美の歴史:3 ウンベルト・エーコ著/中世の光と色彩&怪物の美 第Ⅳ、Ⅴ章
第Ⅳ章、中世の光と色彩
中世=暗黒時代という偏見は間違っている。
絵画においては、スフマートやキアロスクーロ(明暗法)がなかったので、純色の配合からくる独特の輝きがあった。
バロック美術では、事物が光に打たれ量感の効果が描かれるが、中世の装飾本では光は事物から発しているように見える。(なるほど!)
クラリスタ(トマス・アクイナスの定義した美の条件:光と輝き)
多くの文明において神と光は同一視されてきた。(セム族のバール、エジプトのラー、イランのアフラ・マズダ)これはプラトンの太陽のイデアとして善の概念に行き着く。
太陽の光や夜の星々の輝きを我々はどうして美しいと思うのか@プロティノス
一般的な装飾は、光と色彩にもとづいている。
大理石はその白さゆえに、黄金はその輝きゆえに美しい。
色とは閉じ込められた光や純化された物質にほかならない。
ゴシックの大聖堂のステンドグラスは、光輝に満ちたビジョンであり、光の剣であった。
ボナヴェントゥラは、アリストテレスの形而上学から、光は大地、天地のあらゆる変化を生み出し、人体の本質的形体とした。
第Ⅴ章、怪物の美
あらゆる文化は常に美の概念に対比して醜の概念をおいてきた。
そのアンチテーゼを芸術は美しく表現する力を有している。
醜さは自然においては嫌悪の対象であっても、芸術においては受け入れられ、快くなり、「みごと」とさえ理解される。
それは古典時代末期、キリスト教時代に、迫害なろ宗教的背景からより語られるようになる。
ヘレニズム時代、遠方との接触が増し、「アレクサンドロス物語」などの伝説が広まった。
その結果、「怪物の書」など架空の生物の姿が流布し、驚異的なものに人は魅了された。
神秘思想や神学思想は、この怪物の存在を正当化するため、「道徳的な意味」「寓意的な意味」を持たせた。
怪物は美に多様性をもたらし、影は光を際立たせた。
怪物たちは愛され、恐れられ、警戒され、戦慄すべき魅力を持って、ダンテの文学やボスの絵画の世界に入っていった。
やがて中世から近代にかけて、16世紀から17世紀にかけて怪物は宗教的象徴性を失い、神秘から科学の対象となっていく。





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