経済物理学の発見@高安秀樹 激動の後だから良く分かる
以前金融工学の本を読んでいて、確率微分方程式を基礎におく現在の金融工学では、マーケットに起るプライスのジャンプ(暴騰や暴落など)を上手く説明できないということを知り驚きました。
それではどうしよう、ということから注目されているのが、このエコノフィジックス(経済物理学)です。
題名から難しそうですし、実際記述する方程式は非線形で手作業では解けないものなのですが、その概念は非常に示唆に富んでいます。
今回、為替、株価、商品など「値段のつくあらゆる市場」で起った激震!はまさにこのエコノフィジックスの研究対象そのものでした。
曰く、それは不可逆的であり、臨界でのゆらぎが相転移を起こしまったく別の状況を見せること。
その間にはカオスとフラクタルが存在することです。
市場での価格分布の実際が、金融工学ではかくあるべしとされている「正規分布」では考えられないような「ファットテール」であり、「ベキ分布」に従うことは確かですし、チャートを見慣れた者なら、分単位のカタチがそのまま時間単位、一日単位、週、月、年単位へと似た相貌を見せることも知っています。
個人的に参考になったのは、
1)壊れた壺の復元には大きな破片だけでほとんどが足りる、という比喩です。
どういうことからいうと、陶器の壺が割れたとき、無数に数多くある破片はすべて掃きだしてしまっても、大きな破片だけ集めると、元の壺とほとんど同じカタチに出来る。
それと同じで、市場価格は、上位5%の大きな変動で全体の動きの特徴を捉えることが出来る、ということです。
もう一つは、
2)地震にもある自己組織臨界現象です。
爆発と平穏の中間を自ら保とうとする現象には、背後にフラクタルを内在し、放出されるエネルギーはベキ分布となります。
地震を起こす地殻の歪みは、均一でない材質の弱い場所に集中し、まずそこに破壊が起ります。それでその歪みは解放されますが、その力は周辺のまだ破壊が起っていない場所に分散され、外部からは常に一定の力が加わり続けるので、新たに弱い場所が常に破壊の危機にさらされ、ついにはベキ分布の従うところの大きな破壊が起る、という辺りですね。
この本の後半はそんなマーケットへの対応法を超えて、マネーの特性と通貨システムにまで踏み込みます。
一部、?、と思うところもありましたが、世界の金融市場が激震に見舞われた後の今だからこそ、読む価値あり、と思いました。


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