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November 12, 2006

マイ・ボディガード

甘ったるい題名に主演がD・ワシントンとD・ファニング。
これだけで観た気になって素通りしそうな貴方。
だがちょっと待って欲しい!

私もそう思っていたのですが、オープニングロールに見つけたMan on fireの文字。
Man on fire?  これはクィネル「燃える男」?
クリ―シーを黒人がやるの?
とまどっているうちにトニー・スコットの撮るメキシコの荒涼たる都市とスラムの描写に惹きつけられて、薄汚い黒人が登場。
早くD・ワシントンが出ないかな、と思っていたらそれがデンゼルだった。
次のシーンでは太ってブヨついた黒人がボディガードの契約をしている。
アレ、デンゼルは何時契約をするの、と思ったらそれがさっきの髭を剃ったワシントンだった。
少女のガードにつくあたりでやっといつものD・ワシントンに戻ります
短時間での7変化。挨拶がわりの見事な登場です。


そして相手役のダコタ・ファニングは悪魔でした。
初対面のワシントンには冷静な面接官みたいな対応にして、孤独と哀愁を漂わせる大人の女の風情。目の動きは、えもゆわれぬ詩情を表出させ、鉛筆を貸し借りするときは少女独特の可憐な魅惑。

前歯が乳歯の女の子があんな表情をするものだろうか?
彼女の「中の人」はきっと1000年も前から生まれては少女時代を過ごし、結婚して子供を生み育て、老婆になることを繰り返してきた魔性のモノではないのか?
そんなことすら思わせます。

そんな二人の交流が抜群です。
水泳での特訓に「強い者などいない。訓練をしたか、しないかだ」と叱咤するワシントンに、ダコタはお礼にお小遣いで買った、「希望を失くした人の守護聖人」聖ユダのペンダントを贈ります。
ふと摘み取ってくれる一輪の花。
孤独な二人の交流には泣けてきます。

誘拐された後、殺さないで、と心底思うのはすっかりD・ファニングに夢中にさせられているからでした。
そして復讐に立ち上がるワシントンを本気で応援したくなります。
サンタナアのアブラクサスと同時に始まる指を切り落としては焼く拷問。
私、悲惨な暴力シーンは嫌いですが、例外もあります。
子供を誘拐して殺す奴は、なぶり殺しでOKだよ。
トドメのシーンは昨今日本でも流行ったプッチーニ。
この映画、復讐を決意する場面でのヘビーなロック、メキシコらしい哀愁のギターに癒すようなドビッシー。悲劇を悼むかのように鳴り響く弔鐘のような鐘の音など、音楽を担当したハリー・グレッグソン=ウイリアムズはセンスのある仕事をしています。

それから1時間30分。ワシントンの復讐劇は地獄めぐりの様相で長尺を存分に使い大元へと迫っていきます。
「優れた技術をもっていれば、人は誰でも芸術家になれる。彼は死の芸術家だ」
応援してくれるクリストファー・ウォーケンも青い血が流れるような冷血が素敵です。

ラストも良かったな。
まさに天に帰るという構図。
ダコタは、堕ちて希望を失った男に、愛を与え、恵みを垂れ聖人として天に返す天使だったんだと思うのです。

ps
私は仕事をする上で体調が悪いと自分が一番辛いので寝不足、深酒は一切しないのですが、
この映画は何気なく観始め2時すぎまで一気に観てしましました。
まぁ翌日が日曜日で仕事が半日ということもあったのですが。
それでもこういう経験はあまりないです。
それくらいパワフルに心動かされる映画でした。

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