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October 21, 2006

マイノリティーの拳  林壮一

アイラン・バークレーという名前に憶えがあるのならこの本は絶対におススメ!
著者の林壮一さんは、タイソンの「人を超越した猛獣のような異様な迫力」に圧倒されボクシングを書くならアメリカだと決意して移住! この本を上梓しました。

タイソンと同じ師を持ったホセ・トーレスからはタイソンが躁鬱病であることが明かされ、気弱だったアイラン・バークレー!(ブレイドと呼ばれた見た目、これ以上怖い人なしって感じの選手です)は女性チャンピオンになった姉からボクシングを習わさました。そして過酷なマッチメイクを経て、今寒さに背を丸めながらフィス・アヴェニューを歩きます。

印象的だったのは、ティム・ウィザースプーンのフィラデルフィアでのエピソード。
ロッキーはなぜ「最後まで立っていられたら、ただのチンピラでないことを立証できる」というセリフが使われたのか。自分の母親から与えられた教え、「劣悪な環境でも希望を捨てず、甘えず、未来を信じて健やかに育って欲しい」という願いを今、自分がボクサーとして父親として受け継いでいる姿は、彼の言葉ではありませんが、ホント、この章は映画にしたい!と思います。

そしてフォアマンの伝道師ぶり。
フォアマンが、オリンピックで小さなアメリカ国旗を振ってしまったことが、公民権運動に揺れる世論を刺激してしまいます。でも3度の食事とボクサーとして道を開いてくれたアメリカへの恩義を無視することなど出来なかったんでしょう。
今の優しすぎる笑顔を湛えたる巨人を見ているとそう思います。
負けることを学び、再起し45歳でチャンピオンに返り咲く。
あのモーラーを打ち抜いたワン、ツーを忘れることが出来るボクシングファンなんていません。具体的には、距離の取り方を学び、全てをコントロールし相手の死角からパンチを打てるポジションを取る。
でもそんなことは瑣末なことで実際は、彼は諦めなかった。
これに尽きるんだろうね。


この本の名言は、一杯あって書ききれませんが、
「恐怖は火のような物だ。上手く使えば自分を暖めてくれるし、間違えば命を失う。恐怖は上手くコントロールしなければならない@カス・ダマト」

「ボクシングは闘う前に自分に克たねばならない競技だ。精神力が鍵を握る@ホセ・トーレス」

「To b e a man.人は望んだことに覚悟を持たなければならない。自らを捧げる行為が夢の実現に繋がるんだよ。大抵の人間には犠牲の意味が分からないけど。@マーベラス・マービン・ハグラー」

殴り合いを職業とする黒人選手たちの真摯な言葉を、林さんはアメリカで苦闘する自らのこととして丹念に愛情をもって拾い上げます。

意外にお子さんへの教育にも最高の本です。

ps
最後に、未だ人生に苦闘するアイラン・バークレーの言葉を
「ボクシングのお陰で、見ず知らずの人から愛された。優しい言葉もかけてもらった」

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