« August 2005 | Main | October 2005 »

September 2005

September 30, 2005

トスカーナの休日

華やかなパーティの主役には、エレガントなイヴニングドレス姿のダイアン・レイン。
でもそこに夫はいない・・・
はい!これで後の展開は手にとるように!
そうです
夫は浮気、幸せだったダイアンは不幸のどん底に、
そしてトスカーナに渡り、豊かな自然と新たな出会いに癒され再生するのでしたぁ!
もうあらゆる話しは語り尽くされたのでしょうか?

これでこの映画の勝負どこは二つ!ということになります。
1)トスカーナは美しく撮れているか?
2)ダイアンの愛に観客は感動するのか?
1)のトスカーナの美しさは文句なしです。存分に堪能し、憧れて下さい。
2)のダイアン・レインの「愛」も良かった。
張り巡らされた伏線が最後一つにまとまり、ありきたりの定型をまぬがれてます。
「ある苦い思い」と「未来へと掛けられるもう一つの愛」の行方は誰にも分かりません。
誰にも確かな愛は保証されていず、それでも人は愛を求め続ける。
「列車が走ることを信じて線路を引く」
それが生きるということ。そんなメッセージはしっかりと伝わりました。
てんとう虫と、花を捧げ続ける老人と、水道のエピソードは美しいメタファーでした。
しかしここまで凝らないと観客に手筋を読まれてしまう現代の脚本家は大変だよね。


ps
監督のオードリー・ウエルズはかなりの映画オタクです。
ドライブに「泥棒成金」からの1シーンが。
同時にフェデリコ・フェリーニの逸話が繰り返され、「甘い生活」からも1シーンが。
フランコ・ゼフィレッリの「ロミオ&ジュリエット」のフレバーも降り掛けられ、
もちろん美しき「ひまわり」畑も登場します。

ps
離婚するダイアンの住む住宅が高騰しているという話しになっています。
このことからもアメリカの住宅市場が好調なのが分かりますね。
一方、イタリアではポーランドからの移民が来てます。
これはユーロの東方への拡大と関係してますね。
この時代の世界経済への覚え書きになるでしょう。


しかしトスカーナに移住したり旅して本でも書きたいですね。(そういう男が出てくるのよ)
「美しい瞳だ。その瞳のなか泳ぎたい」なんて言ってな。
俺なんか一生黙々と働くだけだわさ。
ロバみたいな一生だよ。
ロバ人生。
月末なんでボヤいて終わり。

| | Comments (2) | TrackBack (6)

September 29, 2005

ラスト・ワルツ

日本ではイマイチの人気だったけど、アメリカ人の心はしっかりと掴んでいた「ザ・バンド」のラスト・コンサート(1976年11月25日、感謝祭)をマーティン・スコセッシがドキュメンタリー映画化。

この映画、昔ロックマニアの間では必見とされていました。
私はザ・バンドのファンではなかったので観てなかったのですが、
監督もスコセッシなのでやはりこれは抑えておこうと観てみました。
見終わって、長年放っておいた宿題を一つ終えた感慨があります。

ザ・バンドの演奏は、最近はハリケーン被害に合っているアメリカ南部の伝統があります。
カントリーやゴスペルミュージックの香りを取り入れ、いかにもアメリカ人の消化したロックという感じです。
インターナショナルっていうよりアメリカ密着型のバンドでしょうね。

ゲストが豪華でニール・ヤング(懐かしい!)の歌声や、エリック・クラプトン(若い!)、
ニール・ダイヤモンドやジョニ・ミッチェルも元気よく歌ってます。
元々ボブ・ディランのバックバンドだけあって、ボブは一番良いところで登場。
最後はリンゴ・スターがドラムを叩き、ロン・ウッドまで登場しての大円団。
それだけアメリカでは大物ってことなんでしょうね。

マーティン・スコセッシが監督に選ばれたのは「ウッド・ストック」や「エルビス・オン・ステージ」の編集をザ・バンドのリーダー、ロビー・ロバートソンに見込まれたらしいです。

映像は郷愁を感じさせる陰影が印象的で、力強いリズムを刻む演奏はパワフルに録音されていました。

ラストの短い言葉の後の映像には余韻があり、コンサート・フィルムを越えた出来ですね。
フェイドアウトしていく音楽は聞いた後は、何かが一つ終わったとのだ、という暗喩が音もなく響き
さすがにスコセッシ一品でした。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

September 27, 2005

影が行く      JWキャンベル他

ホラーSF小説のアンソロジーで、とてもレベルの高い作品が集められた短編集です。

最初の作品は、ニューロティックホラーの大御所マシスンで傑作として名高い「消えた少女」。
次のクーンツは、職人的な匂いがどうも鼻に付く人だったのですが、この作品は若書きゆえに、
技量より勢いで描かれて好感が持てました。

「群体」「歴戦の勇士」「ポールターのカナリア」もテーマ別に見れば、水準以上の出来でしょう。

「影が行く」はJ・カーペンターの「遊星からの物体X」の原作。
読んでいると、映画のシーンが被って来ます。カーペンターの工夫と想像力が思い起こされ、小説自体もアイデアに満ちた傑作です。一見、不可能な設定をどうひっくり返すのか、これは本格派推理小説としても読めます。
その観点からも見事なラストでした。

「探検隊帰る」は、さすがディック!の名声通り、こちらの思惑を超える展開が用意されてます。
「仮面」もイイですね。バイオ・テクノノジーの行く末に、暗い暗示を投げかけます。
「吸血機伝説」鬼でなく機なのに注目して下さい。
果てしなき時間の果てのある邂逅が描かれます。SFならではのアイロニーに満ちたアイデアです。
広大な時間だけが醸し得る叙情が、短い作品に凝集されてます。

「ヨー・ヴォムビスの地下墓地」これもイイですね。
ある惑星に見つかった、4万年前の遺跡。こういう設定はSF以外では書きようがありません。
遥かなる太古の遺跡の描写が非常に素晴らしく、悠久の時間に想像力が羽ばたきます。

「五つの月が昇るとき」
これも地球が舞台では描きようもない、五つの月が昇る見知らぬ惑星で起る怪談話し。

「ごきげん目盛り」
題名とは裏腹に、ベスターらしい暴力と退廃をモティーフにした作品。

「唾の樹」HGウェルズへのオマージュに満ちたメタSF作品ですが、
大傑作「地球の長い午後」を思わせる過剰な動植物の描写がオールディスらしいです。
ベスターといい、オールディスといい三つ子の魂百まで、なんですね。

恐怖(ホラー)の本質が未知なるモノへの怖れにあるのなら、
SFという表現方法は絶妙だと確認できる傑作短編集でした。

| | Comments (2) | TrackBack (2)

September 26, 2005

ボクシング・世界ダブルタイトルマッチ

久々にボクシングがゴールデンタイムの放映。
前回の長谷川、ウィラポン戦は仕事中から楽しみで、「今晩は観るんだぁ~」、
と思っていたら昼間に終わっていた(ガーン!)という苦い思い出があるのだった。
あのウィラポンに勝った試合を見逃した無念さは忘れられん!

