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April 05, 2009

戦中派虫けら日記  山田風太郎@戦時記録文学の金字塔であり、一人の若い魂の記録として抜群の1冊

大学へ入学する為上京してきた若き日の山田風太郎が、戦時下の東京で、如何に考え生活したかが綴られた日記です。

発表される予定もなかった20歳の若者の日記なので、読む前はどうかな?と思ったのですが、驚くほど達者な文章で非常に面白かったです。
また私は個人的に、第二次大戦中、普通の人々が何を思い、願い、悩み、暮らしていか、ということが知りたかったので、その点でも満足出来ました。
後の歴史観から、色分け、色付けされていない本音が知りたかったのです。
本当のとこ、普通の人はどう思って暮らしていたのか?
それを出来れば好ましい人柄と知性を持った観点から語って欲しかった。

若き日の山田風太郎は、愛国心を持ち、ひたすら日本の奮戦勝利を願いながらも、日々乏しくなっていく食料、日用品に困り果て悪戦苦闘する毎日です。
雑炊1杯食べるだけに何時間も並ぶ行列に、ふとよぎる疑問と感慨。
不甲斐無い自分への苛立ちや純粋であろうとする余りの苦悶など、中々共感できました。

また後に大作家となる萌芽も充分に伺えます。
日本の先行きに対する先見の明は、まるでタイムマシーンを持っているかのよう。
毎日毎日、多大な読書をしていますが、泉鏡花の小説を、「指が6本ある女のようだ」と言い切る鋭さ。
泉鏡花の小説をこれ以上簡単に言い切った言葉ってあったっけ?

何気ない風景描写も非常に巧みで、読むだけで当時の空を見ている気分にさせられます。
何かというと、自分を凡人凡人と評してますが、なんのなんの。
すでに完全なる天才の1作品。
才能ってのは恐ろしいね。
こうして意識しないでも出てしまう。

大した若者がいたってことを知る意味でも。
また素直な気持ちで活写された戦時下の若者像を知る意味でも読んでおいて良い1冊だと思います。

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