんか違う感がぬぐえなかったのでした。
だからリスクは取らなかった。
でもすでに結婚遅れ気味の年だったし、散々婚活というか見合いですね。
重ねても決断できなかったので、この辺が適当なのかな、と思うしかなかったんですね。
結局、業を煮やした相手がキレ気味になったのを幸い、お話しはなかったことにしてもらいました。
指一本触れてないのに、「なんでもっと先に話をすすめないの」なんて言われる筋合いはないよ。
こんなのと一緒になったら大変なことだらけの人生、先が思いやれてたっての。

このエピソードもそういうことだったんじゃないの?

キヨミさんの希望である、「専門性のある仕事」って言っても、基本エリートの部類じゃなきゃ嫌なんでしょ。
普通の人間が他に秀いでるって大変なことですよね。
小学校から勉強勉強、中学受験で、大学受験で、専門性のある仕事についても成果を出すため仕事の上に勉強、勉強、必須ですよね。
あんまり暇はない。
その上で長身がイイと。
ある程度の教養も欲しいと(話題がパチンコと芸能人の噂話じゃね)

さらにこのキヨミさんによるとキスをしたり、いくつかのプロセルをへてお泊りをしてからじゃないと私は結婚する気持ちにはなりません、とくる。

専門性のある優れた仕事が出来て、長身で教養もあってセックスが巧くて独身の男なんて、私は映画でしか見たことがない。
ジェームズ・ボンドって名前のイギリス人で、色んな国の美人スパイと情事を重ねるついでに世界を救う男だった。

もし日本にこんな男がいてまだMI6にお勤めでないんなら、今の仕事がどんなに所得が多くても転職した方がイイよ。
給料は下がるかもしれないけど、世界各国の華やかな場所に、経費全額英国政府持ちで乗りこめる上、新兵器は使い放題、特別仕様のアストン・マーティンも支給されるはず。
お相手は世界の美人スパイなんだから。
エキサイティングな人生になるだろうさ。

ま、冗談はともかくとして、実際、セックスって一人で本やらDVDで独学出来ないじゃん。
相手がいるでしょう。
プロと遊ぶのは大した訓練にならないから、お相手は素人。
で、その相手と結婚したら婚活市場には来ないわけだから、遊び用として1人以上、確保しながら(後々のトラブルにならよう手配済み)、仕事はバリバリ、オフも充実、で婚活市場に出てくる人で、MI6の特殊工作員より手硬い仕事をしている男なら、どんなに魅力的な33歳より23歳に行くだろうってオチだけどね。
33歳の魅力的な内面を持つ美人と知り合えたら、むしろ若い女房に隠れて付き合いたい恋人のポジションだよね。

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September 02, 2012

銃、病原菌、鉄(上)ジャレッド・ダイヤモンド@狂暴な農耕民、穏やかな狩猟民という反常識

一目、面白そうだと思いながら、似たような本、何冊も読んだ気がして手が伸びず。
うかうかしているうちに朝日新聞がベタ褒めしだしたので、なおさら読む気が失せていたという本ですが、一読驚愕のオモシロさでした。
今までの類書とは出来が違います。

この本がまず解明に挑むのは、何故、今から13000年前、紀元前11000年に人類の躍進が始まったか、ということ。
それはエイリアンの訪問だったんですね!
壮大な人類の歴史は、すべて異星人の計画の一つであったという驚くべき事実が明らかにされるのですが・・・
というのは嘘で、というか、そういう嘘をつきたくなるほど、本書の解明の手際はお見事でよどみがない。
真面目な話、それは更新世の最終氷河期が終わったからなんですが、この発想が本書の肝の一つです。
要するに、環境が変わる→人の生活様式が変わる→生活様式が変わったことにより新たな環境に変わる→さらに生活様式が変わり、それが環境を変える
このスパイラル。

その発想で、何故、他の地域でなく、メソポタミヤの地で人類最初の文明が生まれたのか?ということにも明確な答えが用意されている。
そしていわゆる世間に広まっている常識を簡単にひっくり返しても見せる。

曰く、狂暴で強く容赦のない農耕民族と脆弱でしかありえない狩猟民族という、従来、考えられていることへの大逆転ですね。
それがいかに当たり前かという、反論する気にもならならほどの説得力をもって語られる過程は知的興奮、特筆すべき箇所でありました。

人類史の大構造の解明に挑んだ野心作ですが、今の処、最も成功を収めた本と言っていいでしょう。

極めて個人的に解釈された備忘録
人類の歴史は、ほんの少しの違いが決定的な要因となることがある。
小さなズレが、大きな差になるには、事象がスパラル的に拡大する事で起こる。
まず、地形的、気象的に多様性に富み、土着の植物に農業に適したものがある地域では、農業への定住が起こる。
畜産に適した動物もいると加速され、狩猟採集生活かた農本定住生活への変遷が起こる。
緯度が同じ地域(日照時間が同じ、気候的に似ている)が続くユーラシア大陸は南北アメリカ、アフリカ大陸より、有利だった。
農業畜産は、狩猟採集生活と違い、獲物を獲るだけでなく、増やすことが出来る。
すると地域辺りの人口を増やすことが出来、密集して住むようになると集団には農民だけでなく、戦士、官僚、研究職など、高度な専門職が生まれ、対外的に強い社会が生まれる。
畜産が盛んになると、動物と人間の間に疫病が発生しやすくなるが、同時にその免疫も獲得出来る。
1531年のスペイン、ピサロのアステカ侵略では、その疫病の力が多いにもの言った。