今回はエキジビジョンマッチも充実で、リングアナはジミー・レノンjr(日本語挨拶付き)だぜ。
こうやって盛り上げてくれ日本のボクシング。
でも最初の試合、気まぐれ天才児新井田は、イマイチだったなぁ。
これを観るまでトレーニングしながらラリオスvsマッカラー戦を観ていたのが悪かったのか。
一見、日本人みたいにみえるゲホン(←風邪をひいているわけではない!名前だ)相手に、如何なモノか?という試合。
結局、最近見なれたリアルファイトの試合では、信じ難いほどの小さな傷で10R負傷判定に。
ドキドキしたぜ。はーぁ、勝って良かったよ。
新井田、次はもうちょっとはっきり頼む。

粟生はパワーとスピードはあるけど、ディフェンスはどうなんでしょうか?

次が15戦全部1RKOのバレロに、1R持ったら100万円の公募試合。
イイ企画だと思います。こんな選手みたいしね。挑戦者は坂東。イヤスゴイ音のするパンチでした。
ひたすらラフなこのファイター、世界でどこまで通用するのか?

そしてトリは、
長谷川穂積vsマルチネス、WBCバンタムTM。
長谷川の左は世界水準でも速い!パッキャオ並みだ!(←反論は許さん)
「剣の奥義は俊速」、って千葉周作先生も言ってるしね。

動体視力が良くて、ヘッドスリップも切れてる。
相手と交錯した瞬間にスピードがあってスリリング。こういう選手好きだ!

「うーーん、イイですねぇ、のびー、のびー、パンチだしてますからねぇ」
と言う、浜田さんの解説も良かった。

長谷川、右下にダックしてくる相手に、左のアッパーを合わせられないかな。
そうなればモラレス並みだな(←反論は許さん)

| | Comments (0) | TrackBack (4)

September 25, 2005

ヴェロニカ・ゲリン

ダブリンに蔓延する麻薬汚染。
その麻薬王に一人の女性記者、ヴェロニカ・ゲリンが命を掛けて立ち向かう。
Based on a True Storyなので映画の展開は地味です。
それを補うのが主演のケイト・ブランシェットの魅惑。
理知と闘志、鋼鉄の意志を秘めた切れ長の瞳がクールなケイト・ブランシェットと、
沈鬱なダブリンの空をみているうちに映画に引き込まれます。

残虐な麻薬王の前で、引かないヴェロニカ。
「オマエの子供をさらって、犯して、殺す」
と言われればパニックになりトイレで吐く。
それでもめげずに翌朝には、不敵な笑みを復活させる。
サッカーが好きで(実際もマンチェ・ファンだったんでしょうか)で、
撃たれて入院しても病院でスポーツ中継を観たがるスピード狂のヴェロニカ。
良く闘ったよな。
たった一人の勇気が、アイルランド社会を大きく変えます。
勇気は世界を変えるのだ。


ps
173キロで飛ばすヴェロニカのクルマはオペル?のクーペ。
殺し屋の大型バイクは、ヤマハだった。
俺の大好きなインライン4のハイトーン・サウンドが、今回は禍禍しく聞こえてちょっとイヤだった。

ps
それにしてもアイルランドに降り注ぐ光の、なんと蒼く弱々しいことか。
人の密度は薄く冷えた風が吹き、海は鉛色にうねり、草木の丈は低く大地は岩がちだ。
そんな風景を見ていると、ジェームス・ジョイスの描く登場人物の「骨の弱さ」と、
何故、フランシス・ベーコンが仮借なき暴力をキャンバスに叩きつけるのかが、少しだけ分かった気になります。
映画とは関係ない話しなんですけどね。
アイルランドが良く撮れていた証にはなるのではないでしょうか。

| | Comments (0) | TrackBack (4)

September 24, 2005

ニューシビック発表

販売量では、歴代最低の失敗作に終わった7代目シビックがモデルチェンジです。
今回、日本では4ドアのみの販売。
さらにラインナップでは、ハイブリットエンジンに大きく舵を切りました。
ボディも170cmを越えて3ナンバー。
うーん、フィットにコンパクトカーの地位を譲ったというか奪われたというか。
古くからのファンには、小さく俊敏って印象のクルマだったから、ちょっと複雑な気持ちです。

なんで今日はシビックの事を書くかというと、ウチのもう1台はこの売れなかった7代目シビックなのでした。

妻が選んだのです。
俺には意外だった。
だってやけに長いボディが全然シビックってイメージじゃなかったからさ。
でも乗ってみると、室内がともかく広い。
豪華装備はなしなので、ほんとにだだっ広いって感じ。
ドアなんか閉めた時は、ぺシャンって音がして安っぽいんだけどね。
子供がドンドン大きくなる時期だったので、広いのと5ドアの室内は便利でした。
先入観がない選択ってのは、案外的確だったりする。

個人的にはATのシフトレバーがインパネにあって、ウォークスルーの前席が好きです。
これイイと思ったんだけど、止めちゃうんですね。
1500ccのFF使用なんだけど、エンジンもさすがホンダで良く回る。
夜中にコンビニに行く時なんか、私は結構引っ張って使ってます。


乗り出して5年目。
走行距離は2万3千キロ。
近距離ばかりのお使い専用ですが、妻は毎日乗ってるようです。

もうしばらくは乗るつもりだけど、次はなんにしようかな。
アコードワゴンが次のモデルチェンジでカッコ良くなってくれれば良いんだけど、
どうせ街乗り専用だから、欧州用の5ドアシビックが日本でも出ればそれでも良い。
そしたらパドル・シフトでハイパワー・バージョンが出ないかなぁ。
ATじゃないと妻が乗れないからさ。
それでR使用なら俺も嬉しい。
どっちにしろ5ドア・ワゴンタイプを選ぶと思います。

| | Comments (7) | TrackBack (2)

September 23, 2005

リデッック

意外な良作にして、主演のヴィン・ディーゼルの出世作になった「ピッチブラック」の続編。
この映画ではリディックの出生があかされ、彼は宇宙の支配者と宿命の対決に至ります。

とりあえず2作品を監督したデヴィッド・トゥーヒー。
「ピッチブラック」でも宇宙空間や辺境の惑星の撮り方、奇岩からの恒星の光りの出し方などに、暗い叙情を醸した映像を見せつけましたが、今回は予算が豊富に付いのか、さらにスケールアップしていて楽しめます。
記憶を探られるシーンなど、特殊効果のデザインにHRギーガー風ですが、あくまでその刺激性だけを取り出して、生理的嫌悪感を出さないところがエンターテイナーのプロ意識だよね。
予言者のオバアさんの撮り方も工夫がありました。

でも膨大なコストが掛かったであろうこの映画に肝心の生命を与えているのは、ヴィン・ディーゼル。
もう全部がカッコイイです。
これだけ荒唐無稽な映画を主演で支えて、輝いてんだから文句なしです。
まさに筋肉時代のヒーロー。
無茶な力技もコイツの筋肉なら出来る、って思わせるんだからもうヴィンの勝ちだ。
宙を跳ぶスピード感から格闘シーンのアクション、渋く見得を切るとこまで決まっています。

