生誕100年、東山魁夷展を見てきました@国立近代美術館
東山魁夷は、そのあまりの高名さから、逆に今更感も漂うほどの巨匠ですが、今回の生誕100年展の比類なき充実ぶりを見せられると、やはり見ておく画家なのだ、と思いました。
展覧会に行った時、一つでも、「ああ、見に来て良かった」と思える作品に出会えれば、まず良しです。
それがこの展覧会には嫌ってほどあります。
さらに最後まで見終わった後、もう一度戻って味わいたくなる作品までありました。
私にとって、この行動を取らせる絵は、絵画として最上級の評価です。
極少数の作品だけが、私をもう一度、その絵の前に引き戻す力があるのです。
それが今回は、「残照」と並んで展示されている「郷愁」でした。
画像を貼りたいのですが、見つからないので、つたない説明をさせていただきます。
季節は晩夏でしょうか。
時刻は日の暮れかかった夕刻でしょう。
絵の中央から左下に名もないだろう、小さな川が流れ、背景には山々が連なります。
その川が見え始める間際に、小さな橋がかろうじて認識できるように描いてあるのですが、その小さなほぼ一線にしか見えない橋にまごうかたなきmagicが存在します。
その橋のたもとに続く土手の上には道があり、すると自分がその道の上にたち山に向かい、川の上流に歩き、その橋を渡るのだ、という感覚に陥ります。
まさにその世界へ引き込まれるわけです。
覚える感情は、「郷愁」です。
日本の夏特有の湿り気のある風まで感じます。
魅入られて、没我の状態になるわけです。
行ったはずなどない風景なのに、しっかりと記憶されている不思議があります。
その他、桂林を描いた墨絵の八双の屏風絵には、連綿と続き、また続いていくだろう、人々の営みと、それを悠然と見下ろす不可思議な自然の対比に、古今から変わらぬ自然と人間との対比を感じます。
欧州での街角を描いた小品にも、天才の華やかな技量は、健在です。
やはり東山魁夷は、日本が世界に誇れる画家だと思いました。
ps
常設展も古河春江の「海」に、イブ・タンギーの小品まであるのでお忘れなく。
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