金融工学者フィッシャー・ブラック P・メーリング著
OP価格を導出したブラック=ショールズ方程式の発案者である、フィッシャー・ブラックの伝記です。
ただ伝記と言っても原題がFischer Black and The revolution idea of finance
とある通り、ブラックさんが・・年に結婚し、子供が生まれ、案外良い父親でしたが、奥さんとはダメで別れて同時にシカゴ大学からゴールドマンに転身しました・・・なんていう日常話は非常に少なくて、ほとんどがブラックの学問的業績の紹介と、それを取り巻くシカゴ大学、MIT,そして実業界への転身過程で、どのようなアイデアを発案し、論争になり、応用したか、という現代ファイナンス理論の変遷が中心です。
これを読めば相場で儲かるということはありませんし、内容はかなり高度ですので、「金融工学萌え」のマニア向けの本ですね。
結局、アメリカ金融界が主導した高度なデリバティブ理論の応用は、このブラックなどが発案した数理ファイナンス(確率微分方程式)が大元なので、オタクにはその誕生から発展を見ていけるのはエキサイティングですし、金融革命の中心人物だったので、周囲の面子もスターぞろい(経済学上のスターね)で華やかです。
金融工学萌えの方が読むと思いますが、そういう方にはこの本、最初は退屈です。
でも読み進めるに従って盛り上がり最終章はちょっと感動モノでした。
友人のマイロン。ショールズからLTCMへ誘われますが、「あれはリスクが多すぎる」と断った理由として
「VaRの手法には限界がある。事業の存続にかかわるような重大なリスク(変動)が過去に一度も起きなかったからと言って将来も起きないとう理由はなにもない」と喝破する当たり思索者でありながら理論だけに囚われないブラックの真の天才ぶりを現すエピソードだと思います。
またシカゴ大学、MITから「学ぶには大学より実業界が良い」とあっさり職を辞してゴールドマンに入り革新的な業績を上げ続けますが、この辺り日本の大学や金融機関も見習って欲しいですね。
日本は製造業の世界でこそ産学共同体が成立していますが、金融界ではありえないでしょう。
金融革命最大の発見、このブラック=ショールズ式は日本の伊藤清先生の補題が導いたものなんです。
日本人が発見した公式なんだから、これをダイナミックに活用出来ていれば、日本の金融界が世界に冠たる、という状態だってあり得たんです。
それが大蔵省の護送船団方式とやらで、土地担保、生命保険担保主義の惰弱な機関に成り下がった・・・・悔しいですよね。

という勉強を終えた綾波レイちゃんです。
「この世のなかに不変のものは存在しないという認識が私の出発点である。ボラティリティ自体が一定でないし、ボラティリティが変化するプロセスにしてもプロセス自体が不変とは言い切れない。我々に出来るのは、変化のプロセスを見守ることだけである。@フィッシャー・ブラック」
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