格闘シーンで空間を歪ませてスピード感を出す処などは、日本のアニメからのアイデアでしょうか?
上手く映像化されています。

スタローン、シュワルツネッガーがいなくなり、ブルース・ウィリスも老けちゃって、
次はどうするって思うと、こうやってスターって生まれるんだよな。
いくら筋肉バカって云われたって、カッコイイものはカッコイイ。
この人の顔って、スキンヘッドで、どう見てもハンサムじゃないし、品はないし、アマタも悪そうで、パブでビールでもガブ呑みしちゃサッカー見て暴れるって感じなんだけど、カッコいいんだよ。
スターのオーラってのは不思議です。
特にラストの格闘シーンはイカシテますぜ。痺れるました。

ps
唯一、ネクロモンガー、って言葉だけが、違和感があったなぁ。
聞くたびに、なんかモモンガーを思い出してしまって、
夜の林で木から木へ、モモンガー!!!って飛び移っている絵柄が浮かんでしまった。
モモンガーはダメだよね。
可愛いけどさ。

| | Comments (7) | TrackBack (4)

September 22, 2005

スクール・オブ・ロック

名門私立小学校に、オチコボレのロックン・ローラが代用教員としてやってきて・・

はい、この設定だけでもうラストまで分かりますね。
そうです。その通りの展開です。
落ち込んだ導入部からハチャメチャな展開、葛藤と不運をユーモアで乗り越え、最大の試練を助け合う、
そして感動のクライマックスへ・・・
問題はそれが面白いかどうか?
楽しかったです。

まず主演のジャック・ブラックが素晴らしい。
終業時間に、あれだけ嬉しげに走れる男はそうはいないよ(笑

あの一目散の走りは、退屈な日常からの逃走のメタファーなんですね。
そしてそれはそのまま=ロックでもある、と。(以上2行は冗談だよ)
子供達に初めてスモーク・オン・ザ・ウォーターを教えていくシーンは、ワクワクするほど楽しい。
時間割のシーンから、ロックの歴史を教えるとこもいいなぁ。
自作の曲の歌詞や、突然演奏を始めるとこなど、ひたすらバカらしくてともかく笑う。
傑作なのは、「ロックは反抗だ」で生徒をノラせといて、オチまである。
活き活きした笑い声が残っているけどアレは本気で笑っているんじゃないだろうか?

学校モノに宿命の子供達のキャラクター造りもいいです。
子供達とジャック・ブラックとのやり取りが脚本段階から良く出来ていると思います。
ジェフ・ベックに似た男の子、ブランドのドラマー、マネージャー役のネゴシエーター、コーラスの3人組み、
ベースの女の子なんて、クールに見違える変身ぶり。
大人では女性校長が魅力的でした。
こういうサブキャラが立っていると映画は締まります。

「あきらめろ、人生は必ず負けるからだ」と言っていたのが。
「レッツ!ロック!」と叫ぶ辺りはではもうカタルシスの爆発を待つのみ。


「1ステージが世界を変える」
そう本当にロックの世界はそうだった。
走馬灯のように1ステージで世界を変えたロッカーが目に浮びました。
でも最初に出る名前がレッドゼップ、イエスにラモーンズにセックス・ピストルズ、Pフロイドの狂気、WHOにジミヘン、いきなりやる曲がスモーク・オン、車中の曲が、移民の歌・・・少し寂しいね。
やっぱ最近はラップですか?

「ロックの神様、ゴッド・ロック」って言ってますね。
ヤハウェ以外の神がいたとは、知りませんでした。

| | Comments (8) | TrackBack (6)

September 21, 2005

堕天使のパスポート

ロンドンの夜の裏側で取引される臓器と、巻き込まれざる得ない不法滞在者の想像を絶する苦難の日々。
もうこんなんだったら死んだ方がマシだぁ、と軟弱な俺なら思ってしまうよ。

ヒロイン役のオドレイ・トトゥが熱演しています。
相変わらずの思いつめた演技ですが、今回の話しにはピッタリです。
「私はイタリア人なの、イザベラ・エンカリコ、NYでカフェをやっているの。ナポリに生まれて、22才・・・」
新しい身分を作るときに、やけに具体的な固有名詞と設定をペラペラしゃべり出す処が泣けてきます。
こんな境遇の少女(少女なんです)なら、苦しい1日がやっと暮れて一夜の夢に落ちる時はホントウにこんな風な空想に浸って耐えているのかもなぁ、と考えてしまいました。

もう一人の主演、キウェテル・イジョフォーも素晴らしい。
愚直なインテリで一直線の正義の味方なのですが、それが不自然に見えませんでした。
演技は、らしく見えればいい訳で、絵に描いたような正義派でもそう見えればいいんだよね。
自然な魅力が溢れるファーストシーンからラストシーンまで。特に最後は泣けたなぁ。
その他、間に立つ中国人、ホテルの同僚から悪役のホテルマンまで、この映画の出演者はみんな達者でリアルでした。

幾重にも差し出される重いテーマすべてに考えさせられます。
生きる為に劣悪な環境の中で臓器を売る者、生きる為の買わなければならない7才の少女。
「多くは死ぬんだ」
「自由と同じよ」
「神に何て言う」
「神はもういない」

生きる意味って、その根源ってなんなんでしょう。
人生は楽しくなければ、なんていうのは極めて恵まれた人間の解答なんですね。
生とは、それ自身崇高であり、その継続こそが目標なのでしょう。

「ここが地獄なのさ」
そう言われてもそこで生きざる得ない時、彼女は地獄で何故夢を見られたのでしょう?
あるいは地獄にいるから、一筋の光りにすがろうとするのでしょうか?
天国の人は、案外堕落しやすいのかもしれません。
地獄に生まれ暮さざるえない「堕天使達」を見て、そう思いました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 20, 2005

矢沢永吉FILE~THE ROOTS~

実は好きなんです。
昔はコンサートにも行ってました。

この番組はライブと、あのしゃべりなんだけど、2時間面白かったです。
スゴイと思うよ。
ライブと演劇の番組って大概、飽きるもんね。
この人は相変わらず「この世」とは別の「YAZAWAワールド」の住人です。
しゃべりの論理の飛躍が素敵で、独特の言語を使います。ちょっと長嶋さんに似てませんか?

なに? バラードもロックもテンポが違うだけで同じに聞こえるって?
良いんです。問題はあの発散するエネルギーがスゴイよ。生命力!って感じ。
33年やってんだぜ。56だって。
結局、歌が上手いんだよね。

俺もあのしゃべり方で明日から話そうなぁ。
「スゴク、今、ハッピーですっ」なんて。
見ているうちにあんまり矢沢なんで、途中から柳沢信吾が中に入っている気もしてきた(笑

でも本人は神経質で良く眠れないってさ。
案外、そんな感じがするよ。
飲むのはオフの前だけだって。

アクションもスゴイ。特に若い頃はエネルギー爆発で餓えた狼みたい。あんなだったんだよね。
マイクターンはサーカスみたいだし、エーチャンは文句なくカッコイイです。
横浜アリーナも一杯、武道館も3階席まで満員。

もうこの年になると「成り上がり」なんてどうでもイイの。
最近、俺はショボクレテいてさ。エーチャン聞いてドライブして元気だそう。
税金一杯納めて、YAZAWAって書いたプール造って、30億騙されて、そして復活だぜ。
やっぱカリスマだな。

長い旅、時間よ止まれ、チャイナタウン、止まらない~HAHA、鎖を引きちぎれ・・・もう良い曲は一杯あるけど、
トラベリンバスはやっぱ別格。
今回、年代順にやったけど、曲の発表当時の76年当時のフィルムを見るともう獣って感じ。
それで90年に素肌に白いスーツになるんだね。
つい美術史的に年代変化をチェックしてしまいました。
結局、トラベリンバスは10回も見ちゃった。
あー良かった。それにしても良い顔に老けている。
キツイ旅だぜ、オマエに分かるかい? あのトラベリンバスで、暮らしっていくのは・・


| | Comments (2) | TrackBack (0)

September 19, 2005

オデッセウスは無事、帰還出来るのか?

