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July 21, 2009

雨天炎天 村上春樹  @実体験版:ハードボイルド、ワンダーランドでした

ギリシャ国内にありながら正教会が自治するアトス山。
この本の前半は、そこを旅した村上さんの旅行記です。
アトス半島はギリシャ正教会の自治区で、あるのは幾つかの修道院のみ。
半島全体が修行の場なので、利便性とか快適さとかはまったく勘案されていない。
未開である、という概念自体が存在していない(そこは宗教本位主義であり、我々とは全く別個の価値観の世界、まさに)
果たしてそこを旅するとはいかなることなのか、ということですが、酷い目にあった時のユーモアには笑えますし、はっとするような情景描写も印象的です
例えばアトスへ渡る海の描写として
「違った次元の透き通り方であり青さなのだ・・・目も眩むような鮮やかな冷徹さがあり、豊穣があり、あらゆる観念的な規定を突き破る恐ろしいばかりの深みがある・・・それはもう海とも言えないような気がする。何かの儀式のようにさえ思える。気の遠くなるような時間と犠牲を経て徹底的に様式化され、美の核心へと突き進むあまり本来の意味あいさえ失った儀式・・・」

ギリシャ正教会の山の中の修道院は、一昨年メテオラに行ったので少しは知ってるつもりでしたが、これほどワンダーな場所があったとは思いもよりませんでした。
まあパック旅行で行ける場所じゃないから仕方が無いか・・・
でも本来の旅の醍醐味は困難の中にしかないよね。


後半はトルコ陸路の1周コースですが、こっちも負けず劣らずハードボイルドです。むしろ恐怖はコッチの方が激しい。
読めば出てくるエピソードの数々に相当驚くと思います。
トルコ国内の周辺、ソ連、イラク、シリア国境周辺を巡る旅と言えば多少のイメージは伝わるでしょうが、平和日本に住む人間の安直な想像力を遥かに超えた出来事に満ちています。

犬も子供も真剣に怖いよ。クージョとの比喩が出てきますが、まさしくSキング的迷宮に迷いこんだ感じ。
野犬狩りに対する欧米の動物愛護団体の抗議とか、どんな分野でも建て前で他人にモノを言うのは害しかないね。
終始トルコ人の親切さが言われますが、(事実その通りなんですが)治安と安全とは別の話。
そんな中をやれやれトホホホと行くのを読んでいる限りでは楽しいです(笑
読んでいる限りではね。
真似をしたいとは(出来るとも)思いませんが。
これまたトルコの旅@パック旅行では味わえないよな。
1泊350円のホテルに夜間閉じ込められる、なんて味わいたくもないけど・・まあ実行するのは無理でしょうから、読んで笑って驚いてください。

上質のユーモアと目を見張る叙情と奇想天外な出来事に驚く旅行記でした。
オモシロかったです。

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