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June 15, 2011

村上ソングス 村上春樹@歌は参考にならなくても、文章だけで楽しめる

村上春樹さんが、ジャズの名曲を中心に、歌詞を訳し、一文を添えた1冊です。

村上さんは、この本以外にも音楽について語った本、何冊か出していますが、正直、趣味はまったく合いません。
村上春樹監修のCDまで買いましたが、ピンとこなかった。

それでも懲りずにこんな本を買うのは、文章が好きだからです。
語られる比喩の美しさ。
心の奥底に眠っている秘密を言い当てられるような指摘などは、介在する音楽が好みでなくても普遍的な響きを持って感動が伝わってくる。

例えば
「歳を重ねるにつれて、若いときには開いていたいくつもの扉が閉じられていくし、その多くには、もう終わった、と記されている。それらの扉が開くことはおそらく二度とあるまい。それはもちろん悲しく切ないことだ。しかし不思議なことなのだが・・・失ってきたもの記憶が、今となっては逆に僕という人間を底から温めてくれているのだ」

「自動車とは、ろくでもない町を抜け出し、ここではないどこか、へ行くための手段だった。しかし脱出は容易ではない。結局のところ、どこに行っても、どこまで車を走らせても、そこにはやはり似たような人生が待ち受けているだけなのだ。」
こんな文章、中々読めない。
軽妙にして洒脱であり、時に深い真実を照らしてくれる文章なんですね。

まあ、音楽の好みが合わなくても、文学の分野では、フィッツジェラルドやカポーティ、レイモンド・チャンドラーの翻訳で、趣味の範囲を広げてくれた村上春樹さん。
今後もご活躍を期待しています。

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