20日に行われるFOMCの決断が注目されている。(とこの記事のアタマだけ書いた時は、利上げ打ち止め観測が出ていたのです。でもどうやら継続らしいですね)
本来なら任期一杯までの利上げの継続により、商品と住宅へ流れ込む流動性を抑え込むはずだった。
この既定の決断を揺るがしたのがハリケーンの被害である。
100万人の雇用が失われ、政権は利上げの停止を求めた、という憶測が流れている。

決断への影響を二つに分けて考えよう。
一つは政治的配慮、もう一つは金融面での判断である。
政治的な配慮なら、すでに結果が出ている。
今回の引き締め政策は、大統領選の前から行われたのだ。
このことから、産業界、あるいは共和党内からの利上げ停止の要望が大統領を通して行われたにしろ、
マエストロの決断がテキサス男との昼食で揺らぐことはない、と考える。

では金融面からの判断はどうか?
今回の利上げは、自らが行った緩和策から生じている、住宅と商品市況を軟着陸させる、という目的の中で行われている。
判断の要は、ハリケーン被害による景気悪化要因と、原油、住宅市況の兼ね合いということである。
数字だけをみたら判断は明らかだ。
アメリカの住宅価格も原油市況も高値を保って崩れる気配はない。

またハリケーンでの被害には、復興計画が提出され、政府は財政出動する。
まさにケインズ的な景気刺激要因である。


もし利上げが停止されたら、8兆ドル(日本円で約880円、日本とアメリカの政府債務とほぼ同額)にまで膨らんだ米住宅ローンバブル軟着陸へ道筋をつけたとはいえなくなる。
議長退任後でも、住宅バブルの崩壊からアメリカ発の世界不況が起った時点で、
責任は後任のバーナンキ(←この人だと思います)ではなく、アランに求められるだろう。

それでは18年間の任期中、ブラックマンデー、ITバブル崩壊、同時テロの克服を、マーケットへのプリエンディブ(市場への先制的)アプローチにより乗り切ってきた名声も、機敏な緩和主義者の幸運に過ぎなかった、ということになりかねない。
「史上最も偉大なるセントラルバンカー」という名声を歴史の中に残すには、危機を救った後の副作用を、残さずにつけてこそであろう。

確かにそれは困難な道だ。
流動性が金融政策の手を離れ、経常赤字を補填する、黒字国の債券投資により生まれているという複雑化した側面がある。(違うんでしょうか? 詳しい方お願いします)

知略に優れた金融界のオデッセウス、グリーンスパンの名声は、果てして退任後も無事でいられるのだろうか?
それは彼自身だけでなく、世界経済の運命を左右することになる。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 18, 2005

夜の風呂場

季節が温くなると、夜、風呂に入るとき窓を開ける。
少しだけの露天風呂気分。
風呂場は西向きの二階にあり、隣は丹精された庭のある老夫婦の住む平屋の家で、夜は早い。
その向こうは、人通りの少ない細い道で、その先はひとけのない駐車場である。

夜の窓からは、小さな街灯だけがポツンと光っているのが見える。
昨夜はだいぶ涼しくなった風を感じながら体を洗い、湯船に沈んだ。
虫の声だけが大きくなっている。
まもなく窓を閉める季節になる。
中年の夏がまた一つ終わったのだ。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

September 16, 2005

ホメロスを楽しむために 阿刀田高

古代ギリシャの伝説の詩人、ホメロスが語ったとされる2大叙事詩「イリアス」「オデッセイア」は、
後の西洋文学、芸術に多大な影響を与えました。
この本はその軽快な解説書です。

ホメロスの生年は西暦前900-800年。
「イリアス」「オデッセイア」に歌われ、
最近ではB・ピット主演で映画化されたトロイ戦争は西暦前1250年位とされているようです。
ホメロスは300年以上前の戦争を語った訳ですね。

それでトロイ戦争の発端は,トロイの王子パリスがスパルタ王の婚約者ヘレンを誘惑して連れ去り、
それに怒ったギリシャ連合軍が、アガメムノンを総帥としてトロイを攻め、攻めあぐねて木馬の姦計を計りトロイは滅亡する、という話しです。
ただそもそも戦争の発端は、アテネ(智恵の神、ゼウスに娘)とヘラ(ゼウスの奥さん)とアフロディテ(美の神です)の3人が、1番の美人は誰か、と羊飼いだったパリスの前で黄金のリンゴを取り合う為に起こしたことです。
また戦争が長引いた(10年以上)のはゼウスが人口調整の為にしたようです。

結局、みんな神様の都合だったのね。
ブラピが演じ、最高の勇者と称えられるアキレウスは、女神テティスと人の子供の半人半神だったのです。
しかもテティスに気があったゼウスとポセイドンがひいきにしています。
これじゃ強いよね。

「オデッセイア」はギリシャ側の英雄オデッセイが故郷に帰るまでの話しですが、帰るのに10年掛かっています。なんでそんなに帰れなかったかというと、途中、ポセイドンの息子、一つ目の巨人キュクプロスの目を突いて海の神ポセイドンを怒らせたからでした。
それからオデッセイが強いのも、実力派の女神アテネが贔屓にして、相手の槍や弓をみんな避けさてしまい、
逆にオデッセイの弓は全部当たることになっていたからでした。

しかしこんな神様出まくりの伝説を信じて、生涯を掛けて発掘してしまったシュリーマンってスゴイ人ですね。

以下は、イタキ島の田舎のレストランで星空を眺めながら、阿刀田高の呟きです。

「人が生まれ、人が死んでいく。
叙事詩の英雄たちのように華やかではないけれど、
この広大な歴史の中では英雄の輝きだって高が知れている。
どんなに小さな自分であっても自らの生き方を求めて執拗に悩み、必死に生きていくよりほかにない。
その点では、だれもが英雄なのだ」

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 15, 2005

久々のビール

この夏は禁酒状態だった。
しかし今日、あまりの残暑にビールを飲んだ。

・・・旨かった。
毎日飲んでいた時にはない、格別の味わいがあった。

人生の幸福の総量は決まっている、と聞いたことがある。
神様はどこまでも皮肉屋なのだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

September 14, 2005

シービスケット

29年10月のクラッシュから始まった大恐慌の中、駄馬の烙印を押されたひときわ小柄な馬(アメリカ人は大きいものが好きです。スポーツ界でもそれは顕著でボクシングなどはウエイトでファイトマネーに格段の違いがあります。大きいもの、力ある者への信仰が強いのです)の活躍に人々は奮い立ちます。
やがて名を挙げたシービスケットは最大のライバルとの戦いに望みそして・・・

ここからがこの映画の本当の見所です。
リハビリの長い日々。
ハドリアヌス帝の言葉が引用されます。
「レンガを1つづつ積んでローマを築こう」

春が来て夏が去り、秋が巡る。焦りとの戦いは本当の心の強さが試される処です。
それが色づく木々、吹き抜ける風の冷たさまでが伝わってくる素晴らしい映像で綴られます。
アメリカ人のドグマともいえる不屈の精神が幾度も語られます。
「不運にくじけずスゴい奴だ」
シェークスピアも引用されます「体は小さくても、心は猛々しい」
「誰だって負ける時はある。その時へこたれない根性を見せられるかどうかだ」