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July 04, 2012

貧困の光景 曽野綾子@身体を張る人が語る貧困の現実

JOMASという人道救済のNGOを作って、実際にアフリカなどで貧困救済活動をしている曽野綾子さんが、幾度も、場合によってはかなりの危険を賭して実地に行った貧困世界のレポートです。

私は一般の人よりは、世界の現実を知っているつもりでしたが、なんの。
曽野さんが報告してくる「現実」は、まさに凄まじい、の一言。
「人間は自分の人生で見たこともない状況を想像することは出来なくて当然@10p」
と慰めてはくれるのですが、なるほど、貧困の極限において、人はこうなるのだ、社会はかくなるのだ、ということがいくらか分かったような気になります。

日本で、私は慈善をしている、という人への強烈な指摘は、50pにあります。
栄養状態からも相当に不安のあるアフリカの少女へ、服を上げようと木箱を開けると、そこには女性用のスーツやパーティドレスが大量に詰め込まれている
「彼らは、自分の要らないモノを捨てる代わりに送り出したのだ。始末に困るものを救援物質にすれば、厄介払い出来た上に、人道的なことをした気分になれる」
曽野さんは、この現実に、聖書からイエスの言葉を引いてこう書きます
「人間が他人に与えるということは、自分の要らないものを思いつきで与える、という楽なことではなく、時に自分の命そのものをさえ与えなければならないこともある」

そして曽野さん、ご自分で危険を顧みずに行動する方らしく、安全で豊かな日本で格差社会を叫ぶ社民党党首やメディアにはかなりの苛立ちを感じるらしく、
「電気のない干ばつのアフリカ、砂漠の酷暑のアラビアで、ほんの短期間にせよ生きてみたらどうか。そして飢えに苦しむ人々に、自分の食べるパンの半分を割いて与えるという人道の基本を体験したら、どうか、ということだ@241p」

その他、アフリカで飛ぶ飛行機で働く黒人の立ち位置については、その現実について私は言葉もない。
これまた社民党議員やら、人権派弁護士の方々への感想をお聞きしたい処であり、またそのことに対し、非難があるなら、是非、それが改善された小型機で飛ぶことを日常として戴きたいですね。

最後はアラビア社会の貧困から自然礼賛主義者に向けて、
「世界には人権などという言葉が遠く及ばない強烈で残酷な自然がある。
単なる貧困は、人がそこで細々と生きることだけは承認するが、厳しい自然は、人間がそこから敗退するか、死んでからは骨になることまで要求する。それはアラビアの虚無の世界だ」
しかしその苛酷さが、ブノアメシアンの
「自然的な環境がこれほど強い圧力、これほど厳しい拘束、これほどたくましい陶酔をもって、人間という素材を駆使した所はないであろう」
とも書く。
さらにジェラルド・ド・ゴーリーの素晴らしい一節が引用され、曽野さんの次の言葉で本は締めくくりられます。
「荒野が否応なく人間を創り、潤沢がしばしば人間性を腐敗させ崩壊させるという皮肉に、私もいまだ巧く適応出来ない。」

貧困の世界の優れたレポートであるとともに、偽善の横行する日本への警告でもあり、人間という矛盾に満ちた存在への考察もある1冊でした。
やっぱり口だけじゃない人の書くことには、感じる処がありますね。

ps
アフリカでは、何故公共インフラが普及しないのか、という問いに、皆が払わないからです、とあります。
支えを失った橋は落ちる。
物理においても、実社会においても、それは当たり前の現実というものです。

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June 13, 2012

【PRIDE OF NETUYO】フジテレビデモに行ってみた! 古谷ツネヒラ@読みやすい内情レポート

私も参加したフジテレビデモについて、その内情と背景を、デモ会場で登壇、演説をした古谷ツネヒラさんが書き記した1冊です。
アニメ絵の表紙ですが、内容は極めて真面目で情報は豊富。
それでいて堅過ぎることもなく、非常に読みやい1冊です。

読んでまず驚いたのは、浅田真央さんに対するフジテレビの極めて異常な悪意の実態ですね。
実はデモに行ってちょっと不思議に感じたのが、浅田真央さんの扱いに対する抗議の声。
私は地上波のテレビ、ホントにまったく見ないので、浅田真央さんが、こんなに酷い扱いをされていたのも知らなかったのです。
だから抗議のプラカードとかちょっと不思議だった。
ま、それほどテレビを見ないなら、文句言うこともないんじゃないの、という人もいますが、問題が違います。
大手新聞、キーテレビ局などマスメディアは、有料の衛星放送娯楽番組テレビ局とか、趣味の雑誌と同じレベルで語るわけにはいかない。

