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October 18, 2011

カラマーゾフの兄弟5 ドストエフスキー/亀山郁夫@理解を助ける300pの解説

全五巻にわたるカラマーゾフの兄弟、ついに読了です。
長かったですが、非常に充実した読書時間でした。
この巻での小説はエピローグのみ掲載で、60pだけです。
後の300pはドストエフスキーの生涯として100p、年譜に、解題「父」を「殺した」のはだれか、という亀山さんの解説が掲載されています。
たっぷりとページが割かれているので、解説も丁寧で分かりやすかったですね。

この小説はご存じのように、古典小説の最高峰というには、けっこう未完成な印象が残ります。
一番?と思うのは、キャラクターの書き分けにバランスが欠けていること。
これだけしか出ない子供を、何故これほど丁寧に描写するのか、なんてことですね。
それからエピローグも唐突な印象で、これをもって文学史上の最高峰とまで言われると、荒になるような完成度です。
でも書かれなかった第二の小説があったとすれば、すべて納得なんですね。
その書かれなかった第二のカラマーゾフの兄弟を、亀山さんが非常に巧みに推理してくれている。
・・・惜しかったよねえ・・・ドストエフスキー自身が言うように、この第二の小説が書かれていれば、そうとう凄い作品になったのではないか?
こっちの方がオモシロそうだものね。
そういうことを読めるだけでも、この最終巻は価値があります。

それから神話的な象徴層と物語層の間に自伝層がある、というのも、やっぱりと思う指摘です。
名前からフェードルが一致していて、病気が同じですものね。
偶然とは思えない。
年譜やら生涯の話を読んでいるとまったく瓜二つ。
この小説は、ドストエフスキーが自分の人生を全部叩きこもうとした小説だったんですね。
良く分かりました。

ミステリーとして読めば話は完全に不条理モノの範疇で、何故かセバスチャン・ジャプリゾの「シンデレラの罠」とか思いだしましたよ。
何でだろうと思ったんですが、初読の時期が一緒だったという記憶があるんで、そのせいでしょうか。
他に共通点、ないよねえ・・・

亀山訳は、簡単に訳され過ぎているという批判も一部ありますが、こうして読みとおしてみると、ドストエフスキーの小説は難解な単語に唸りながら読むより、勢いで読む作家だったのではないか、とも感じましたね。
俺が苦しんで読んだ本を簡単に読み終えるなんて許し難い、という気持ちもよく分かり(実は私にもそういう感情がありました)、また平易にすることで、深い場所に眠るエッセンスが消えるという危惧もありましたが、今はまず亀山訳でおススメと思いますがどうでしょうか。

亀山先生には、次に白痴か悪霊を、よろしくお願いしたいと思っています。

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