この映画は如何にも、「映画を観ている」という感慨の中で進みます。
画面、画面が如何にも「映画」なのですが、どのシーンも力感に溢れとても綺麗です。
広大な草原は鮮やかな色彩で彩られすべてを包み込むような奥深さがあります。
何より疾走するサラブレッドのダイナミックな美しさが良く撮られています。
騎手のライディングシーンも素晴らしい迫力とカッコ良さです。
疾走シーンを見ているとスピード好きの血が騒ぎました。

傷を負ったオーナー(ジェフ・ブリッジスが良かったです)、孤高の調教師(夜の森と、早暁の朝霧の中から影をたゆたたせて現れるシービスケットとの出会いのシーンが秀逸でした)
特に騎手役のトビー・マグワイアが素晴らしい。
貧窮から脱出しようとする孤独な人生の旅情と、その克己と勇気を示す過程が抜群でした。

大恐慌に打ちのめされたアメリカの庶民を、
負い目がある1頭と3人が困難と逆境にひるまず闘うことで勇気づける。
私は知らなかった「アメリカの神話」を一つ知ることが出来ました。
監督のゲーリー・ロスの傑作ではないでしょうか。

| | Comments (6) | TrackBack (7)

September 13, 2005

テキサス・チェーンソー

トビー・フーパーのカルト的傑作「悪魔にいけにえ」のアメリカでの原題は、
この映画と同じ、「The Texas Chainsaw Massacre」

この映画は、その「悪魔のいけにえ」が実話だったら、という設定で創られたリメイク作品。
ただ「悪魔のいけにえ」自身が、アメリカの快楽殺人文化の祖となった、
エド・ゲイン神話が元です。

エド・ゲイン:1950年代、ウィスコンシンに実在した独身の大人しい孤独な男性。
その寡黙な男は、殺人および墓地の死体から皮を剥いでランプシェードやチョッキを作っていました。

この人の犯罪が載った新聞記事からR・ブロックが「サイコ」という小説を書き、
それを映画化したのがヒッチコックの「サイコ」!
これで「サイコ」という言葉に「ある意味」が出来ました。
新人監督だったトビー・フーパーがヒッチコックの「サイコ」を見て、
同じネタでもっと無茶苦茶にやってやるぜと撮ったのが「悪魔のいけにえ」です。
だからこれは「実話」から造られた「フィクション」の「ドキュメンタリー」という「デリバティブ」です。

「悪魔のいけにえ」は今やニューヨーク近代美術館にフィルムが保存されているほどの作品なので、
それに及ぶとも思えず、期待しないで見ましたが、なかなか面白かったです。

特の良かったのが主演女優のバストで、白いタンクトップが走るたびにカタチ良く揺れるので、
とりあえずそれが楽しみで見ていました。
ホラーとしての出来は、まあ力作の及第点という感じ。
力はこもっていますが、レザーフェイスの顔を正面から撮ってしまったりと、
センスより力技で勝負という作品ですね。
元ネタがスキャンダラスな暴力性の極北的作品なので、あくまで「ホラー映画商品」として創られたこの映画は、比べればグリコのオマケ程度でしょうが、元ネタはホラー映画の歴代1位とも噂される作品ですから、オマケでも見る価値はあると思います。

この映画を観て、もし興味が湧いたらぜひ「悪魔のいけにえ」を見て下さい。
ただし映画というより、観客の感性を破壊する劇薬みたいな1本なのでお覚悟を。

無名の新人だったトビー・フーパーが低予算で、無名の俳優だけで、脚本も練ってない、いわゆる映画の文法はすべて無視しても何故か「出来てしまった」悪魔が哄笑しているような作品。
でもDVDが手に入り難いですか?

制作から30年を経て、未だに人々から忌み嫌われ警戒される作品。
元ネタは、そういう映画なんです。

| | Comments (9) | TrackBack (5)

September 12, 2005

小泉、自民圧勝

自民は比例名簿の候補者が足らなくなるほどの圧勝。
これだけとっても今回の勝ち方が、執行部の予想すら越える劇的なものだったか分かる。
勝つだろう、とは予想されていても、そんな予想があると勝ち難い、なんてジンクスも吹き飛ばす勢い。
まぁ、私も自民党に入れましたけどね。

小泉さん、あの「解散時の演説」にはかつて日本の政治家からは聞いたことがない覚悟と迫力を感じました。
カッコ良かったですよ。
「殺されてもやる」
これが停滞し、鬱屈した日本人に効いたと思います。

結局、小泉さんが連れていく日本の未来が良いものがどうかは、まだ誰も分かりません。
でも今の日本は財政もヤバイし、近隣も不穏だ。
もう事なかれ主義じゃ駄目だ、といつのまにか大多数の日本人が思っていたんでしょう。


そして相手が岡田さんだった。
ハマコーが岡田を就任当初からバカにしていて、私は政治には詳しくなかったので、?、と思っていたんです。
まぁ長年政界の修羅場をくぐったアイツは、当初から嗅ぎ分けていたんですね。

昨日の番組でもまだ岡田さんは、
「手ごたえは感じた」←アホですか? 思いっきり手ごたえが希薄に見えて逆に心配だったよ。
「選挙は政策論争で戦いたい」←国民は「政策」の「論争」だけを「聞かさせる」のに1番危機を感じていたんです。

こういう弱い相手と戦えた、といのうも小泉さんの運でしょう。
アジテーターとしての資質が違い過ぎたね。
岡田さんの言ってることって、街頭で聞いただけじゃ、みんなイメージできないと思うよ。
服だって、クールビズvs真夏に暗色のスーツじゃなぁ。
センスが違いすぎて勝負にならないよ。
小泉はTVでは迫真の迫力を見せ、街頭ではご当地の柔らかい話題で掴んで、郵政1本。
どんなゲームでも、まず勝ちパターンって1つあればいいんだよね。
昨日だって、選挙の大勝に浮かれず騒がず、まぁ岡田さんの勝てる相手じゃなかった。

将来、昨日が「良き選択の日だった」、と思えることを今は祈るのみだ。

| | Comments (8) | TrackBack (2)

September 11, 2005

アスリート・キリンさん、 デメンティエワ

女子テニス界を席捲するロシア勢の一角デメンティエワ。
今日はウエアとサンバイザーが黄色で、首の長い彼女が着ているとキリンさんみたいに見える。
ブロンドのポニーテイルがたてがみで、サンバイザーにならぶヨネックスのYのマークがキリンの角ね。
ゲーム中もちょっとポカンとした表情をする時があって、それがまた草原の草食獣という感じ。

しかしキリンといっても馬鹿にしては行けない。
デメンティエワはアスリート・キリンさんだけど、
良く見ると中には背が高いってだけで威張っている「ワルのキリン」って結構いるものです。
目つきの悪いキリンって、敵にまわすと結構手強い気がする。
ストライドが長いから足も速いしね。

デメンティエワもともかく俊足だ。
前に落とされても、左右に振られても追いついてくる。
草食獣の生きる術はともかく脚力だからね。
蹄の付いた足でライオンの腹を蹴破ったりすることもあるらしい。
デメンティエワも腰周りから太股にかけての筋肉が発達していて、草原を駆けさせたら速そうだ。