それは世論の形成に大きな影響力を持ち、国政を左右する力を持ち、同じ国土で同じ法の元に生きる以上、監視すること当然です。
むしろそれをするのが社会に対する大人の責任というものです。

本の最後にネトウヨという言葉について、色々取材がされていますが、私はネトウヨであることを誇りにしています。
ネトウヨは、偽善と綺麗事しか言えなかった戦後日本のマスメディアからの解放された者だと思っています。

よって自分は、ネトウヨというレッテルが、誇り高いものであるよう、今日もしっかり勉強し、明日からまた一所懸命働く覚悟です。
この本のアマゾンでのレビューは好意的なモノが多いのですが、酷いものは「やっぱりネトウヨは社会的落後者云々とあり」、まずはこういう言葉が如何にバカバカしいものかを知らしめることが必要でしょう。

私の「納税額」は、平均所得者の「年収」の数倍をずっと数十年間維持していますし、自宅は日本と言わず世界の平均でも相当のレベルです。
僅かですが職場では、雇用を造り出し、税理事務所だけでも、自営と株式会社用と二か所に仕事を出している(笑
美術、文学、数学、経済、音楽(最近、萌え系アニソンからまたクラッシックに戻ってきた。昨日はマーラーの五番、一昨日はラフマニノフの協奏曲2番を聴きながら夜の仕事)については、素人のお遊びレベルですが、就寝前には「ヴァザーリの画人伝」を読み、自由勉強時間には、ゼータ関数の表記が何故、加法から乗法となるのか、なんてことをメモにしながら検算しているんだから、そうそう無教養な人間とは思えないし、運動も自宅のトレーニング・ルームでしっかりやっている。
ネトウヨもそうそう低レベルではない、と言われるよう、日々精進ですね。
怠らないよう常に自戒しつつ、今日の記事はお終い。

ps
「宗教を生みだす本能@ニコラス・ウエイド」という本には、人類にとって、自らが所属する集団を裏切る行為は、道徳的に最も唾棄されるモノである、とあります。
生き抜く為に社会を形成していった人間の根源が明かされている、とんでもなく良い本です。
コッチもご一読。

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June 05, 2012

今日、ホームレスになった平成大不況編 増田明利@大飯原発が動かなければ、この波が来る

ガンダーセンの本なんか読んで、すっかり原発恐怖症の私ですが、大飯原発が動かなかったらたくさんの人が困ったことになるだろう、と思っていました。
関西圏はドエライことになる・・・そんな暗澹たる気持ちになっている時、書店で目に付いたのがこの本です。

内容は、リストラ、廃業、借金から家を失った人々に、著者の増田さんが話を聞いたインタビュー集となっています。
みなさん深刻で同情を禁じ得ません。
ホームレスになった方々、決して怠惰だったとか無能だったという訳ではない。
懸命に働いても、時代の大きな流れに飲み込まれ、失業、廃業に追い込まれた。
元スーパー経営者、弁当屋さん、機械加工経営者の方、建設会社の社長さんなど結構やり手と思える方々が飛ばされている。
読んでいると、零細自営の私など他人事とは思えない。
今は幸い順調でも、それはすべて幸運の賜物。
人生、一寸先は闇なのです。
だからこの後に及んで未だ、再稼働に疑問なんて言える人たちは実に羨ましい。
でも今、反対している貴方だって、本当に大丈夫なんでしょうか?
「リーマンショックは他人事じゃなかった」の章とか一読してから考えた方が良いんじゃないでしょうか?

前の記事でも書きましたが、電気はエアコンを我慢すれば良い、と思える方ばかりではないですよ。
社会に大きな障害が起これば、それは連鎖して連鎖して連鎖して、跳弾が貴方をかすめる可能性はゼロではない。
綺麗ごとではなく、日本は一つなんです。
分かってんでしょうかね。

もし大地震があって、原発事故が起こるかもしれませんが、それは以下のような例えとしか思えません。
「今度仕事が決まってさ」
「あら、良かったね、で、何するの」
「○○工場へ勤める」
「あそこは遠いでしょ、どうやって行くの」
「クルマだよ」
「クルマって、事故を起こせば貴方は死ぬかもしれないのよ。大けがして一生苦しむ障害を受けるかもしれなのよ」
「注意して運転するよ」
「いくら注意していても、人を殺してしまうかもしれないのよ。人殺しして平気なの。責任持てるの。他人を殺したり、大けがさせても、貴方はお金さえ儲かればイイの。守銭奴!人間じゃない」

ま、身内に吉本興業に勤める芸人さんがいれば、こういう心配も無用なんでしょうがね。
リスクと共に生きる。
日本人はいつしかこういう当たり前の事を忘れているように思える。
怖くても飛び込む必要がある時はあるんです。
ちなみに私はリスクと共に生きていて、昨今の株安、円高で幾ばくかの利益を得ました。
売り売りで入って、生活保護の数か月分の利益を得た。
貴方はどうですか?
こういう波乱を生きてますか?
その上で大飯反対と言えるのでしょうか?
心配性の私にはとても言えない。
言える人はだから非常に羨ましい。
その力でなく、どこまでも楽天的な気質がね。

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