ペトロス叔父と「ゴールドバッハの予想」
「世にも美しい・・」からゴールドバッハの話しを読みたくなってしまい、検索したらヒットしたのがこの小説です。
著者はかなりの数学好きではないでしょうか?
ツボを上手く突いてくるので、一気に読んでしまいました。
親戚中から落伍者と云われる叔父は、かつては天才数学者と呼ばれ、数学史上最大の難問に挑んだ人であった!
それを知った時の主人公の感慨が、
「一見控えめな叔父が、実は、自らの意思で、人類の野心がめざす最先端の領域でひたすら格闘していた。知的な世界のもっとも暗いだれも触れたことのない片隅にプロメテウスの光りをもたらそうとした。
冒険は失敗したとしても、望みがないと知りつつ大きな戦いにおもむくロマンティックな英雄そのものだ。」
ここからこの小説は、叔父が回想を語る形式を取り、数学者の苦悩と恐怖を実に巧みに描き出します。
自分は選ばれた存在なのか?、という不安。
ゲーデルが提出した不完全性定理への恐怖。
そして概念の天界に挑む時の過酷さ。
「神へと至る英知に挑む、極一部の天才達は、その輝かしい光りに魅了されるあまり羽を焼かれて落ちるのだ」
地上にもやは冒険の場所はない、という時代ですが、たった1行の予想にまだ深淵は残っています。
「2より大きい偶数は、2つの素数の和である@ゴールドバッハ」
これが解けない。
たったこれだけのことが、これほどの偉業を積み上げてきた人類に未だに出来ない。
ラスト、みなさんは、どう解釈しますか?
私には叔父さんには見えたのだ、と思います。
でもそれはあまりに簡単に過ぎ輝かしかったのだ、と思うのです。
ちょうどユークリッドの素数定理のように。
ps
ペトロス叔父が散歩中もゴールドバッハの予想を考えている辺りはニュートンを、チェスの愛好家になるあたりはマグリットを思い起こしました。
ルネ・マグリットは画家ですが、やはり神の光りを見た人間の一人であり、静かな狂気を思わせる「卵を選ぶ時の逸話」を残してます。
ps
全ての偶数が二つの素数の和で表わせるかどうか?ということは結局素数分布が鍵になるんでしょうか?
ならばこれもゼータ関数上のリーマン予想が、はっきりしないとダメなんですかね。
ps
最後に悲劇のラマヌジャンの見解を覚え書き
「直感だが、この予想は非常に大きな数において成り立たないような気がする」
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Tracked on November 23, 2006 at 10:45













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