打つ時も最近多い、叫び、というより掛け声って感じ。
叫ぶ時もあるけどヤラレタ時だけ。この辺も草食獣っぽい。
でもフラットで打つショットは爽快。
トップのタイミングで打つフォアのスイングスピードは瞬速。
両手打ちバックも上から叩いて直線的に相手コートへ突き刺さる。

問題は精神面とサーブでしょうね。
ニコニコしていたりして根明な性格って感じが、世界の頂点を目指す戦いではどうなのか?
肉食獣的な勝利への執着が希薄なような気がする。
今回もピアスの気迫に押されたな。
とりあえずガンバレ、キリンさん。

それから苦労人ピアス30才の決勝進出おめでとう。
メンタルの強さは見ていて勇気つけられます。
彼女はどんな苦しみを乗り越えてきたのでしょうか?
なんか巨乳の仙人って感じになってきました。
メンタルの弱い俺は弟子入りしたいよ。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

September 10, 2005

デューン/砂の惑星

TVシリーズとは思えないほどコストの掛かった映像です。
3本で5時間ですが、長大な原作を良く映画化したと思いました。

最初の1本はD・リンチの作品かと思ったので、そうでないことを知った後はガッカリしたのですが、才に走り原作の映画化というより自分の作品としてアクの出たリンチ作品よりも、原作に忠実なこの方シリーズの方が、SFの名作として名高いフランク・ハーバートの世界を味わえるのではないか、と思いなおしました。
原作は文庫で4巻、その後もシリーズ化して全17巻にもなります。

この話しは、遥かなる未来の星々の世界に仮託された、西洋がアラビアと出会った物語であり、
同時に荒野へと追われた王子が苦難を乗り越えて王として帰還する(この構造は世界の神話に共通しているらしいです)、古来よりの神話の原型にそった作品です。

砂の惑星アラキスが舞台で、その砂漠から産出される不老不死をもたらす宇宙最高の宝とされる香料(スパイス:胡椒は大航海時代にヨーロッパでは金と同じ重さで取引されました)、神秘的で異教を奉ずる砂漠の民、
巨大で自然そのものともいえる強大な力を振るう砂虫(サンド・ウォーム)は砂嵐(サンド・ストーム)の隠喩でしょう。
そして荒野の王子は、モアディブ(アラビア風だ)と名を換え、メランジ(香料)を生み砂漠の自然の象徴たる、砂虫(ジブリのナウシカに出てくるオームの原型です)を乗りこなし王権を奪還します。

「薔薇色のぺトラ」そっくりのセットが出てきます。
インディ・ジョーンズでも使われた有名な遺跡ですが、私も是非行きたい処です。
衣装や美術も突飛ですが、しっかりとしているので鑑賞に堪え、王女役の女優も綺麗です。
予言を司る少女は、トロイのカッサンドラがモデルでしょうか?

長いですが見終われば世界で1200万部を売り上げた長大な傑作SFワールドを一巡りすることが出来ます。
良い意味での、お得なパック旅行みたいな映画です。

| | Comments (4) | TrackBack (1)

September 09, 2005

深呼吸の必要

傷ついた若者達が沖縄で農業支援のアルバイト・・・
沖縄+農業、これがいかにキツイことなのか解っているのでしょうか?
「農業」を、自然を相手のストレス・フリーな仕事と思っている人々がまれにいるのを知って、驚くとこがあります。
私の農業体験は自宅の庭の家庭菜園だけですが(←「業」じゃないか)見るのとやるのは大違い。
休日ヒッキーな生活を改善しようと「ヘッセの庭仕事の愉しみ」なんて本にも刺激され、
さらに嫁がもともとこの手が好きなのでやってみた訳です。

実際に真似事だけでもやってみたら、大変なんてもんじゃないですね。
農業は極めて高度なノウハウと、体力と天候の運に左右される困難な仕事なのをしりました。

それがこの映画では、若者がいきなり「暑いから」と半袖できび畑に入って行く。
呆れてモノも云えないです。
それですぐ、お昼ご飯になるんです。
ならないって。
あの炎天下で、背の高いきびの畑で刈りをやらされたら昼飯までモタナイって。

まぁ映画ですから、と半ば諦めて見ていると、じょじょに良くなります。
農家の夫婦役の2人が自然で良いんです。
それから若者達の演技もだんだんに個性が出てきて光りだします。
エピソードの中には、ニヤリとさせつつ、それを言っちゃあお終いよ、というツッコミもあり、
夕暮れの浜辺で「ビリでも楽しかった」なんてセリフを聞かされる辺りでは、すっかり夢中で観てました。

穏やかに黙々と働くお父さん、そう働くっていうのは黙々としたものです。
それがヘナヘナの若者達を変えていく。
服装がすっかり変わっていくのもリアルでした。
後半のキャッチボールのシーンは、音楽も良かったです。
互いの確執や悩みを乗り越えて、最後は定番の感動路線になるのですが、ここにくるまでが良いので充分映画に入って行けました。

刈りの終わった畑で、みんながかけっこをします。
青い空と白い雲の下、バックはテーマソングをつまびくピアノだけ。
ゆっくりとスローモーションになってひとりひとりが走っていく。
不恰好でも、遅くても、ビリでもイイのさ。
そう、人生で大切なことは、勇気を持って進むこと。
生きる力を取り戻した若者達を現す美しいシーンでした。

ロケで撮られた農家の様子もそのままでしたね。
今や沖縄は日本の癒しの楽園ですから、スタッフにも「沖縄のプロ」がいるのでしょう。

静かなラストシーンには余韻があり、次の若者達を迎える終わり方も良いですね。
寛容なオジイとオバアが印象的で、本当の意味での「人の大きさ」に感じ入りました。


| | Comments (0) | TrackBack (1)

September 08, 2005

日本破産についての幼稚な考察:6

金利=経済成長率+インフレ率
この式の右辺のインフレ率を左側に持っていきましょう。

金利―インフレ率=経済成長率

税収が増える(=経済成長)なら、インフレ率はその分マイナスでないと金利は上がる、ということです。
5%の成長をするなら、物価は5%下がらないと金利は上がります(あくまでも理論の上では、ですけどね)
ところが経済成長=消費増+設備投資増、ですから経済成長は、国の総需要が増えるということです。

みんなが「モノ」(ソフト、ハードを含めたすべての経済価値の象徴)を盛んに欲しがり売れるので、
経済のインフレの公式、生産量<需要量になり易いですね。
日本も高度経済成長の時は、物価が上がってそれが悩みの種でした。
それで金利も高かった訳です。

ということは、経済成長だけあって税収だけが増え、インフレどころか物価はマイナスで、金利が低いまま、というのはかなり困難な注文だということがわかると思います。

では国はドンドン増税増税としていけば、国民は塗炭の苦しみでしょうが、国は潤い財政は再建出来るのか?
これも経済学の教える処では、なんて気取ったとこを言わなくとも、
ドカンと税金を取られたら、消費に回すお金なんて残りません。
結果、企業は「モノ」が売れず、不景気になり、赤字会社が増えて納税は減り挙げ句に倒産したら失業者が増え、国民は逆さに振っても鼻血も出ない、という状態です。
これじゃ、元気ならいくらでも納税する国民を殺しているようなものです。

本当に民間が苦しくなり、それが日本の産業を衰えさせ経常黒字額が減ってきたら・・・
マーケットは先を読む世界です。
財務状態が最悪の国債の信用を担保していた民間が弱れば、いよいよ日本の国債の買い手はいなくなり、
その時円は急落し、高騰を続けている資源、食品の値上がりが本格化するでしょう。
不景気下のインフレが起る訳です。
仕事はない、あっても安い、逆に物価は上がります。

でも増税が少々なら、さほど税収が増えず、歳出削減もろくに進まなかったら、公的債務だけが粛々と積みあがり利払いは膨れ上がります。

あるいは、世界的な資源価格の高騰が長期に効いてきて、インフレが忍び寄ってきても国が金利を上げなかったら、物価上昇に預金が目減りする時代になる訳です。
今は金利も0ですが、物価も上がってないのでまだマシな状況な訳です。
じゃあインフレをカバーする分だけでも金利を上げたら、国は国債の利払いが激増します。

さあ困った。

ちょっと逆算してみましょう。
税収40兆すべてが利払いに消えるには、債務が1000兆円になれば新規発行国債の金利が4%でイイわけです。財務省は5年後のプライマリーバランスを目指してます。
今のペースで年に40兆円づつ債務が増えると、ちょうどその年に債務が1000兆円になりますね。
そして今の長期国債の金利が1.4%位ですから、2%強上がるとそれは現実化します。

短期の影響はともかく、長期で見れば日本の弱みの資源が上がり、少し景気が回復すると、すかざず増税論議は起きて逆に歳出削減を理由に、社会保障は薄くなるでしょう。
坂の上の雲ならぬ、頭上の過剰債務というのは、日本国民の上の大きな黒い雲となりそうです。


注意:このシリーズの記事は、とても大ざっぱな内容です。

例えば
金利=経済成長率+インフレ率
この式も完全に現実とはマッチしませんし、この式自体、本当は名目と実質、両方の成長率やインフレ率を使ってます。係数も出てきます。
ただそこまで書いていると、長くなるので端折りました。
また
>新規発行国債の金利が4%
これも長期国債の金利だけで考えてます。
実際は短期債なども含まれ、もっとコストは軽いと思います。
あくまで一つの考えとして読んで下さい。
終わり

| | Comments (2) | TrackBack (0)

September 06, 2005

日本破産についての幼稚な考察:5

現状の税収は40兆円です。
歳出は80兆円でしたね。
差し引き赤字は40兆円です。
ただ利払い(過去の借金のツケ)が20兆円あるので、
実際に行政運営として使っている額は、80兆―20兆=60兆円です。

仮に(仮にですよ)経済が急成長して、納税額が10兆円増え、税金を50兆円納めることが出来たとしましょう。
行政改革も推進され、歳出が10兆円減って50兆円で済んだとします。(仮にです!)
そうなると50兆円の歳入と50兆円の歳出になります。
歳入欠陥がなくなりプライマリーバランス(最近流行のマニフェストで良く出てくる言葉です。5年後の2010年を目標にしていることが多いようです)が取れた訳です。

でもこれで良かった、とは喜べませんね。
積み上げた国債の利払いがあるので、まだ20兆円の不足です。
収入と支出はバランスしても、借金返済の利息分が足りない訳です。
利息分が足らなければ、利息が利息を生むカタチで債務残高は増えてしまいます。

ではさらに経済成長がなされ、税金を60兆円納めることが出来たとして、
行革ももっと進んでさらに10兆円の削減が出来たとすると・・(SFのようですが)
歳入が60兆円になり、歳出は40兆円になるから、利払い20兆円を足して、釣り合います。
これでやっと新規の借金の必要がなくなる訳です。
債務返済のスタート地点に立てました。

でも税収が20兆円増えるというのは半端じゃないですね。
今の1,5倍になることですから、よほどの好景気(=経済成長)がないと大変です。
歳出削減だって行政運営を今の60兆円から40兆円にする。
2/3の額でまかなう訳ですから、大変な行革が必要ですね。

でも覚悟を決めてやり抜くぞ!
と思ったら金利が上がってきました。
800兆円の借入れですから、金利が1%上昇しただけで年に8兆円の利払い増です。
2%上昇したら16兆円・・・3%上昇なら24兆円の負担増です。
頑張った分が帳消しですね。

それなりの額なら好景気と行革でなんとか穴埋め出来る可能性のある国債返済も、
年間税収の20倍まで積みあがると借入れ金利の影響が非常に大きくなる訳です。

困りましたね。
そして経済学はこう言ってます。

金利=経済成長率+インフレ率
次回は、この式の意味することを。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

September 05, 2005

日本破産についての幼稚な考察:4

具体的に日本が破産する時とは、日本が新たな借入れを拒否される時です。
要は新規発行の国債が売れなくなる時です。

そこで売れないなら売れなくなった国債を、日銀自身に買わせてしまえという発想があります。(実はすでに少しづつ買っているのですが、それを大幅に売れ残った分は全部買っちゃえ、というやり方です)
モラトリアム(借金の利払いを引き伸ばす)の一種です。
他の人が買ってくれれば買う必要のない物です。
それを売れないので自分の国の中央銀行が買うということは、その国の信用がすでにない、ということです。

そんな国の通貨は世界の為替市場でどうなるでしょう。
暴落します。
日本の通貨、円が急落すると、今まで安く買えた資源や食料が高騰します。
物価も上がるでしょう。
ただこうなると、日本の強い産業製品が、円の急落と共に価格競争力までつけてしまい他国の産業に甚大な影響が出るので、世界は黙っていないでしょう。
膨大な輸出が再開されて、貿易黒字が膨らむと円の需給は逼迫し、円は上がります。

不思議なことになりました。
日本の国債が売れない、ということは日本という国の信用がなくなることですが、
日本には強い産業があるので結果として円は支えられるのです。
これを逆から言えば、大きな経常黒字を稼ぐ産業と、すでに膨大な対外資産を持つ国の国債は、その国の財務内容が最悪でも、それらへの徴税権を持っているが故に国債は売れる、かもしれません。

国の悪さを民間の資産と産業が担保する訳です。

ただこれはいつまでも続くことなのでしょうか?
すでに償還される国債の利払い額は、総歳入額の半分まで来ています。
しかし日本の産業の強さも、当分終わる気配はありません。

経済の歴史を振り返ると、財政赤字で破綻する国の通貨はみな大幅に下落し、その弱さの調整がなされます。
この点が今の日本の現状と背反する処です。

次回は、簡単な数字上の仮定に基づいた見通しを考えてみましょう。
破綻の時期はどのような過程を経てやって来るのか?
そのシュミレーションです。

| | Comments (4) | TrackBack (0)

September 04, 2005

05年、全米OPテニス3回戦 ハンチュコバ

ハンチュコバ様。
初めて見た時から御慕い申し上げておりました。
まだ十代だった貴方は、まさにコートに舞い下りた東欧の妖精。
スロバキアの哀しい歴史の堆積と、憂鬱な気候が、あなたのようないたいけな少女にも影を与えているのね。
応援していたのだけれど、あんまり勝てないのでテレビ中継には中々こない。
そこがまた幻の存在でした。
一時は体調を崩され枯れ木のように痩せておしまいになり、案じておりました。

22才、杉山とダブルスも組んで下さり、少しふっくらして復活していただき嬉しい限りです。
でも今日の相手は暗黒大陸の女王って感じのヴィーナス・ウィリアムス。
対戦成績も0勝7敗だし、勝てるとは思わなかったけど、
試合は地下帝国の大怪物に対抗する、はかなげな妖精って感じ。

決めどころのハードヒットでミスが出るのがだよなぁ。
唯一対抗出来たロブが決まった時の含み笑いがそっと静かで控えめでした。
サンバイザーの影には寂しげな光の滲む瞳が隠れているのよ。
哀愁を漂わせるきつく結ばれた唇には涙の予感。

ボディショットを打たれると、「あっ」って感じで必死にラケットを合わせる処が萌えます。
失敗してうなだれるとこも素敵です。
思わず、それでいいのよ!
あなたには華やかな勝利より、はかない敗北が似合うわ、と言ってしまいそう。

ガッツポーズも控えめで、ショットの度に叫ぶようなこともない。
性格も大人しいんでしょうね。人を押しのけてまで前に出ない子。
食事なんかも静かにすませて、その後はそっと部屋に帰って読書ですよね。
ジョイスなんかを読んでいそう。シオリはミーシャの絵の奴です。

やっぱ雌の肉食獣って感じのシャラポワ(好きですけど)とか、暗黒大陸のアマゾネスみたいなウィリアムス姉妹(立派だとは思う)とか、鋼鉄のゲルマン魂女、グラフのような超人女性ばかりじゃね。

ともかくこれからもテレビに出られる3回戦くらいまでは進出して、
ファンと哀しみを共有する美しい負け試合を見せて下さい。
応援しております。
かしこ。(←なにが、かしこだか、このオタめ!@自分)

| | Comments (4) | TrackBack (0)

September 03, 2005

日本破産についての幼稚な考察:3

資源価格の上昇で、日本はインフレになるのか?
なるかもしれませんが、なり難い国が日本です。

何故か?
もともと資源のない国、日本は、石油ショックを始め資源価格が高騰するたびに産業構造を変えてきて、世界景気を左右するアメリカや中国に比べて経済が資源にたよる比率が低いのです。
資源が上がる→アメリカ、中国の景気が腰折れ→世界景気の減速が資源への需要を減らす→資源価格の安定→日本も米中の景気減速から輸出が減り日本の景気も減速→デフレ要因と相殺です。

さらに多少の借金だった頃はインフレの目減りも計算できたのですが、この低金利でも利払いだけで収入の半分(今回、財務省が発表した一般会計では国債の償還額は20兆円!)に達する現状では、インフレによる金利上昇があると、目減り分など簡単に消し飛ぶような利払い増となってしまいます。

もし利払いが増えないよう金利は上げず、実質債務が大幅に減少するようなハイパーインフレを放置する。
仮定の話ですが可能でしょうか?
食品や公共料金などの生活物価が上がる、いわゆる狂乱物価になってしまえば無理です。
でも資産(ストック・インフレ)インフレなら有り得ます。

ストック・インフレを起こす前提の一つである「金融の過剰流動性→ゼロ金利を越えた量的緩和:お金を極限まで借りやすくして市中にお金を流し、その価値を相対的に下げる政策」はすでに行われています。

これはバブル崩壊で毀損した流動性(お金の流れ)の確保いう理由があったのですが、銀行の経営状態が改善し、景気自体も「踊り場を脱した」、といわれても、
ストック・インフレが起る可能性をさぐる指標となる「マネタリーベース(日銀が金融機関に流すお金の量)」は、低迷したままです。ちなみに今日発表の8月分は1,1%増、4年7ヶ月ぶりの低水準。

日銀が過剰流動性政策を続けても、危機を脱した銀行は融資を拡大させず、ストック・インフレがおこる兆しはまだありません。

実はバブルの発生には、金融の過剰流動性以外に、
投資対象への「幻想ともいえる過剰期待」、という人間の心理的要素が大きいとされています。
日本の土地バブルも戦後一貫して上がり続けた「土地神話」が背景にありました。
今回はどうもその幻想はまだ生まれてはいないようです。

でも現実に国債が売れなくなったらどうしましょう?
そこではモラトリアムと呼ばれる手があります。
これは円の暴落を生み、日本破産の序曲ともいわれる手です。
明日はその話を。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

September 02, 2005

恋の話を書こうと思います

記憶喪失の男の子と、白血病の少女の恋。
それは偶然、道でぶつかって始まります。
少女の母は継母で、少年は孤児院育ちです。
それがトラウマでした。

物語の最後に、2人は悲恋に終わった前世を思い出します。

何故、悲恋に終わったかというと、前世では男の子が白血病で、少女が記憶喪失だったからです。
少女の親は自殺しており、男の子は親の再婚に傷ついて虎馬になっていました。
2人はどこにも居場所がなかったのです。

| | Comments (10) | TrackBack (0)

September 01, 2005

日本破産について幼稚な考察:2

借金を返済するとても良い手があります。
それはインフレです。
「インフレ」とはそもそも、「お金の価値が少なくなる」、ということです。

お金の価値が減少するので、同じモノを買うにもより沢山のお金がいるようになります。
100円で買えたモノが120円出さないと買えなくなるインフレとは、20円分、お金の価値が減った訳です。
お金の価値が減るのことは、お金を持っている=貯金している人、にはたまりませんが、
お金を借りている=借金している人、には嬉しい話です。

国の借金もインフレがおこれば返しやすくなります。
実は今、日銀が行っているゼロ金利政策を越えた量的緩和策というのは、
過剰流動性を生み出す大インフレ政策です。
しかし7月の東京都消費者物価指数は0,2%の下落。
何故日本にインフレが起らないのでしょう。

インフレは金融政策以前に、経済的状況として
「モノ」への要求の強さ>「モノ」の供給能力、の時に起こります。
みんなが「モノ」を欲しがっても、その「モノ」を供給する力が不足していると、値段が高くても欲しい、
となり需給の均衡点が上がり物価は上昇します。(ここでいう「モノ」とはハードソフトを問わないすべての経済価値の象徴とします)
日本がインフレになり難いのは、日本の貿易黒字額に現れています。

日本の貿易黒字が多額ということは、それだけ日本の産業の付加価値能力が高い、ということです。
国内では消費しきれないほど経済価値を生み出すので、海外へ売る訳です。
これは国内総需要<国内総生産能力
(勿論、個別の産業の話ではなく、全体の経済モデルの話としてです)ということです。
これは需要>生産で起るインフレとは逆の構造です。
さらに日本は長く豊かな時代が続いているので、多くの国民は必要なモノは大方持っており、
さらに消費より貯蓄を好むという社会背景があります。

最低限の必要品はすでにある。
余計なものはあまり買わない国民なので、稼いでも貯めこんでしまい需要が盛り上がらない。
よってインフレが起り難い。

しかし近年世界には新たな動きが出てきました。
原油を始めとする商品市況の上昇です。
中国、インドなど大人口を抱える国が急速に発展し資源価格が高騰しているのです。
これは当然世界から資源を買って暮している日本に影響します。

実際にガソリン価格などは上がり出しました。
消費者物価には響かなくても、生産者同士では物価は上がりだしました。
日本にインフレは来るのでしょうか?
次回はその話を。


| | Comments (5) | TrackBack (0)

« August 2005 | Main | October 2005 »